第二部 第二章
手相を見るに当たっての仮説。 主要線、補助線、チャンス線(偶然線)。姿。二つの手 1000名の方の手相を見ると、すべてが異なった組み合わせであることに気づきます。それが1万人になっても、やはり一人一人の手相の線は異なっています。いくら多くの手相を見ても、常に新しい線が見つかります。まったく同じ手相の人がいたら1億円差し上げるという申し出がありましたが、まったく同じ手相の人が存在する心配はありません。必ず何か違うのです。 このようにまったく同じ手相が存在しないのは、偶然ではありません。偶然ならば、まったく同じ手相が、いつかは見つかるでしょう。でも、そのような発見はまったくありません。ではこの現象をどう説明したら良いのでしょう。これが意味するのは、同じ性格・気質を持つ人間は存在しないことです。一人一人みんな違うのです。そしてその違いが手相にも現れていることが、多くの検証から証明されています。これは理論ではありません。これは実体験に基づいて確実に証明されています。したがってまったく同じ人格の2人が見つからない限り、まったく同じ手相の人も見つからないのです。 一方、性格が似ている人がいたら、手の線も似ていることは、すでによく知られた事実です。そこで子供と親の手相がよく似ているのですが、でも詳細を見ると必ず異なります。手の線はあまりにも多彩なので、すべての違いを作表にすることは出来ません。そこで、私にとって明らかになったのは作業仮説を確立しなければならないことでした。手の線に関する正確な一般的原則が決まらなければ、確かなことは何も分からないことに、だいぶ前に気づきました。私は信頼できる作業仮説が発見できると確信していました。 この確信は正しいことが分かりました。少しづつ積み重ねた情報を蓄積して、どの手にも応用できる仮説が生まれたのです。これを正しく応用すれば間違えることはありません。 最初からこの仮説が正しいと信じる必要はありません。ただ、試してください。手相を見る時に、注意深く正確に適用してみるのです。そうしてみれば、この仮説を「信じる・信じない」にかかわりなく、正確な判断が出来ることに気づくでしょう。 すべての指の中でも、木星人の指、つまり人差し指だけは独立しています。他の3本の指は、一緒になって動き、人差し指のような独立性はありません。したがって木星人の指が、生命の流れ(ライフカレント)を体に通すさいの磁石の役目を持っています。 思想家なら疑う人は昔からいませんが、私たちの周りを取り巻く大気には不思議なフォース(力)が存在しています。フォースが電気でなければ、それは非常に電気に似た行動と結果をもたらします。フォースは広く拡散されており雲をつかむような存在ですが偉大な力を持っています。このフォースを凝縮したものが生命の流れ(ライフカレント)であり、これが人間と、知ることの出来ない世界(アンノウン:The Unknown:見知らぬ宇宙)とを結んでいます。 このフォースは見ることも感じることも出来ませんが、存在することを結果から見て判断できます。人が誕生するときには、このフォースが人差し指から赤ん坊の体内にはいります。これが磁気を帯びた流れで、私たちが生きている間、体の中を流れます。この流れは死とともに停止されます。このことに誤りはありません。この生命の流れ(ライフカレント)に関しては第1部第2章でも述べました。このライフカレントが存在することについて、ここで長々と述べたり、証明する気はありませんし、必要もありません。しかし優れた作業仮説に有効に使えるので、ぜひ使って欲しいと思います。手の線を見る時にこの知識が、線の意味を理解する鍵となります。独立して立っている人差し指(木星人)が、私たちの周りで散乱しているフォースを惹きつけ凝縮し、安定した流れとするのです。( 人間の体を研究すればするほど、それは電気を使う動力のようだということが分かります。そして生命の流れ(ライフカレント)は、動力を駆動させる電気のようです。電気については誰でも知っています。そこで手相学を教えるときに、電気の流れを比喩に使うのが、もっとも優れていることに気がつきました。ライフカレントが心の絵を運搬して手の線となるのです。そこでこのライフカレントのことを、今後は「気電流」と呼びます。 気電流は、人差し指(木星人)から体内にはいり、最初にハートライン(感情線)に達し駆動させ、次にヘッドライン(頭脳線)に到達して頭脳を覚醒させます。感情と頭脳が動き始めると生命が始まります。気電流はライフライン(生命線)に到達してコースに沿って移動します。線の研究では、気電流は手の中で完結すると考えます。つまり気電流はライフライン(生命線)を通り抜け、土星線、太陽線、水星線をたどり、それぞれの指(中指・薬指。小指)から外に出ていきます。 だからこそハートライン(感情線)の始まりは、木星宮・人差し指の下からになっているのです。ハートラインはここから始まり、手を横切ってパークッション(小指の下側の膨らみ)に達しています。頭脳線も同じ方向に読みます。つまり人差し指の下から下方に向かいます。 これら3本の線の始まりの部分は、人生の初期を示します。線の終わりの部分は、人生の後期を示します。当然中間部分は人生の中期を示します。気電流が線に達して初めて人生が駆動されます。土星線はライフライン(生命線)の終わりの部分から気電流を受け取るので、下から上に読み取ります。つまり土星線の下の部分が人生の初期を示し、最上部が晩期を示し、中間部分が中期を示しているのです。太陽線と水星線も同じ方向に見ていきます。 手には主たる線が6つあります。感情線、頭脳線、生命線、土星線、太陽線、水星線です。それぞれが異なった特質を示しています。水星線は肝臓線とか肝線とか、健康線とかも呼ばれますが、実際的には水星線なので、ここでは水星線と呼びます。 主たる6つの線に加えて、7つの補助的な線が存在します。それらはソロモンの輪、土星の輪、金星帯、愛情線、火星線、直観線と3つの腕輪です。腕輪は3つありますが、考慮に値するのは一番上のものだけです。 もう一つ補助的な線があります。名前は好色線で、水星線の姉妹とされています。私はこの線は単なる偶然の線だと見なしています。そこで私は補助的な線としての地位を与えません。 この13の線は、相対的に見て、常に手の同じ場所に見つかります。しかし線の始まりと終わりまでのコースは無限に変化します。すこし練習すれば線の存在はすぐに分かるようになりますし、存在しないことも分かるようになります。すべての手に主要な線が存在するわけではありませんが、いくつかは存在します。感情線が存在しないことはめったにありませんが、頭脳線が存在しない例は、もっと少ないでしょう。頭脳線は99%の場合、手に存在しますが、時には非常に短いことがあります。 生命線がまったく存在しないという例も稀ですが、そういう手を見たことはあります。この方は肉体的な逞しさがまったく無く、神経の力だけで生きている方でした。 土星線が存在しないことはよくあります。太陽線と水星線も同じです。補助的な線は見つかることもあり、見つからないこともあります。これらは特殊な性質を示しているので、ある種の特質がないと見られません。 両手を検討して、同じように主要な線が無くても狼狽することはありません。まず何があるかを観察して、次に失われた主要な線が、持ち主にどのような影響を与えているかを推測してください。 手によっては何百という線が手の平のあらゆる方向に広がっています。これら多数の線はチャンスライン(できごとの線)で、心配から生まれる線です。それぞれの線は多彩な感情を示しています。主要線や補助線でないものはすべてチャンス線です。このような線があるかたは、極端に神経質で、多くの相反する感情の餌食になっています。この方の手では気電流もジグザグにあらゆる方向に流れ、神経質な流れとなります。 このような場合、あなたの仕事は主要な線を探し、それらがチャンス線によってどの程度の損傷を受けているかを見ることです。初心者の場合、このような手を観たら極端に神経質だと判断するだけで十分でしょう。これらのチャンス線のすべては感情を示しています。ある線はどこからともなく始まり終わっています。それらはとらえどころの無い衝動の現れです。この場合は、この方は何かを必死でやり始めましたが、意欲を無くし、そのプロジェクトを放棄しています。そのような感情が強いときは、手にもその形跡を焼き付けます。でも最終的には放棄されています。そうならばこのような線を読んでも意味はありません。 別のチャンス線(できごとの線)はある「宮」で始まり、別の「宮」で終わっています。このような線は、この二つの「宮」には関係があることを示しており、価値ある情報をもたらします。 ある種のチャンス線は主要線とか補助線から始まり、別の主要線や補助線あるいは「宮」で終わっています。このようなチャンス線は重要です。 どうでもよい線と価値ある線を区別できるようになるのに、それほど時間はかかりません。主要線と補助線に精通するまでは、チャンス線についてあまり心配しないほうが良いでしょう。主要線と補助線のことが簡単に理解できるようになると、自然にチャンス線の判断力も高まってきます。 最初に観察するのは、手における線の相対的な位置です。大きな手の持ち主ならば、深くて大きな線が見られるでしょう。小さくて繊細な手ならば、繊細な線でしょう。大きな手と大きな木星人の指(人差し指)を持つ人の体には、気電流もたくさん流れるでしょう。したがって気電流を流す線も、太く深くなる筈です。これは大きな電流を流す電気屋さんが、太い電線を使うのと同じことです。 大きな手を持つ人の線が繊細で細く、まるで体の小さい人の手のようだったら、大きな手に惹きつけられる気電流の量が多すぎるので何らかの問題が生じます。 あるときお医者さんが相談に来ました。医者の手は大きいのですが線が細く、気電流を運ぶのに不十分でした。そこで、頭を使いすぎないように、過剰に知的な活動をしないように助言しました。なぜなら特に頭脳線が極端に細かったからです。この医者は、私の助言を無視しましたが、一年も経たないうちに精神病院に送り込まれました。彼の頭脳線は細すぎて、惹きつけられてくる気電流に対応できなかったのです。逆に、手が小さい方の線が非常に大きく深い場合も、安全とは言えません。 一つ一つの線を細かく分析する必要があります。線が開始するところからコースをたどり終点に達するまで、細かく観ていくのです。コースに沿って、深さ、方向、大きさ、色など、すべての変化を読み取ってから線の判断をしてください。さらに線は明瞭で、均等か、あるいは破断しているか、線が横切っているか、他に欠陥が無いかどうかも見てください。人生における変化や出来事は、主要線全体を細かく見ていくことで正確に判断できます。チャンス線を読むよりはるかに正確です。 手を観察するときには方法論を確立しておくことをお勧めします。まず感情線から観察し、次に頭脳線、次ぎに生命線と読んでいくのです。このようにシステム的に見ていくと、大事なことの見落としが少なくなります。手の主要線が明瞭で強く、チャンス線が少なければ、その方は落ち着いた方で、人生を予定通り自然に従って進んでいます。チャンス線が多く、それらが主要線を横切っているなら、その方は気まぐれで、いろいろな方向に走り、自然な人生の地図に変更を加えています。 手の線を見るときは、「宮」を見るときよりも、両手をよく観察します。「宮」のタイプはそれほど大きく変わらないものですが、人生のコースは変化しやすいのです。木星人はいつまでたっても木星人ですが、いろいろな出来事がこの方の自然な人生コースを変えます。強靭な体も使いすぎで壊れるかもしれません。野心によって没落するかもしれません。木星人であることは変わりませんが、人生のコースは変わってしまいます。手相を見ることで「宮」のタイプは分かりますが、人生の経歴を見るには、線による地図を判読しなくてはなりません。 左手は自然な人生のコースを正確に示しています。右手はその方がその人生をどのように変化させたかを物語っています。これまで無数の手を観てきていますが、左手に自然で優れた手相があるのに、右手を見るとそれが崩壊しているケースがよくあります。一方、左手を見ると、神経質で弱々しく優柔不断な線なのに、右手を見ると強くはっきりした線になっていることもよくあります。貧弱で弱々しい欠陥だらけの手が、強く明瞭な線に変わっているのはその方の人生が変わったことを示しています。 すべての線を見る時には、どこから始まり、どのコースをたどり、どこで終わるかに注意します。線の始まりからは資質の源を見ることができます。曲がる中間では、何によってコースから外れたかが読めます。最終的結果は、線が終わるところで分かります。 線にある欠陥すべてに注意してください。それらの欠陥が線を破壊しているか、弱めているか、どんな変化を起こしているかを観察します。さらに追加されている線や、姉妹線や各種のサイン(印)を見ます。このサインは線を強め、あるいは補修をします。 それぞれの線を考察する前に、良い線と悪い線を区別できなくてはいけません。さらに何が欠陥なのか、どのように修復できるのかを知る必要があります。次の章ではこのことについて述べます。独立したサインについて考察しますが、それらのいくつかは欠陥から突然生まれます。っこれらすべてに精通してからそれぞれの線の考察に入ります。 最初のいくつかの章では、線を支配する一般的法則について説明します。次にライフカレント(気電流)の理論をそれに当てはめます。その後はそれぞれの線を読み取ることが簡単にできるようになります。□ |
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