ジュラシック ミステリー
恐竜絶滅の超真相!
恐竜はなぜ絶滅したのか? 中生代白亜紀末生物の大量絶滅が起こった。 陸上生物、海洋生物、飛行生物、この時期多くの生物が絶滅した。 最も劇的な絶滅として広く知られているのは恐竜の絶滅だ。
この大量絶滅の原因のもっとも有力な説は隕石衝突説である。 約6500万年前、中生代白亜紀の終わりに巨大な隕石が地球に衝突し地球環境に激変をもた らし、環境に適応できなかった恐竜は絶滅したのである。 実際に隕石の衝突痕もユカタン半島に見つかっている。 しかし恐竜のように大繁栄を遂げた種が、 ただの一種類も残らず完全に絶滅してしまったのは何故なのだろうか。
第一章:恐竜の繁栄と衰退 恐竜が地上に出現したのは、今から約2億2500万年前、中生代3畳紀の中ごろの事である。
恐竜は、その骨盤の形で鳥盤目と竜盤目に大きく分類できるが、槽歯類の共通の祖先を持ち、最初に地上に現れた恐竜はイオラプターと呼ばれる2足歩行の恐 竜である。 古生代ジュラ紀に入りこの2足歩行の獣脚類の祖先から、巨大な体と長い首を持った竜脚類や後のティラノサウルスに代表される大型の肉食獣脚類 などが進化していった。 又、恐竜と共に海では魚竜、空では翼竜と爬虫類は大繁栄を遂げた。
ジュラ紀に最も繁栄したのは、ディプロドクスなどの巨大な竜脚類たちだ。
中生代白亜紀に入り、竜脚類の一部が衰退する一方、ティラノサウルス、トリケラトプス、パラサウロロフス等の様々なタイプの恐竜に分化していった。
特に白亜紀後期の恐竜は、バラエティーにとんでおり大変にユニークな特徴を備えたものが数多く見られるが、それもそのはずで恐竜が地上に現れてから1億年を遥かに超えているのである。 まさにこの時期恐竜は絶頂期を迎えていた。
しかし、この大繁栄を誇っていた恐竜は、今から6500万年前、突然のように絶滅してしまった。 この恐竜絶滅の原因には様々な説があるが、現在もっとも有力な説は巨大隕石衝突説である。
以前から恐竜が絶滅した白亜紀最後の地層K-T境界層に地球上にはほとんど存在しないイリジウムが大量に含まれているため、この時期に巨大な隕石が衝突 して撒き上がった塵が世界中に降り積もったのではないかという仮説があった。 この巨大衝突を裏付けるようにメキシコのユカタン半島で衝突後と思われる巨 大なクレーターが発見された事により、隕石衝突による絶滅説は揺るぎのないものになった。
では隕石衝突が何故恐竜を絶滅に追いやったのだろうか。 簡単に言うと恐竜は巨大隕石衝突の結果起こった「核の冬」によって凍死してしまったのである。 核の冬とは、隕石衝突の結果大気圏上層部に撒き上げられた大量の塵が太陽の光線を遮り急激に気温が低下する事を言う。 最初にこの理論が出てきた時は、 核戦争の結果起こる地球規模の災害の研究からであった為、「核の冬」と言う名前がつけられたが、巨大隕石の衝突でも同様のことが起こるため「核の冬」の名 前がそのまま使用されている。
この核の冬と隕石衝突によってもたらされた巨大津波や火山噴火、大地震により、恐竜のパラダイスは終焉を迎えたとする説が巨大隕石衝突説である。 参考文献:
この大量絶滅の原因のもっとも有力な説は隕石衝突説である。 約6500万年前、中生代白亜紀の終わりに巨大な隕石が地球に衝突し地球環境に激変をもた らし、環境に適応できなかった恐竜は絶滅したのである。 実際に隕石の衝突痕もユカタン半島に見つかっている。 しかし恐竜のように大繁栄を遂げた種が、 ただの一種類も残らず完全に絶滅してしまったのは何故なのだろうか。
第一章:恐竜の繁栄と衰退 恐竜が地上に出現したのは、今から約2億2500万年前、中生代3畳紀の中ごろの事である。
恐竜は、その骨盤の形で鳥盤目と竜盤目に大きく分類できるが、槽歯類の共通の祖先を持ち、最初に地上に現れた恐竜はイオラプターと呼ばれる2足歩行の恐 竜である。 古生代ジュラ紀に入りこの2足歩行の獣脚類の祖先から、巨大な体と長い首を持った竜脚類や後のティラノサウルスに代表される大型の肉食獣脚類 などが進化していった。 又、恐竜と共に海では魚竜、空では翼竜と爬虫類は大繁栄を遂げた。
ジュラ紀に最も繁栄したのは、ディプロドクスなどの巨大な竜脚類たちだ。
中生代白亜紀に入り、竜脚類の一部が衰退する一方、ティラノサウルス、トリケラトプス、パラサウロロフス等の様々なタイプの恐竜に分化していった。
特に白亜紀後期の恐竜は、バラエティーにとんでおり大変にユニークな特徴を備えたものが数多く見られるが、それもそのはずで恐竜が地上に現れてから1億年を遥かに超えているのである。 まさにこの時期恐竜は絶頂期を迎えていた。
しかし、この大繁栄を誇っていた恐竜は、今から6500万年前、突然のように絶滅してしまった。 この恐竜絶滅の原因には様々な説があるが、現在もっとも有力な説は巨大隕石衝突説である。
以前から恐竜が絶滅した白亜紀最後の地層K-T境界層に地球上にはほとんど存在しないイリジウムが大量に含まれているため、この時期に巨大な隕石が衝突 して撒き上がった塵が世界中に降り積もったのではないかという仮説があった。 この巨大衝突を裏付けるようにメキシコのユカタン半島で衝突後と思われる巨 大なクレーターが発見された事により、隕石衝突による絶滅説は揺るぎのないものになった。
では隕石衝突が何故恐竜を絶滅に追いやったのだろうか。 簡単に言うと恐竜は巨大隕石衝突の結果起こった「核の冬」によって凍死してしまったのである。 核の冬とは、隕石衝突の結果大気圏上層部に撒き上げられた大量の塵が太陽の光線を遮り急激に気温が低下する事を言う。 最初にこの理論が出てきた時は、 核戦争の結果起こる地球規模の災害の研究からであった為、「核の冬」と言う名前がつけられたが、巨大隕石の衝突でも同様のことが起こるため「核の冬」の名 前がそのまま使用されている。
この核の冬と隕石衝突によってもたらされた巨大津波や火山噴火、大地震により、恐竜のパラダイスは終焉を迎えたとする説が巨大隕石衝突説である。 参考文献:
- 教育社 ニュートン 1990年5月号・1990年9月号・1991年10月号・1992年7月号・1993年3月号・1993年6月号・1993年7月号・1994年6月号・1994年7月号・1995年4月号・1997年4月号・1998年8月号
- 他人書館 恐竜の私生活 福田芳生著
- 学習研究社 ムー 1999年12月号
- 誠文堂新光社 天文年鑑 1999年版
- 他人書館 恐竜の力学 R.M.アレクサンダー著
- 南江堂 ME技術の基礎知識 日本エム・イー学会監修
- 菜根出版 入門医用工学 島津秀昭著
恐竜存在の異常性
絶滅した恐竜と絶滅しなかった生き物の最大の違いは何であろうか。それはサイズである。
想像できるだろうか、全長52mもあるサイズモサウルスが地上を徘徊し、翼長12mもある自家用旅客機のような翼竜ケツァルコアトルスが空に羽ばたいている世界を。
従来、爬虫類の一種である恐竜は体温を調節できない変温動物(冷血動物)で大変鈍重な生き物と言われてきた。一昔前の恐竜の絵では、ディプロドクスなど の竜脚類は必ず水に体を半分沈めた状態で描かれている。このような巨大な生物が陸上で自分の体重をささえられたとはとても考えられなかったからだ。この頃 の巨大恐竜の代表選手は、アパトサウルス(ブロントサウルス)とディプロドクスだが、現在ではお世辞にも巨大恐竜とは言えない。
70年代後半から、80年代、90年代と次々に新しい発見が相次ぎ、恐竜のイメージは一新された。次々に巨大恐竜が発見され、恐竜の大きさの記録は塗り替えられていった。
1985年想像を絶する巨大恐竜、スーパーサウルスとウルトラサウルスが正式に記載された。これらの恐竜は体長25mから40m以上もあり体重も80ト ン以上と言う、とてつもない値が出ている。与えらた名称から、発見者がついに史上最大の恐竜を発見したと考えたことは明らかだ。しかし残念ながら上には上 がいた。現在発見されているもっとも大きな種は、サイズモサウルスで体長52m、体重100トンを軽く超えると言われている。非公式にはアンフィコエリア ス、体長60m、体重150~300トンと言うとんでもない恐竜も報告されている。ちなみに現在地上最大の動物であるアフリカ象は、体重約7トンほどであ る。
最小の恐竜コンプソグナトスでも体長約60cm、大きめのニワトリぐらいの大きさはある。実に小さな恐竜と思われるかもしれないが、現在の哺乳類、爬虫 類や鳥類に体長数センチのものが存在するのと比べて見てほしい。最小の恐竜でさえ現在の基準より遥かに大きかった事になる。
1960年代後半頃から、恐竜は単なる爬虫類とは異なり鳥や哺乳類に近い恒温動物(温血動物)で、非常に活発に活動していたらしいことが次第に明らかになってきた。
アメリカの著名な古生物学者コルバート博士が、大きなワニと小さなワニの肛門に体温計を突っ込み一日の体温変化を測定したところ、大きなワニは小さな個 体に対して極めて夜間の体温の損失が少ないことを見出した。能動的に体内のメカニズムで体温を調整する真の恒温性に対して、このような体温の維持法を慣性 恒温性という。
つまり現存のワニより遥かに大きかった大型の恐竜は、真の恒温性は無かったとしても確実に慣性恒温性により温血を保てる恒温動物だったといえるのである。現在では、活動的な小型恐竜の一部は、真の恒温性であったというされている。
恐竜絶滅の最大の原因とされる「核の冬」による気温の低下は、恐竜が変温動物あったとされていた頃は、なるほどなっとくのいく説であった。しかし恐竜が 恒温動物であるとされる現在では、非常に疑問を抱かざるを得ない。もちろん気温の低下に伴う食物の不足も考えられるが、食物の不足だけなら個体数を減らす だけで、何も絶滅してしまう事はないと思われる。
しかも恐竜と違い変温動物である爬虫類のワニやトカゲなどは現在でも生き続けている。
体温調節ができず環境の温度に依存するワニやトカゲが環境変化を生き延び、体温を調節できる恒温動物であった恐竜が環境変化に適応できず絶滅したのだ。矛盾しているとは思わないだろうか。
想像できるだろうか、全長52mもあるサイズモサウルスが地上を徘徊し、翼長12mもある自家用旅客機のような翼竜ケツァルコアトルスが空に羽ばたいている世界を。
従来、爬虫類の一種である恐竜は体温を調節できない変温動物(冷血動物)で大変鈍重な生き物と言われてきた。一昔前の恐竜の絵では、ディプロドクスなど の竜脚類は必ず水に体を半分沈めた状態で描かれている。このような巨大な生物が陸上で自分の体重をささえられたとはとても考えられなかったからだ。この頃 の巨大恐竜の代表選手は、アパトサウルス(ブロントサウルス)とディプロドクスだが、現在ではお世辞にも巨大恐竜とは言えない。
70年代後半から、80年代、90年代と次々に新しい発見が相次ぎ、恐竜のイメージは一新された。次々に巨大恐竜が発見され、恐竜の大きさの記録は塗り替えられていった。
1985年想像を絶する巨大恐竜、スーパーサウルスとウルトラサウルスが正式に記載された。これらの恐竜は体長25mから40m以上もあり体重も80ト ン以上と言う、とてつもない値が出ている。与えらた名称から、発見者がついに史上最大の恐竜を発見したと考えたことは明らかだ。しかし残念ながら上には上 がいた。現在発見されているもっとも大きな種は、サイズモサウルスで体長52m、体重100トンを軽く超えると言われている。非公式にはアンフィコエリア ス、体長60m、体重150~300トンと言うとんでもない恐竜も報告されている。ちなみに現在地上最大の動物であるアフリカ象は、体重約7トンほどであ る。
最小の恐竜コンプソグナトスでも体長約60cm、大きめのニワトリぐらいの大きさはある。実に小さな恐竜と思われるかもしれないが、現在の哺乳類、爬虫 類や鳥類に体長数センチのものが存在するのと比べて見てほしい。最小の恐竜でさえ現在の基準より遥かに大きかった事になる。
1960年代後半頃から、恐竜は単なる爬虫類とは異なり鳥や哺乳類に近い恒温動物(温血動物)で、非常に活発に活動していたらしいことが次第に明らかになってきた。
アメリカの著名な古生物学者コルバート博士が、大きなワニと小さなワニの肛門に体温計を突っ込み一日の体温変化を測定したところ、大きなワニは小さな個 体に対して極めて夜間の体温の損失が少ないことを見出した。能動的に体内のメカニズムで体温を調整する真の恒温性に対して、このような体温の維持法を慣性 恒温性という。
つまり現存のワニより遥かに大きかった大型の恐竜は、真の恒温性は無かったとしても確実に慣性恒温性により温血を保てる恒温動物だったといえるのである。現在では、活動的な小型恐竜の一部は、真の恒温性であったというされている。
恐竜絶滅の最大の原因とされる「核の冬」による気温の低下は、恐竜が変温動物あったとされていた頃は、なるほどなっとくのいく説であった。しかし恐竜が 恒温動物であるとされる現在では、非常に疑問を抱かざるを得ない。もちろん気温の低下に伴う食物の不足も考えられるが、食物の不足だけなら個体数を減らす だけで、何も絶滅してしまう事はないと思われる。
しかも恐竜と違い変温動物である爬虫類のワニやトカゲなどは現在でも生き続けている。
体温調節ができず環境の温度に依存するワニやトカゲが環境変化を生き延び、体温を調節できる恒温動物であった恐竜が環境変化に適応できず絶滅したのだ。矛盾しているとは思わないだろうか。
恐竜の特徴
いうまでも無くその巨大さが最大の特徴であるが他にも多くの特徴がある。
まず第一点に足のつき方である。 爬虫類では、足は体に対して水平に横に突き出しているのに対し、恐竜や哺乳類の足は体に対して垂直に下向きについている。
又、恐竜の骨格は鳥類と多くの共通性があり、コンプソグナトス等は鳥とほとんど区別がつかないほどである。 事実以前コンプソグナトスとして登録されて いた標本を再検討したところ羽毛の痕跡が見つかり、始祖鳥として登録しなおすと言う事件が起こっている。 あの巨大な肉食恐竜チラノサウルスも骨格は鳥に 非常に近い事がわかっている。
又、中国でコンプソグナトスや始祖鳥と同様の頭を持った最古の鳥の化石が発見されている。 これらの事から、現在では鳥は爬虫類から進化したのではなく恐竜から進化したとする説が有力である。
骨格は鳥に似ているが地上を徘徊していた恐竜の行動は、現在の哺乳類とかなり近いものであったらしい。 子育てや「わたり」、集団での狩の痕跡も発見さ れている。 しかし恐竜は、哺乳類と違い肋骨がお腹の方まで伸びている為、横になって休憩する事は無く寝る時は鳥が卵を抱くようにその場にうずくまったと 思われる。 体をよじる事が出来ない巨大な恐竜が何かの原因でひっくり返った時は、起き上がるのには大変な労力を必要とした事だろう。
恐竜絶滅の真相(1)
限りなく現在の哺乳類や鳥類に近い生活を送っていた恐竜は、いったい何故絶滅したのだろうか。結論から先に述べよう恐竜たちは自分の重さに耐え切れなく なり絶滅してしまったのだ そもそも重力がなぜ一定でなければいけないのだろうか。 重力が変化することだってありえるはずだ。その重力が何かの理由で白 亜紀の終わりにかけて徐々に大きくなったと考えると多くのなぞが解けてくる。
まずこの時代の生物の巨大さの謎が一気に解決する。そもそも恐竜が巨大に成れたのは重力が現在よりも小さかったせいだ。
ここで体の大きさが動物に与える影響を簡単に考えてみよう。 まったく相似形の2頭の恐竜の一方が2倍の大きさになったとしよう。この恐竜の重量は体の体積に比例する為、2の3乗倍つまり8倍になる。それではこの重量を支える筋力はどうなるだろう。
筋力を生み出す筋肉とは細い筋繊維の集まりでそれぞれの筋繊維が独立して力を発生している。したがって筋肉が発生することの出来る力は筋繊維の数=筋肉 の断面積にほぼ比例する。一方、筋肉の長さが変わると収縮のストロークが変わり仕事量は変化するが、筋繊維の本数は変わらない為、筋肉が発生することの出 来る力は変わらない。したがって、筋力は2の2乗倍つまり4倍になる。
体重は、サイズの3乗に比例して大きくなるのに対して筋力は2乗に比例してしか、大きくならないのである。 まったく同じ事が骨の強度についても言える。 骨の強度も、その断面積に比例して大きくなる為、サイズの2乗に比例してしか増えない。
この事が、大型の動物が小型の動物より動きが緩慢な理由である。
それでは、アフリカ象の何倍もの大きさを持つ恐竜は果たして自分の体重を支え活動する事が出来たのだろうか?
ここでは、テッド・ホールデン氏のアイデアをベースに検証してみよう。まず現存する動物は、一体どれだけの重量を支える事が出来るのだろうか。野生動物 では測定が不可能なので人間で考えてみよう。現在重量挙げの世界記録はロシアのチェメルキンで260kgである。 恐竜は4本足なので、4本足チェメルキ ンが存在したとしてすべて2倍で考えてみよう。すると、体重330kgの4本足チェメルキンが持ち上げる事の出来る重量は、体重とバーベルを合わせて 850kgになる。
この値は重量挙げのトレーニングを限界まで積み重ねた結果なので、筋力の限界にかなり近い値と思われる。
それでは、以前から重量級の恐竜として知られているブラキオサウルスにこの値を当てはめてみよう。ここでは、ブラキオサウルスの重量をアレクサンダーの計算に基づく46、6トンで計算してみよう。この値は、ブラキオサウルスの重量の計算値としては最軽量のほうに属する。
さて体重330kgの4本足チェメルキンが体重46、6トンまで拡大したとすると体重は141倍になった事になる。体の大きさは141倍の3√なので約 5、2倍になった事になる。すると筋力は5、22で約27倍に事になる。彼の筋力は850kgの重量を持ち上げる事が出来る為、27倍になると約23トン の重量を持ち上げる事が出来る。
しかし、ここで大きな矛盾が出てくるのである、巨大4本足チェメルキンはすでに体重が46、6トンもあるのでこの筋力では、自分すら支える事が出来ない のである。おまけに巨大化した彼の骨の強度は27倍にしか増加していないのに対して体重は141倍に増加しているのである。
もちろん、腕でバーベルを持ち上げる重量挙げと比べ、からだ全体の重さが増える方が遥かに重いものを支える事が出来るだろうが、たとえ2倍の重量が支え られるとしても46トンで体重以下である。現在では決して重い方とは思われていないブラキオサウルスでさえこのような状態なのだ、体重100トン以上と推 定されるサイズモサウルスやアルゼンチノサウルスなど、現在の重力では、存在できるはずも無いのである。
まず第一点に足のつき方である。 爬虫類では、足は体に対して水平に横に突き出しているのに対し、恐竜や哺乳類の足は体に対して垂直に下向きについている。
又、恐竜の骨格は鳥類と多くの共通性があり、コンプソグナトス等は鳥とほとんど区別がつかないほどである。 事実以前コンプソグナトスとして登録されて いた標本を再検討したところ羽毛の痕跡が見つかり、始祖鳥として登録しなおすと言う事件が起こっている。 あの巨大な肉食恐竜チラノサウルスも骨格は鳥に 非常に近い事がわかっている。
又、中国でコンプソグナトスや始祖鳥と同様の頭を持った最古の鳥の化石が発見されている。 これらの事から、現在では鳥は爬虫類から進化したのではなく恐竜から進化したとする説が有力である。
骨格は鳥に似ているが地上を徘徊していた恐竜の行動は、現在の哺乳類とかなり近いものであったらしい。 子育てや「わたり」、集団での狩の痕跡も発見さ れている。 しかし恐竜は、哺乳類と違い肋骨がお腹の方まで伸びている為、横になって休憩する事は無く寝る時は鳥が卵を抱くようにその場にうずくまったと 思われる。 体をよじる事が出来ない巨大な恐竜が何かの原因でひっくり返った時は、起き上がるのには大変な労力を必要とした事だろう。
恐竜絶滅の真相(1)
限りなく現在の哺乳類や鳥類に近い生活を送っていた恐竜は、いったい何故絶滅したのだろうか。結論から先に述べよう恐竜たちは自分の重さに耐え切れなく なり絶滅してしまったのだ そもそも重力がなぜ一定でなければいけないのだろうか。 重力が変化することだってありえるはずだ。その重力が何かの理由で白 亜紀の終わりにかけて徐々に大きくなったと考えると多くのなぞが解けてくる。
まずこの時代の生物の巨大さの謎が一気に解決する。そもそも恐竜が巨大に成れたのは重力が現在よりも小さかったせいだ。
ここで体の大きさが動物に与える影響を簡単に考えてみよう。 まったく相似形の2頭の恐竜の一方が2倍の大きさになったとしよう。この恐竜の重量は体の体積に比例する為、2の3乗倍つまり8倍になる。それではこの重量を支える筋力はどうなるだろう。
筋力を生み出す筋肉とは細い筋繊維の集まりでそれぞれの筋繊維が独立して力を発生している。したがって筋肉が発生することの出来る力は筋繊維の数=筋肉 の断面積にほぼ比例する。一方、筋肉の長さが変わると収縮のストロークが変わり仕事量は変化するが、筋繊維の本数は変わらない為、筋肉が発生することの出 来る力は変わらない。したがって、筋力は2の2乗倍つまり4倍になる。
体重は、サイズの3乗に比例して大きくなるのに対して筋力は2乗に比例してしか、大きくならないのである。 まったく同じ事が骨の強度についても言える。 骨の強度も、その断面積に比例して大きくなる為、サイズの2乗に比例してしか増えない。
この事が、大型の動物が小型の動物より動きが緩慢な理由である。
それでは、アフリカ象の何倍もの大きさを持つ恐竜は果たして自分の体重を支え活動する事が出来たのだろうか?
ここでは、テッド・ホールデン氏のアイデアをベースに検証してみよう。まず現存する動物は、一体どれだけの重量を支える事が出来るのだろうか。野生動物 では測定が不可能なので人間で考えてみよう。現在重量挙げの世界記録はロシアのチェメルキンで260kgである。 恐竜は4本足なので、4本足チェメルキ ンが存在したとしてすべて2倍で考えてみよう。すると、体重330kgの4本足チェメルキンが持ち上げる事の出来る重量は、体重とバーベルを合わせて 850kgになる。
この値は重量挙げのトレーニングを限界まで積み重ねた結果なので、筋力の限界にかなり近い値と思われる。
それでは、以前から重量級の恐竜として知られているブラキオサウルスにこの値を当てはめてみよう。ここでは、ブラキオサウルスの重量をアレクサンダーの計算に基づく46、6トンで計算してみよう。この値は、ブラキオサウルスの重量の計算値としては最軽量のほうに属する。
さて体重330kgの4本足チェメルキンが体重46、6トンまで拡大したとすると体重は141倍になった事になる。体の大きさは141倍の3√なので約 5、2倍になった事になる。すると筋力は5、22で約27倍に事になる。彼の筋力は850kgの重量を持ち上げる事が出来る為、27倍になると約23トン の重量を持ち上げる事が出来る。
しかし、ここで大きな矛盾が出てくるのである、巨大4本足チェメルキンはすでに体重が46、6トンもあるのでこの筋力では、自分すら支える事が出来ない のである。おまけに巨大化した彼の骨の強度は27倍にしか増加していないのに対して体重は141倍に増加しているのである。
もちろん、腕でバーベルを持ち上げる重量挙げと比べ、からだ全体の重さが増える方が遥かに重いものを支える事が出来るだろうが、たとえ2倍の重量が支え られるとしても46トンで体重以下である。現在では決して重い方とは思われていないブラキオサウルスでさえこのような状態なのだ、体重100トン以上と推 定されるサイズモサウルスやアルゼンチノサウルスなど、現在の重力では、存在できるはずも無いのである。
恐竜絶滅の真相(2)
では、恐竜とは異なるが、同じ時代の空中の爬虫類翼竜ではどうなのだろう。ここで、再び完全に相似形の2種類の翼竜で考えてみよう。ここでも先ほどの2 乗、3乗の法則が当てはまる為、一方が2倍の大きさになると体重は8倍になるのに対し翼面積は4倍にしかならない。有翼のものが飛行する為には、動物であ れ飛行機であれ、翼の生み出す揚力が必要である。 揚力は翼の形状、面積、飛行速度に依存する。つまり飛び立つ物の形状や重さにより、それぞれ飛び立つ為 の最小速度が存在することになる。
飛行の為に必要な最小速度Vminは、翼面積をA、重さをWとするとVmin=((W/A)/定数)0.5 W/Aは翼面荷量と呼ばれる。ここで言う定 数とは、翼の形状により決定されるが、優れた設計の翼でおおむね0.9kg/m3である。定数が0.9kg/m3だとVmin=(1.1×翼面荷 量)0.5の式が成り立つ。
この式より、体の大きさが2倍になると最小飛行速度は約1.4倍になることがわかる。つまり体が大きくなるほど飛び立つ為の速度が上がることになる。
現在、飛行する鳥としては最大級のアホウドリの翼面荷量は、150N/m2で最小飛行速度は約13m/S、時速47キロメーテルになる。
よってアホウドリが飛び立つ為には、風上に向かって全力で滑走を行い翼にあたる風の速度をこれ以上に上げて、見るからに重そうに飛び立つのである。 したがってこれぐらいの速度が、動物が飛び立てる限界に近いと思われる。
それでは、ケツァルコアトルス・ノースロピとして知られる翼竜に当てはめて計算してみよう。翼竜は、骨の内部に大きな空洞がある非常に特殊な構造で、大きさの割には体重が軽いと言われている為、鳥と翼竜を単純に2乗、3乗の法則に当てはめる事は出来ない。
ケツァルコアトルスの翼開長は約12m、体重は異常に軽く90kg以下と見積もられている。
体重を90kgとしローヤルティレル博物館のイラストを元に算出した結果、翼面積は約4.3m2で翼面荷量は209 N/m2になる。 したがって飛行最小速度は15m/S、実に時速54.6キロメートルにもなる。どう考えても、翼開長12mの華奢な翼竜がこのような速 度で滑走したとは考えられない。たとえ風の力を借りたとしても、太平洋の強い風を受けて飛び立つアホウドリと違い、内陸部に生息したケツァルコアトルスは よほどの強風の時でないと飛び立てない。さらにアホウドリは助走の時、翼をはばたかせスピードを稼ぎ出しているが、骨がすかすかで12mもある翼竜が翼を 羽ばたかせたとは到底考えられない。
飛行最小速度が時速54.6キロメートルと言う事は、着陸する時もこれ以下にスピードを落とす事が出来ないと言う事である。これ以下にスピードを落とす と着陸前に墜落してしまう為である。たとえ100歩譲って飛び立てたとしても、翼竜の華奢な体はこのような速度での着陸には耐えられない。
このように恐竜や翼竜の存在自体が1Gの環境下では不可能なのだ。その証拠に恐竜が絶滅して6500万年も経つのに恐竜たちがいなくなって出来たニッチ を埋める巨大な生物は登場していない。生物界ではある「種」が絶滅すると必ずそこにできたニッチを埋め合わせする「種」が現れることは常識として広く知ら れている。この事は、何も地上に限った事ではない空中でも同じ事が言える。巨大な翼竜が絶滅して出来たニッチは埋められていない。ここで、間違いの無いよ うにはっきりしておきたいが、翼竜や魚竜は恐竜とはまったく別の種に属す。
偶然にも?恐竜、翼竜、魚竜と言う3種類のまったく種の異なる巨大な生物群が当時存在していたのだ。陸上の恐竜だけならまだしも、陸、海、空の3種類の 異なる生態系で巨大な生物が生息し、同時に絶滅し、そのニッチを埋め合わせする生物群は浮力のため重力の影響を受けにくい海中を除いて現れていないのであ る。
アンモナイトと珊瑚
6500万年前に絶滅したのは恐竜だけではない、多くの種が大量に絶滅している。
今度は海洋生物に目を向けてみよう。海中でも多くの生物が絶滅しているが当時、魚竜と共にもっとも繁栄したアンモナイトもこの時期に絶滅している。
当然のようにアンモナイトの絶滅も隕石衝突による環境の激変で説明されているが、ここに大変な矛盾が存在する事は、多くの研究者が見とめるところであ る。それは珊瑚の存在である。環境破壊の結果珊瑚礁が急速に破壊されてきている事からもわかるように、珊瑚はもっとも環境の変化に弱い生物として知られて いる。ところが6500万年前、アンモナイトが絶滅するような環境大激変が起こったにもかかわらず珊瑚にはほとんど影響を与えた様子は見られないのであ る。
ところが、アンモナイトには、絶滅する以前から異常が発生している。白亜紀後期、異常巻きアンモナイトが次々と出現し、この異常巻きアンモナイトが絶滅 の原因に何らかの形で関係するのではないかと思われていた。 異常巻きアンモナイトは日本から多く発見されているため博物館などで見た事のある方もいるだ ろう。
この異常巻きアンモナイトも、急速な重力の増加が、アンモナイトの発育に大きな影響を与えた結果であり、異常巻きアンモナイトが次々と現れた事はまったく自然である。
一方、珊瑚は、珊瑚虫と呼ばれる微細な生物が作り出した一種の集合住宅のようなものである為、全体としては非常に丈夫で十分に重力の変化に耐えうる。又、巨大な珊瑚礁を作り出す珊瑚虫も微細な生物である為、重力の変化はほとんど受けなかったのである。
飛行の為に必要な最小速度Vminは、翼面積をA、重さをWとするとVmin=((W/A)/定数)0.5 W/Aは翼面荷量と呼ばれる。ここで言う定 数とは、翼の形状により決定されるが、優れた設計の翼でおおむね0.9kg/m3である。定数が0.9kg/m3だとVmin=(1.1×翼面荷 量)0.5の式が成り立つ。
この式より、体の大きさが2倍になると最小飛行速度は約1.4倍になることがわかる。つまり体が大きくなるほど飛び立つ為の速度が上がることになる。
現在、飛行する鳥としては最大級のアホウドリの翼面荷量は、150N/m2で最小飛行速度は約13m/S、時速47キロメーテルになる。
よってアホウドリが飛び立つ為には、風上に向かって全力で滑走を行い翼にあたる風の速度をこれ以上に上げて、見るからに重そうに飛び立つのである。 したがってこれぐらいの速度が、動物が飛び立てる限界に近いと思われる。
それでは、ケツァルコアトルス・ノースロピとして知られる翼竜に当てはめて計算してみよう。翼竜は、骨の内部に大きな空洞がある非常に特殊な構造で、大きさの割には体重が軽いと言われている為、鳥と翼竜を単純に2乗、3乗の法則に当てはめる事は出来ない。
ケツァルコアトルスの翼開長は約12m、体重は異常に軽く90kg以下と見積もられている。
体重を90kgとしローヤルティレル博物館のイラストを元に算出した結果、翼面積は約4.3m2で翼面荷量は209 N/m2になる。 したがって飛行最小速度は15m/S、実に時速54.6キロメートルにもなる。どう考えても、翼開長12mの華奢な翼竜がこのような速 度で滑走したとは考えられない。たとえ風の力を借りたとしても、太平洋の強い風を受けて飛び立つアホウドリと違い、内陸部に生息したケツァルコアトルスは よほどの強風の時でないと飛び立てない。さらにアホウドリは助走の時、翼をはばたかせスピードを稼ぎ出しているが、骨がすかすかで12mもある翼竜が翼を 羽ばたかせたとは到底考えられない。
飛行最小速度が時速54.6キロメートルと言う事は、着陸する時もこれ以下にスピードを落とす事が出来ないと言う事である。これ以下にスピードを落とす と着陸前に墜落してしまう為である。たとえ100歩譲って飛び立てたとしても、翼竜の華奢な体はこのような速度での着陸には耐えられない。
このように恐竜や翼竜の存在自体が1Gの環境下では不可能なのだ。その証拠に恐竜が絶滅して6500万年も経つのに恐竜たちがいなくなって出来たニッチ を埋める巨大な生物は登場していない。生物界ではある「種」が絶滅すると必ずそこにできたニッチを埋め合わせする「種」が現れることは常識として広く知ら れている。この事は、何も地上に限った事ではない空中でも同じ事が言える。巨大な翼竜が絶滅して出来たニッチは埋められていない。ここで、間違いの無いよ うにはっきりしておきたいが、翼竜や魚竜は恐竜とはまったく別の種に属す。
偶然にも?恐竜、翼竜、魚竜と言う3種類のまったく種の異なる巨大な生物群が当時存在していたのだ。陸上の恐竜だけならまだしも、陸、海、空の3種類の 異なる生態系で巨大な生物が生息し、同時に絶滅し、そのニッチを埋め合わせする生物群は浮力のため重力の影響を受けにくい海中を除いて現れていないのであ る。
アンモナイトと珊瑚
6500万年前に絶滅したのは恐竜だけではない、多くの種が大量に絶滅している。
今度は海洋生物に目を向けてみよう。海中でも多くの生物が絶滅しているが当時、魚竜と共にもっとも繁栄したアンモナイトもこの時期に絶滅している。
当然のようにアンモナイトの絶滅も隕石衝突による環境の激変で説明されているが、ここに大変な矛盾が存在する事は、多くの研究者が見とめるところであ る。それは珊瑚の存在である。環境破壊の結果珊瑚礁が急速に破壊されてきている事からもわかるように、珊瑚はもっとも環境の変化に弱い生物として知られて いる。ところが6500万年前、アンモナイトが絶滅するような環境大激変が起こったにもかかわらず珊瑚にはほとんど影響を与えた様子は見られないのであ る。
ところが、アンモナイトには、絶滅する以前から異常が発生している。白亜紀後期、異常巻きアンモナイトが次々と出現し、この異常巻きアンモナイトが絶滅 の原因に何らかの形で関係するのではないかと思われていた。 異常巻きアンモナイトは日本から多く発見されているため博物館などで見た事のある方もいるだ ろう。
この異常巻きアンモナイトも、急速な重力の増加が、アンモナイトの発育に大きな影響を与えた結果であり、異常巻きアンモナイトが次々と現れた事はまったく自然である。
一方、珊瑚は、珊瑚虫と呼ばれる微細な生物が作り出した一種の集合住宅のようなものである為、全体としては非常に丈夫で十分に重力の変化に耐えうる。又、巨大な珊瑚礁を作り出す珊瑚虫も微細な生物である為、重力の変化はほとんど受けなかったのである。
何が運命を分けたか
6500万年前に環境の激変があった事だけは間違いがない。環境の激変、主に重量の増加によって恐竜に限らずある程度の大きさの生き物はすべて自分の重さ に耐え切れなくなり絶滅したのだ。当時恐竜の足元を這い回っていたネズミほどの大きさしかない哺乳類は、体重変化の影響が少なかったため絶滅を逃れたので ある。
しかし、ワニなどの爬虫類の一部は当時から巨大だったことがわかっている。ではなぜワニなどの巨大な爬虫類は生き残れたのだろう。
現存する爬虫類と恐竜の違いを考えれば答えは出てくる。足のつき方である。爬虫類では、足は体に対して水平に横に突き出している、したがって爬虫類が移 動するときは体重をお腹で支えながら移動出来るのに対して、恐竜や哺乳類では足にすべての体重がかかってくる。もちろん足で体重を支え移動するほうがお腹 を引きずるよりはるかに早く移動できるのだから、より進化していると言えるのだが、急激な体重の変化にはこのことが仇となった。もともとお腹を引きずり移 動していた巨大なワニなどの爬虫類は体全体で体重を支える事が出来たのに対して、恐竜は体の構造上、足ですべての体重を支える以外になかった。
さらに肋骨がお腹の方まで伸びている事により横になって休む事が出来なかった事も不利に働いた。恐らく一度ひっくり返った恐竜はもう2度と起き上がることすら出来なかったであろう。
こうして、より進化していた恐竜たちが絶滅したのに対して多くの爬虫類が生き残れたのである。
しかしすべての恐竜が完全に絶滅してしまったかと言うとそうではない。白亜紀の終わり、すでに鳥として進化した恐竜の一部は、小型化と軽量化に向けて体 を作り変えたおかげで、重力変化の影響に辛うじて打ち勝つことができたのである。重力が変化しなければ10mほどもある鳥が空を飛び回っていたかもしれな い。
白亜紀の謎
最近恐竜隕石絶滅説に対する反論に恐竜は白亜紀の終わりに突然絶滅したのではない事が指摘されている。モンタナ州立大学のジョン・ホーナー博士による と、今から7500万年前の白亜紀に絶頂期を迎えた恐竜は、その100万年後の7400万年ほど前から種のレベルで急速に数を減らしつつあったことがあげ られている。このことは隕石衝突説ではどうしても説明できない、恐竜を絶滅に追いやった原因が他にあるはずだ。これも重力が白亜紀の終わりにかけて急速に 増加しつつあったとすると説明がつく。
恐竜が絶頂期を迎えた白亜紀は、異常に活発な火山活動と異常な海面の上昇で知られている。当時の海面は現在よりも300mも高かった。確かに白亜紀は非 常に温暖で極地の氷もすべて溶けていた。しかし、たとえ極地の氷がすべて溶けたとしても、海面の上昇はせいぜい数十メートル単位で決して300mも上昇す る事は考えられない。ではこの水はいったい何処に行ってしまったのだろうか?何処にも行ってはいない!重力の上昇に伴い水の重さも上昇した為、短に自重で 海面が下がっただけなのだ。
又、火山活動が活発だったのも当然地上からの圧力が低かった事で説明がつく。
巨大なメタセコイアのような針葉樹の大森林が地上を覆ったのも、火山活動が活発で地殻が大きく動いたのも海面が高かったのもすべて重力が小さかったからだ。
しかし、巨大隕石が、恐竜が絶滅した時期と同じ6500万年前に地球に衝突したこともまた事実である。偶然であろうか。
しかし、ワニなどの爬虫類の一部は当時から巨大だったことがわかっている。ではなぜワニなどの巨大な爬虫類は生き残れたのだろう。
現存する爬虫類と恐竜の違いを考えれば答えは出てくる。足のつき方である。爬虫類では、足は体に対して水平に横に突き出している、したがって爬虫類が移 動するときは体重をお腹で支えながら移動出来るのに対して、恐竜や哺乳類では足にすべての体重がかかってくる。もちろん足で体重を支え移動するほうがお腹 を引きずるよりはるかに早く移動できるのだから、より進化していると言えるのだが、急激な体重の変化にはこのことが仇となった。もともとお腹を引きずり移 動していた巨大なワニなどの爬虫類は体全体で体重を支える事が出来たのに対して、恐竜は体の構造上、足ですべての体重を支える以外になかった。
さらに肋骨がお腹の方まで伸びている事により横になって休む事が出来なかった事も不利に働いた。恐らく一度ひっくり返った恐竜はもう2度と起き上がることすら出来なかったであろう。
こうして、より進化していた恐竜たちが絶滅したのに対して多くの爬虫類が生き残れたのである。
しかしすべての恐竜が完全に絶滅してしまったかと言うとそうではない。白亜紀の終わり、すでに鳥として進化した恐竜の一部は、小型化と軽量化に向けて体 を作り変えたおかげで、重力変化の影響に辛うじて打ち勝つことができたのである。重力が変化しなければ10mほどもある鳥が空を飛び回っていたかもしれな い。
白亜紀の謎
最近恐竜隕石絶滅説に対する反論に恐竜は白亜紀の終わりに突然絶滅したのではない事が指摘されている。モンタナ州立大学のジョン・ホーナー博士による と、今から7500万年前の白亜紀に絶頂期を迎えた恐竜は、その100万年後の7400万年ほど前から種のレベルで急速に数を減らしつつあったことがあげ られている。このことは隕石衝突説ではどうしても説明できない、恐竜を絶滅に追いやった原因が他にあるはずだ。これも重力が白亜紀の終わりにかけて急速に 増加しつつあったとすると説明がつく。
恐竜が絶頂期を迎えた白亜紀は、異常に活発な火山活動と異常な海面の上昇で知られている。当時の海面は現在よりも300mも高かった。確かに白亜紀は非 常に温暖で極地の氷もすべて溶けていた。しかし、たとえ極地の氷がすべて溶けたとしても、海面の上昇はせいぜい数十メートル単位で決して300mも上昇す る事は考えられない。ではこの水はいったい何処に行ってしまったのだろうか?何処にも行ってはいない!重力の上昇に伴い水の重さも上昇した為、短に自重で 海面が下がっただけなのだ。
又、火山活動が活発だったのも当然地上からの圧力が低かった事で説明がつく。
巨大なメタセコイアのような針葉樹の大森林が地上を覆ったのも、火山活動が活発で地殻が大きく動いたのも海面が高かったのもすべて重力が小さかったからだ。
しかし、巨大隕石が、恐竜が絶滅した時期と同じ6500万年前に地球に衝突したこともまた事実である。偶然であろうか。
重力変化のメカニズム
そもそも重力の変化などと言う大異変は、どのようなメカニズムで起こったのだろうか。原因としては、3つの可能性が考えられる。第一の可能性は物理法則で ある万有引力定数自体が変化した可能性である。1938年イギリスの物理学者P.ディラックは「宇宙の新しい基礎」と言う論文の中で万有引力定数が減少し ているとの考えを示し学会に衝撃を与えた。
彼の説によると電気力/万有引力=宇宙の年齢となる。よって宇宙の年齢が増せば万有引力はどんどん小さくなっていく事になる。しかし、P.ディラックの 説は実証されていない上、実証されたとしても万有引力が急激に変化した事の説明は出来ない。さらに万有引力が変化すると惑星や恒星、しいては宇宙全体の運 動にまで影響があるため恐竜の絶滅ぐらいの事ではすまないだろう。
第二の可能性は、地球の質量が大きくなった為に作用する万有引力が大きくなった場合である。地球の質量が増える為には地球外から質量が供給される以外には考えられない。
白亜紀末想像以上に大量の隕石が降り注ぎ地球が大きくなったと言う説もあるが、これも地質学上の歴史記録である地球の地層を見る限り、白亜紀末に突然地 球が大きくなったなどと言う事は記録されていない。もっとも白亜紀末に地球に衝突したものが、隕石ではなくミニブラックホールで、地球の重力に捕獲された ミニブラックホールは地球中心で今でも鎮座していると言うのも魅力的な考えではあるのだが。そのような事が実際に起こりえるのかメカニズムが不明な上、や はり地球に与える影響は恐竜の絶滅如きではすまないだろう。
したがってここではもう1つの可能性、万有引力定数は変化しないが重力を打ち消す第3の力が働いた場合を考えてみよう。重力と言うと常に一定で変化しな い物のように感じるが、回転する物体には遠心力が働いている事を忘れてはならない。回転ジェットコースターで逆さまになっても落下しないのは、遠心力の力 が地球の引力よりも大きくなっているからである。遠心力と万有引力は物理学上は区別できず、地球上の物に働く重力とは地球との間に作用する万有引力と地球 の自転に伴う遠心力のベクトル和であらわされる事になる。よって地球の自転速度が変化すれば当然重力は変化するのである。
質量mの物体に作用する遠心力の大きさは、質量(m)×中心からの距離(r)×回転角速度(Ω)の2乗である。したがって現在の赤道上にある1kgの物 体に働く遠心力は、質量:1kg×地球の赤道半径:6378140m×地球の自転角速度の2乗:5.3110×10-9rad/s=0.0339Nであ る。つまり質量の1/289となりほとんど無視できる事になる。
では地球の自転速度が5倍になるとどうだろう、1×6378140×1.329310-7=0.8478Nで質量の1/11.5となり重量は1割弱軽く なる。自転速度が10倍になると1×6378140×5.317310-7=3.391Nで質量の1/2.9となり重量は約2/3になる。さらに自転速度 が15倍になると1×6378140×1.196410-6=7.631Nとなり重量は約1/4になる。自転速度が17倍で地球の引力は完全に打ち消され る事になる。
想像以上に遠心力が重力に与える影響の大きい事が理解していただけただろう。
そう!恐竜の生きた時代、地球は今よりもずっと早く自転していたのだ。事実、地球の誕生直後は現在よりもずっと早く自転していたと思われている。月誕生の仮説の1つ親子説では、地球の遠心力が強すぎた為に地球の一部が飛び出し月になったとされている。
地球の引力が遠心力に打ち消され重力が小さくなっていたとすると、当然高緯度地方に行くに従い回転中心からの距離が短くなるため、遠心力は小さくなり重力は大きくなる。
現在では極地方からも恐竜の発見が相次いでいるが、いずれも比較的小型の恐竜ばかりである。当時、極地方に属していたオーストラリアの恐竜の谷からは、 大型の肉食恐竜として知られるアロサウルスの仲間が発見されているが、なぜかここから発見されたアロサウルスは2m前後とすべて小型なのである。今までこ の理由はわかっていなかったが、極地方の重力が低緯度地方に比べ遥かに大きかったとすると見事に説明できる。
彼の説によると電気力/万有引力=宇宙の年齢となる。よって宇宙の年齢が増せば万有引力はどんどん小さくなっていく事になる。しかし、P.ディラックの 説は実証されていない上、実証されたとしても万有引力が急激に変化した事の説明は出来ない。さらに万有引力が変化すると惑星や恒星、しいては宇宙全体の運 動にまで影響があるため恐竜の絶滅ぐらいの事ではすまないだろう。
第二の可能性は、地球の質量が大きくなった為に作用する万有引力が大きくなった場合である。地球の質量が増える為には地球外から質量が供給される以外には考えられない。
白亜紀末想像以上に大量の隕石が降り注ぎ地球が大きくなったと言う説もあるが、これも地質学上の歴史記録である地球の地層を見る限り、白亜紀末に突然地 球が大きくなったなどと言う事は記録されていない。もっとも白亜紀末に地球に衝突したものが、隕石ではなくミニブラックホールで、地球の重力に捕獲された ミニブラックホールは地球中心で今でも鎮座していると言うのも魅力的な考えではあるのだが。そのような事が実際に起こりえるのかメカニズムが不明な上、や はり地球に与える影響は恐竜の絶滅如きではすまないだろう。
したがってここではもう1つの可能性、万有引力定数は変化しないが重力を打ち消す第3の力が働いた場合を考えてみよう。重力と言うと常に一定で変化しな い物のように感じるが、回転する物体には遠心力が働いている事を忘れてはならない。回転ジェットコースターで逆さまになっても落下しないのは、遠心力の力 が地球の引力よりも大きくなっているからである。遠心力と万有引力は物理学上は区別できず、地球上の物に働く重力とは地球との間に作用する万有引力と地球 の自転に伴う遠心力のベクトル和であらわされる事になる。よって地球の自転速度が変化すれば当然重力は変化するのである。
質量mの物体に作用する遠心力の大きさは、質量(m)×中心からの距離(r)×回転角速度(Ω)の2乗である。したがって現在の赤道上にある1kgの物 体に働く遠心力は、質量:1kg×地球の赤道半径:6378140m×地球の自転角速度の2乗:5.3110×10-9rad/s=0.0339Nであ る。つまり質量の1/289となりほとんど無視できる事になる。
では地球の自転速度が5倍になるとどうだろう、1×6378140×1.329310-7=0.8478Nで質量の1/11.5となり重量は1割弱軽く なる。自転速度が10倍になると1×6378140×5.317310-7=3.391Nで質量の1/2.9となり重量は約2/3になる。さらに自転速度 が15倍になると1×6378140×1.196410-6=7.631Nとなり重量は約1/4になる。自転速度が17倍で地球の引力は完全に打ち消され る事になる。
想像以上に遠心力が重力に与える影響の大きい事が理解していただけただろう。
そう!恐竜の生きた時代、地球は今よりもずっと早く自転していたのだ。事実、地球の誕生直後は現在よりもずっと早く自転していたと思われている。月誕生の仮説の1つ親子説では、地球の遠心力が強すぎた為に地球の一部が飛び出し月になったとされている。
地球の引力が遠心力に打ち消され重力が小さくなっていたとすると、当然高緯度地方に行くに従い回転中心からの距離が短くなるため、遠心力は小さくなり重力は大きくなる。
現在では極地方からも恐竜の発見が相次いでいるが、いずれも比較的小型の恐竜ばかりである。当時、極地方に属していたオーストラリアの恐竜の谷からは、 大型の肉食恐竜として知られるアロサウルスの仲間が発見されているが、なぜかここから発見されたアロサウルスは2m前後とすべて小型なのである。今までこ の理由はわかっていなかったが、極地方の重力が低緯度地方に比べ遥かに大きかったとすると見事に説明できる。
月
それでは、地球の自転は何故、急に遅くなってしまったのだろうか。地球自体が何の力も受けずに独りでに自転が遅くなったとは考えられない。もっとも考えや すいのは大きな質量を持った他の天体が地球に接近し、自転にブレーキをかけたと言う事だ。実は太陽系には、未知の天体が侵入してきて大カタストロフィーを 引き起こした記録がいたるところに見られる。
太陽系の一番外側を回る惑星冥王星から順に見ていこう。冥王星の公転軌道は大きな楕円を描いており、その軌道面は17度も傾いた異常な軌道である。自転 軸もほぼ横倒しに近い状態から、他の太陽系の惑星とは別の起源と思われている。1つ内側の惑星である海王星は、トリトンと呼ばれる特異な衛星を備えてい る。この衛星の何処が特異かと言うと、太陽系の他の衛星はすべて同じ方向に惑星の周りを公転しているのに対し、トリトンだけが逆効しているのである。
冥王星と海王星の衛星トリトンは、様々な部分で似た特徴があるため、太陽系の辺境の何処か別の場所で誕生した天体が、あるとき太陽系内に進入してきて、冥王星はそのまま惑星に、トリトンは海王星の重力に囚われそのまま海王星の衛星になったのではないかと思われている。
さらに1つ内側の惑星である天王星には、明確な惑星大衝突の痕跡が残されている。天王星は冥王星と違い、明らかに太陽系に属する惑星であるにもかかわら ず、他の惑星と違い自転軸は98度傾き(ほぼ横倒し)、衛星もこの傾いた自転軸に沿って公転している。又、磁軸は自転軸からさらに60度も傾いて、軸は中 心から30度も離れたところを通っている。
現在これらは、太陽系内に進入してきた未知の天体との大衝突の痕以外には考えられないとされている。この大衝突を物語るように天王星の衛星ミランダからは、巨大な引っ掻き痕のような地形が発見されている。
このように太陽系内には明確に未知の天体が進入して来た痕跡が残されているのである。
白亜紀の終わり地球の自転に急ブレーキをかけたのは、このような天体の1つと考えられる。もしかしたら同じ天体が天王星を突き飛ばし、ミランダを引っ掻き、地球の自転に急ブレーキをかけたのかもしれない。
それではこの未知の天体は、何処に言ってしまったのだろうか?太陽系のかなたに消え去ったのだろうか?とんでもない!犯人はすぐそこにいて今でも世界中の夜をロマンティックに照らしている。
そう!地球の衛星である月こそその正体だ。月は、地球本体との大きさの比率が異常に大きな衛星であることが知られていて月の起源に関しては太陽系最大の 謎のひとつになっている。現在、月の起源については様々な説があるが、太陽系の外側からやってきた天体が地球の引力に囚われたとする「他人説」も有力な説 の1つとしてあげられている。
又、地球・月系の角運動量(地球の自転と月の公転を合わせた回転)は太陽系のほかの惑星よりも高い事が知られているが、月が地球の軌道に乗った時、地球 の早かった回転エネルギーを取り込んだ結果である。月が地球の軌道に乗った時、その回りには多くの小天体を従えていたはずである。それらの小天体は、次々 に地球に落下してきた事だろう、その中でも最大規模の隕石が白亜紀末に地球に衝突したのである。事実最近インドからもシヴァと名づけられた長径600km にも及ぶ6500万年前に形成された衝突クレータが発見され、白亜紀の終わりに地球に衝突した隕石は1つではなく複数であったことが判明している。このシ ヴァを形成した隕石は直径約40kmと推定されユカタン半島よりはるかに大きな衝突だった事が確認された。このような複数の巨大な隕石が同じ時期に偶然衝 突する可能性は限りなくゼロに近い為、月の捕獲のような太陽系規模の大惨事以外には考えられない。
急激な重力の変化で絶滅に向かって種を減らしつつあった恐竜に、隕石衝突はとどめを刺したのである。
以上重力が変化した理由をもっとも可能性がある自転速度の低下で説明したが、最近NASAの惑星探査機パイオニア10号11号のデータを解析していた科 学者から衝撃的な報告がなされた。太陽系のかなたに向かって遠ざかりつつあった、これらの探査機にブレーキがかかりつつあると言うのだ。様々な可能性を検 討した結果、何らかの未知の力が働いているとしか考えられないらしい。この現象が確認されれば重力理論自体を見なおす必要が出てくるかもしれないのであ る。その場合、重力定数の変化と言う可能性もにわかに現実味を帯びてくる。
いずれにせよ1Gの現在の世界では常識的に考えて恐竜のような巨大生物の存在は想像できないし、ありえないということだ。恐竜学者ですら巨大な竜脚類が地上を歩いていたとは信じられないため、長い間沼地で水に浸かった姿を想像してきたのである。
旅客機ほどもある翼竜がバタバタと空で羽ばたきゴジラのような生物が地上を徘徊する世界が想像できますか?
太陽系の一番外側を回る惑星冥王星から順に見ていこう。冥王星の公転軌道は大きな楕円を描いており、その軌道面は17度も傾いた異常な軌道である。自転 軸もほぼ横倒しに近い状態から、他の太陽系の惑星とは別の起源と思われている。1つ内側の惑星である海王星は、トリトンと呼ばれる特異な衛星を備えてい る。この衛星の何処が特異かと言うと、太陽系の他の衛星はすべて同じ方向に惑星の周りを公転しているのに対し、トリトンだけが逆効しているのである。
冥王星と海王星の衛星トリトンは、様々な部分で似た特徴があるため、太陽系の辺境の何処か別の場所で誕生した天体が、あるとき太陽系内に進入してきて、冥王星はそのまま惑星に、トリトンは海王星の重力に囚われそのまま海王星の衛星になったのではないかと思われている。
さらに1つ内側の惑星である天王星には、明確な惑星大衝突の痕跡が残されている。天王星は冥王星と違い、明らかに太陽系に属する惑星であるにもかかわら ず、他の惑星と違い自転軸は98度傾き(ほぼ横倒し)、衛星もこの傾いた自転軸に沿って公転している。又、磁軸は自転軸からさらに60度も傾いて、軸は中 心から30度も離れたところを通っている。
現在これらは、太陽系内に進入してきた未知の天体との大衝突の痕以外には考えられないとされている。この大衝突を物語るように天王星の衛星ミランダからは、巨大な引っ掻き痕のような地形が発見されている。
このように太陽系内には明確に未知の天体が進入して来た痕跡が残されているのである。
白亜紀の終わり地球の自転に急ブレーキをかけたのは、このような天体の1つと考えられる。もしかしたら同じ天体が天王星を突き飛ばし、ミランダを引っ掻き、地球の自転に急ブレーキをかけたのかもしれない。
それではこの未知の天体は、何処に言ってしまったのだろうか?太陽系のかなたに消え去ったのだろうか?とんでもない!犯人はすぐそこにいて今でも世界中の夜をロマンティックに照らしている。
そう!地球の衛星である月こそその正体だ。月は、地球本体との大きさの比率が異常に大きな衛星であることが知られていて月の起源に関しては太陽系最大の 謎のひとつになっている。現在、月の起源については様々な説があるが、太陽系の外側からやってきた天体が地球の引力に囚われたとする「他人説」も有力な説 の1つとしてあげられている。
又、地球・月系の角運動量(地球の自転と月の公転を合わせた回転)は太陽系のほかの惑星よりも高い事が知られているが、月が地球の軌道に乗った時、地球 の早かった回転エネルギーを取り込んだ結果である。月が地球の軌道に乗った時、その回りには多くの小天体を従えていたはずである。それらの小天体は、次々 に地球に落下してきた事だろう、その中でも最大規模の隕石が白亜紀末に地球に衝突したのである。事実最近インドからもシヴァと名づけられた長径600km にも及ぶ6500万年前に形成された衝突クレータが発見され、白亜紀の終わりに地球に衝突した隕石は1つではなく複数であったことが判明している。このシ ヴァを形成した隕石は直径約40kmと推定されユカタン半島よりはるかに大きな衝突だった事が確認された。このような複数の巨大な隕石が同じ時期に偶然衝 突する可能性は限りなくゼロに近い為、月の捕獲のような太陽系規模の大惨事以外には考えられない。
急激な重力の変化で絶滅に向かって種を減らしつつあった恐竜に、隕石衝突はとどめを刺したのである。
以上重力が変化した理由をもっとも可能性がある自転速度の低下で説明したが、最近NASAの惑星探査機パイオニア10号11号のデータを解析していた科 学者から衝撃的な報告がなされた。太陽系のかなたに向かって遠ざかりつつあった、これらの探査機にブレーキがかかりつつあると言うのだ。様々な可能性を検 討した結果、何らかの未知の力が働いているとしか考えられないらしい。この現象が確認されれば重力理論自体を見なおす必要が出てくるかもしれないのであ る。その場合、重力定数の変化と言う可能性もにわかに現実味を帯びてくる。
いずれにせよ1Gの現在の世界では常識的に考えて恐竜のような巨大生物の存在は想像できないし、ありえないということだ。恐竜学者ですら巨大な竜脚類が地上を歩いていたとは信じられないため、長い間沼地で水に浸かった姿を想像してきたのである。
旅客機ほどもある翼竜がバタバタと空で羽ばたきゴジラのような生物が地上を徘徊する世界が想像できますか?
ジュラシックミステリーに新しい証拠
ジュラシックミステリーは、読んでいただけたでしょうか? まだの方は、これまでのコラムから、ぜひお読みください。最近、ジュラシックミステリーの仮説を裏付ける恐竜の謎が新たに出てきたので、報告をしたいと思います。
今年(2002年)の1月に発表されたケンブリッジ大学のジュリア・デイ博士等の研究によると、ティラノサウルス等の肉食の獣脚類は、少なくとも短距離走が可能であったという事です。
この研究はデイ博士等が、イギリス・オクスフォードシャーのアードレイ採石場に残された恐竜の足跡の化石を用い、恐竜の歩き方とそのスピードを考察したものです。
この採石場の、約1億6000万年前のジュラ紀中ごろに付けられた足跡化石からは、恐竜が歩行しているときと、走っているときの、2種類の違った動きのパターンが読み取れたという。
足跡は、180mに渡って残されており、そのうちの約35m分が走った痕であった。
この足跡は、二足歩行の肉食恐竜が付けた物で、この恐竜の腰の高さまでは約2mあったという。腰の高さまでで2mと言う事は、間違いなくティラノサウル ス級の大型肉食恐竜のものである。デイ博士等は、それらを基に恐竜の歩行パターンを計算したところ、通常の歩行では、ゆっくりとした約1.4mの歩幅で鳩 のようにぎこちなく、時速約6.4kmの速度で歩いていたらしい。ところがいったん走り出すと、つま先で地面を蹴る様にして時速31kmものスピードで、 猛ダッシュしたと言うのだ。まさに人間の短距離走者と同じような走り方である。
確かにハリウッド映画「ジュラシックパーク」でも、ティラノサウルスが走っている姿が出てきたが、足跡と言うゆるぎない証拠により実際に走れた事が立証 されたわけだ。めでたし!めでたし!と言いたい所だが、その研究発表のすぐ後の3月に、まったく正反対の研究報告がアメリカ・スタンフォード大学の科学者 ジョン・ハッチンソン等により発表されたのだ。
ハッチンソン博士等は、動物の動作を解析できるコンピュータ・プログラムを作成し、ティラノサウルスの動きの解析を行った結果、ティラノサウルスが走る為には、信じられないほど巨大な筋肉が必要になるという結果を導き出した。
ハッチンソン博士等によるティラノサウルスの運動の解析は実に精密なもので、力積、重心、脚の重さ、全体の重さや各関節に必要な筋肉のネジリ応力など、多くのパラメータをプログラムに与えシミュレーションを行っている。
ハッチンソン博士等は、まず、ティラノサウルスの体重を約7トンと見積もり、時速72kmで全力疾走をしている場合の解析を行ってみた。この時速 72kmと言う値は、一部の恐竜学者が主張しているティラノサウルスの走る最高速度である。結果、ティラノサウルスのそれぞれの脚には、全体重の43%つ まり約3トンもの重量の筋肉が無いと体を支え走る事が不可能だという結果になった。
足の重さだけで、全体重の6/7を占める実にアンバランスなティラノサウルスになってしまった。もちろん、そんな恐竜が存在できるわけがない。博士等 は、走るスピードを変え計算を繰り返した結果、ティラノサウルスは、いかなるスピードでも走る事が、不可能であると言う結論にたどり着いたのだ。
更に、博士等は鶏をティラノサウルスの大きさにまで拡大し、同じプログラムを用いて解析を行ってみた。その結果、鶏はそのまま相似形に拡大しても、自分の体重を支えて立つ事さえ出来ないと言う結果にたどり着いた。
如何でしょう? 足跡では恐竜は走っているのに、学者が計算しても走れないと言う結果になってしまったのだ。どちらかが間違っているはずである。しか し、足跡に偽りがあるはずもないのだから、やはり計算が間違っていると考えるべきでしょう。一体、何が悪いのだろうか? ジュラシックミステリーの中でも 計算したとおり、何もコンピューターを用いなくても恐竜が走れない事は明白です。つまり、計算に使ったパラメータに誤りがある以外に考えられない。
間違ったパラメータ。それは、地球の重力の値である。
今年(2002年)の1月に発表されたケンブリッジ大学のジュリア・デイ博士等の研究によると、ティラノサウルス等の肉食の獣脚類は、少なくとも短距離走が可能であったという事です。
この研究はデイ博士等が、イギリス・オクスフォードシャーのアードレイ採石場に残された恐竜の足跡の化石を用い、恐竜の歩き方とそのスピードを考察したものです。
この採石場の、約1億6000万年前のジュラ紀中ごろに付けられた足跡化石からは、恐竜が歩行しているときと、走っているときの、2種類の違った動きのパターンが読み取れたという。
足跡は、180mに渡って残されており、そのうちの約35m分が走った痕であった。
この足跡は、二足歩行の肉食恐竜が付けた物で、この恐竜の腰の高さまでは約2mあったという。腰の高さまでで2mと言う事は、間違いなくティラノサウル ス級の大型肉食恐竜のものである。デイ博士等は、それらを基に恐竜の歩行パターンを計算したところ、通常の歩行では、ゆっくりとした約1.4mの歩幅で鳩 のようにぎこちなく、時速約6.4kmの速度で歩いていたらしい。ところがいったん走り出すと、つま先で地面を蹴る様にして時速31kmものスピードで、 猛ダッシュしたと言うのだ。まさに人間の短距離走者と同じような走り方である。
確かにハリウッド映画「ジュラシックパーク」でも、ティラノサウルスが走っている姿が出てきたが、足跡と言うゆるぎない証拠により実際に走れた事が立証 されたわけだ。めでたし!めでたし!と言いたい所だが、その研究発表のすぐ後の3月に、まったく正反対の研究報告がアメリカ・スタンフォード大学の科学者 ジョン・ハッチンソン等により発表されたのだ。
ハッチンソン博士等は、動物の動作を解析できるコンピュータ・プログラムを作成し、ティラノサウルスの動きの解析を行った結果、ティラノサウルスが走る為には、信じられないほど巨大な筋肉が必要になるという結果を導き出した。
ハッチンソン博士等によるティラノサウルスの運動の解析は実に精密なもので、力積、重心、脚の重さ、全体の重さや各関節に必要な筋肉のネジリ応力など、多くのパラメータをプログラムに与えシミュレーションを行っている。
ハッチンソン博士等は、まず、ティラノサウルスの体重を約7トンと見積もり、時速72kmで全力疾走をしている場合の解析を行ってみた。この時速 72kmと言う値は、一部の恐竜学者が主張しているティラノサウルスの走る最高速度である。結果、ティラノサウルスのそれぞれの脚には、全体重の43%つ まり約3トンもの重量の筋肉が無いと体を支え走る事が不可能だという結果になった。
足の重さだけで、全体重の6/7を占める実にアンバランスなティラノサウルスになってしまった。もちろん、そんな恐竜が存在できるわけがない。博士等 は、走るスピードを変え計算を繰り返した結果、ティラノサウルスは、いかなるスピードでも走る事が、不可能であると言う結論にたどり着いたのだ。
更に、博士等は鶏をティラノサウルスの大きさにまで拡大し、同じプログラムを用いて解析を行ってみた。その結果、鶏はそのまま相似形に拡大しても、自分の体重を支えて立つ事さえ出来ないと言う結果にたどり着いた。
如何でしょう? 足跡では恐竜は走っているのに、学者が計算しても走れないと言う結果になってしまったのだ。どちらかが間違っているはずである。しか し、足跡に偽りがあるはずもないのだから、やはり計算が間違っていると考えるべきでしょう。一体、何が悪いのだろうか? ジュラシックミステリーの中でも 計算したとおり、何もコンピューターを用いなくても恐竜が走れない事は明白です。つまり、計算に使ったパラメータに誤りがある以外に考えられない。
間違ったパラメータ。それは、地球の重力の値である。
ジュラシックミステリー発売記念
進化を続けた恐竜 1
地球の軽い重力のもと大繁栄を遂げた恐竜は、白亜紀後期、重力の増大とともに絶滅への道を歩みはじめた。そして白亜紀末、今から6500万年前、月ととも に地球に捉えられていた小天体の幾つかが地球に衝突し、すでに絶滅寸前にあった恐竜に最後のとどめを刺した。こうして恐竜の楽園は、永遠に地球上から失わ れてしまった。
この時、もし恐竜が死に絶えることなく生き残ったとすれば、一体この世界はどうなっていただろうか。はたして、哺乳類はこれほど繁栄する事が出来ただろうか。 恐竜が生き残っていたら
恐竜の絶滅後、生物学的に恐竜に最も近い鳥類は、主に空中でのニッチを埋める形に進化を遂げた。恐竜がいなくなった事により、空白になった地上のニッチ の大半は、現在哺乳類により埋められている。もし、大絶滅を小型の恐竜の一部が生き残る事が出来たとしたら、世の中はどう変わっていただろうか。
ほとんどの恐竜は、とにかく大きかった。おそらく草食恐竜で、生き残る事が可能なほど小さな恐竜は存在しない。唯一、生き残る可能性があるとしたら、コンプソグナトスのような、小型の肉食恐竜であろう。
しかし何とか、絶滅を逃れた肉食恐竜だが、今度は食料に困る事になる。何しろ、草食恐竜はもう存在しないのだ。哺乳類は、おそらく夜行性ですばしこかっ たため、恐竜が捕食することは難しかったのではないだろうか。昆虫や小型の爬虫類を襲い、食料にする以外に道は無い。ただでさえ食料が少ない上に、「核の 冬」による食糧不足が追い討ちをかけるだろう。大絶滅を生きのびた肉食恐竜がいたとしても、やがて絶滅してしまう可能性が、最も高いと言えるだろう。
結局、重力が変わった場合、恐竜はどんなにがんばっても絶滅する運命にあったと言えるのでは無いだろうか。
しかし、それでも強引に恐竜が生き残った可能性を考えてみよう。
大型の恐竜は、とっくに滅亡したところに、とどめの隕石衝突が起こった。
隕石の衝突直後引き起こされた、大津波や地球規模の火災、地殻変動などで、残された恐竜を含む地上生物の大半は、短期間のうちに姿を消してしまう事は間違いない。
運良く、最初の災難を逃れた生物に、次に襲い掛かる脅威は、「核の冬」による気候の寒冷化だ。陸上は短期間のうちに極寒の地と化し、海中にもその影響はゆっくり浸透していったかもしれない。この寒冷化が、じわじわと生き残った生物を絶滅の淵へと追いやっていく事だろう。
もし、この時期まで大型の恐竜の一部が生き残っていたとしても、大量の食料を必要とした大型の恐竜は、間違いなくこの時点で死に絶えてしまう事だろう。
しかし、「核の冬」が持続するのは、せいぜい十数年と考えられている。この「核の冬」の後には、一変して温室効果による気候の温暖化がやってくるのだ。地 上には、再び植物が芽生え、今まで以上に生い茂ることになる。それに伴い、草食動物たちが再び息を吹き返し、繁栄を始める。この時点まで、小型の恐竜が生 き残る事ができれば、恐竜が完全に絶滅してしまうことは無いだろう。しかし、ほとんどの恐竜は、間違いなく「核の冬」を越す事は出来ない。
つまり、「核の冬」の後には大量のニッチに空きが生じているわけだ。おそらく、空いたニッチを占領する哺乳類が出てくる事だろう。結果、地上では生き残った小型肉食恐竜と哺乳類の両方が、隙あらば、ニッチを奪い合う形で共存していくことになる。
さて、そんな中で先に知能を身につけ知的生命体へと進化するのは、恐竜であろうか、哺乳類であろうか。恐竜には、一つ有利な点がある。それは、すでに二 本足で立っているという点だ。必要とあらば、いつでも手を道具として使用できる状態にあったのだ。恐竜の脳は、体の大きさの割には一般的に小さい。しか し、小型の肉食恐竜では、比較的大きな脳を供えていた。
哺乳類との厳しい生存競争の中、そのような恐竜は更に知能を高めていく可能性が高い。
そして、そのような恐竜の中から遂に道具を使う恐竜が現れる。恐竜人間の登場である。 恐竜人間が先に、現在の人間が占めているニッチを占領できれば、 もう哺乳類が進化して知性を備える事は無いだろう。そして、恐竜人間は収斂進化の末、現在の人間に近い形態を占めるかもしれない。
実は、恐竜が絶滅せずにそのまま進化を遂げて知性を持ったらどうなるかと言う事を、まじめに考えた学者が存在する。アメリカの古生物学者、デール・A・ ラッセルは恐竜の中でも知能が高かったとされるトロオドンが、高度に進化したと考えてダイノソアロイドなる恐竜人間を考案している。
考案したと言っても、デタラメに考えた訳ではなく、ちゃんとした科学的データに基づいて、シミュレーションを行った。結果、恐竜においても、知的生物に まで進化をすると人間と同じような、完全な直立二足歩行にいたると結論付けた。ダイノソアロイドは想像図も公開されているので、見た事のある読者もいる事 だろう。
しかし、私にはラッセル博士の考える恐竜人間は、あまりにも爬虫類系すぎるように思われる。ラッセル博士が言うように、トロオドンが進化して、恐竜人間が誕生すると言う考えには賛成であるが、私の考える想像図はずいぶん異なった形になる。
トロオドンは、白亜紀後期の小型肉食恐竜で、恐竜の中でも一番頭が良かったとされている。トロオドンの体重は、わずか50kg程度であったのに対し、脳 重量は50gもあったと言う。この比率は、現在の類人猿と変わりが無い値である。又、トロオドンの目は非常に大きく、前面を向いていたため人間同様に立体 視も出来たらしい。
更に、トロオドンの前脚には、3本の指が向かいあう形で付いていて、物をつかみ器用に操る能力をすでに備えていた。人間が知能を発達させたのは、二足歩 行の獲得により自由になった手を器用に使いこなせることが出来るようになったことが、一番の原因とされている。自由になった手を使い道具を発明し、更にそ の道具でより複雑なもの作った事により知能を高めていったのだ。
つまりトロオドンも、知能を更に発達させる事が可能な身体的特徴を十分に備えていたわけだ。
もちろん、知的進化を遂げる種が絶対にトロオドンでないといけないと言うわけではない。しかし、たとえトロオドンでないとしても、小型の肉食恐竜の中から 知能を発達させる恐竜が出てくる事は、間違いないだろう。なぜなら、小型の肉食恐竜は、すべて二足歩行で自由になる前脚を備えていた。更に、小型の肉食恐 竜が大型の肉食恐竜に対抗する為には、集団で狩を行ったり、狩の方法を工夫したりと、知恵を使い食料を手に入れる必要性があったからだ。
トロオドンの、脳が大きく知能が高かったのもこの様な理由によるものと考えられる。
では、そのトロオドンから、恐竜人間が進化したと仮定してみよう。一体どのような姿になるのだろうか。まず、言えることはラッセル博士の考えるような、爬虫類系の恐竜人間には進化しないということだ。
最新の研究から白亜紀後期の小型の肉食恐竜は、羽毛を供えていた可能性が非常に高いのである。この様な、羽毛を備えた恐竜から進化した場合、やはり恐竜 人間も羽毛を備えているだろう。人間と同じように、衣服の発明により体の羽毛は、薄くなるかもしれないが、少なくとも頭部には立派な羽毛を供えているに違 いない。
次に、尻尾であるが、哺乳類ではあまり尻尾の役目は無いのに対して、恐竜では体のバランスを取る為の重要な役割があった。この様に重要な働きがあった器 官が簡単になくなってしまうだろうか。たとえ、収斂進化の結果、人間と似た形態を取ったとしても、小さな尻尾がついている可能性のほうが高いと思われる。
その姿は、恐竜人間と言うよりもむしろ鳥人間に近いかもしれない。もしかしたら、ドナルドダックのような姿に進化する可能性もあるのではないだろうか。この恐竜人間には、Dinosapience:ディノ・サピエンスと言う名前を付けることにしよう。
そして次に、トロオドンからディノ・サピエンスにいたる進化の過程をシミュレーションしてみよう。
この時、もし恐竜が死に絶えることなく生き残ったとすれば、一体この世界はどうなっていただろうか。はたして、哺乳類はこれほど繁栄する事が出来ただろうか。 恐竜が生き残っていたら
恐竜の絶滅後、生物学的に恐竜に最も近い鳥類は、主に空中でのニッチを埋める形に進化を遂げた。恐竜がいなくなった事により、空白になった地上のニッチ の大半は、現在哺乳類により埋められている。もし、大絶滅を小型の恐竜の一部が生き残る事が出来たとしたら、世の中はどう変わっていただろうか。
ほとんどの恐竜は、とにかく大きかった。おそらく草食恐竜で、生き残る事が可能なほど小さな恐竜は存在しない。唯一、生き残る可能性があるとしたら、コンプソグナトスのような、小型の肉食恐竜であろう。
しかし何とか、絶滅を逃れた肉食恐竜だが、今度は食料に困る事になる。何しろ、草食恐竜はもう存在しないのだ。哺乳類は、おそらく夜行性ですばしこかっ たため、恐竜が捕食することは難しかったのではないだろうか。昆虫や小型の爬虫類を襲い、食料にする以外に道は無い。ただでさえ食料が少ない上に、「核の 冬」による食糧不足が追い討ちをかけるだろう。大絶滅を生きのびた肉食恐竜がいたとしても、やがて絶滅してしまう可能性が、最も高いと言えるだろう。
結局、重力が変わった場合、恐竜はどんなにがんばっても絶滅する運命にあったと言えるのでは無いだろうか。
しかし、それでも強引に恐竜が生き残った可能性を考えてみよう。
大型の恐竜は、とっくに滅亡したところに、とどめの隕石衝突が起こった。
隕石の衝突直後引き起こされた、大津波や地球規模の火災、地殻変動などで、残された恐竜を含む地上生物の大半は、短期間のうちに姿を消してしまう事は間違いない。
運良く、最初の災難を逃れた生物に、次に襲い掛かる脅威は、「核の冬」による気候の寒冷化だ。陸上は短期間のうちに極寒の地と化し、海中にもその影響はゆっくり浸透していったかもしれない。この寒冷化が、じわじわと生き残った生物を絶滅の淵へと追いやっていく事だろう。
もし、この時期まで大型の恐竜の一部が生き残っていたとしても、大量の食料を必要とした大型の恐竜は、間違いなくこの時点で死に絶えてしまう事だろう。
しかし、「核の冬」が持続するのは、せいぜい十数年と考えられている。この「核の冬」の後には、一変して温室効果による気候の温暖化がやってくるのだ。地 上には、再び植物が芽生え、今まで以上に生い茂ることになる。それに伴い、草食動物たちが再び息を吹き返し、繁栄を始める。この時点まで、小型の恐竜が生 き残る事ができれば、恐竜が完全に絶滅してしまうことは無いだろう。しかし、ほとんどの恐竜は、間違いなく「核の冬」を越す事は出来ない。
つまり、「核の冬」の後には大量のニッチに空きが生じているわけだ。おそらく、空いたニッチを占領する哺乳類が出てくる事だろう。結果、地上では生き残った小型肉食恐竜と哺乳類の両方が、隙あらば、ニッチを奪い合う形で共存していくことになる。
さて、そんな中で先に知能を身につけ知的生命体へと進化するのは、恐竜であろうか、哺乳類であろうか。恐竜には、一つ有利な点がある。それは、すでに二 本足で立っているという点だ。必要とあらば、いつでも手を道具として使用できる状態にあったのだ。恐竜の脳は、体の大きさの割には一般的に小さい。しか し、小型の肉食恐竜では、比較的大きな脳を供えていた。
哺乳類との厳しい生存競争の中、そのような恐竜は更に知能を高めていく可能性が高い。
そして、そのような恐竜の中から遂に道具を使う恐竜が現れる。恐竜人間の登場である。 恐竜人間が先に、現在の人間が占めているニッチを占領できれば、 もう哺乳類が進化して知性を備える事は無いだろう。そして、恐竜人間は収斂進化の末、現在の人間に近い形態を占めるかもしれない。
実は、恐竜が絶滅せずにそのまま進化を遂げて知性を持ったらどうなるかと言う事を、まじめに考えた学者が存在する。アメリカの古生物学者、デール・A・ ラッセルは恐竜の中でも知能が高かったとされるトロオドンが、高度に進化したと考えてダイノソアロイドなる恐竜人間を考案している。
考案したと言っても、デタラメに考えた訳ではなく、ちゃんとした科学的データに基づいて、シミュレーションを行った。結果、恐竜においても、知的生物に まで進化をすると人間と同じような、完全な直立二足歩行にいたると結論付けた。ダイノソアロイドは想像図も公開されているので、見た事のある読者もいる事 だろう。
しかし、私にはラッセル博士の考える恐竜人間は、あまりにも爬虫類系すぎるように思われる。ラッセル博士が言うように、トロオドンが進化して、恐竜人間が誕生すると言う考えには賛成であるが、私の考える想像図はずいぶん異なった形になる。
トロオドンは、白亜紀後期の小型肉食恐竜で、恐竜の中でも一番頭が良かったとされている。トロオドンの体重は、わずか50kg程度であったのに対し、脳 重量は50gもあったと言う。この比率は、現在の類人猿と変わりが無い値である。又、トロオドンの目は非常に大きく、前面を向いていたため人間同様に立体 視も出来たらしい。
更に、トロオドンの前脚には、3本の指が向かいあう形で付いていて、物をつかみ器用に操る能力をすでに備えていた。人間が知能を発達させたのは、二足歩 行の獲得により自由になった手を器用に使いこなせることが出来るようになったことが、一番の原因とされている。自由になった手を使い道具を発明し、更にそ の道具でより複雑なもの作った事により知能を高めていったのだ。
つまりトロオドンも、知能を更に発達させる事が可能な身体的特徴を十分に備えていたわけだ。
もちろん、知的進化を遂げる種が絶対にトロオドンでないといけないと言うわけではない。しかし、たとえトロオドンでないとしても、小型の肉食恐竜の中から 知能を発達させる恐竜が出てくる事は、間違いないだろう。なぜなら、小型の肉食恐竜は、すべて二足歩行で自由になる前脚を備えていた。更に、小型の肉食恐 竜が大型の肉食恐竜に対抗する為には、集団で狩を行ったり、狩の方法を工夫したりと、知恵を使い食料を手に入れる必要性があったからだ。
トロオドンの、脳が大きく知能が高かったのもこの様な理由によるものと考えられる。
では、そのトロオドンから、恐竜人間が進化したと仮定してみよう。一体どのような姿になるのだろうか。まず、言えることはラッセル博士の考えるような、爬虫類系の恐竜人間には進化しないということだ。
最新の研究から白亜紀後期の小型の肉食恐竜は、羽毛を供えていた可能性が非常に高いのである。この様な、羽毛を備えた恐竜から進化した場合、やはり恐竜 人間も羽毛を備えているだろう。人間と同じように、衣服の発明により体の羽毛は、薄くなるかもしれないが、少なくとも頭部には立派な羽毛を供えているに違 いない。
次に、尻尾であるが、哺乳類ではあまり尻尾の役目は無いのに対して、恐竜では体のバランスを取る為の重要な役割があった。この様に重要な働きがあった器 官が簡単になくなってしまうだろうか。たとえ、収斂進化の結果、人間と似た形態を取ったとしても、小さな尻尾がついている可能性のほうが高いと思われる。
その姿は、恐竜人間と言うよりもむしろ鳥人間に近いかもしれない。もしかしたら、ドナルドダックのような姿に進化する可能性もあるのではないだろうか。この恐竜人間には、Dinosapience:ディノ・サピエンスと言う名前を付けることにしよう。
そして次に、トロオドンからディノ・サピエンスにいたる進化の過程をシミュレーションしてみよう。
進化を続けた恐竜2 大絶滅
中生代・白亜紀、6月の晴れた日の午後、トロオドンの一群が、トリケラトプスを追っていた。白亜紀後期から始まった重力 の増加で、この頃にはほとんどの恐竜は絶滅していた。トリケラトプスは、最後に残された草食恐竜の一つなのだ。決して小型とはいえない恐竜だが、その極端 に頑丈な四肢のおかげでこの時期まで、何とか生きのびてこられた。
この所、小さな哺乳類や爬虫類ばかりしか口にしていなかったトロオドンたちにとってみれば、久々の大きな獲物である。トロオドンたちは、トリケラトプスの群れの中に動きの緩慢な老齢の個体を発見し狙いを定めていた。
トロオドン達は、2~3匹が一組となり、巧妙に老齢のトリケラトプスを群れから追い出しにかかった。100頭を超えるトリケラトプスの群れを徐々に追いかけながら、老齢のトリケラトプスが群れから取り残されるのを狙っていたのだ。
やがて、群れから追い出されたトリケラトプスは、最後の力を振り絞り、必死で崖の方に逃げていく。その後を、トロオドンたちが、一斉に追いかけはじめた。
追い詰められたトリケラトプスは、崖にポッカリと穴をあけた洞窟を発見し、その中に素早くもぐりこみ奥の暗闇に身を隠した。トロオドンたちは、一瞬、ト リケラトプスを見失ったが、すぐに洞窟に逃げ込んだ事を察知した。トロオドンが、洞窟に足を踏み込むと、そこは真っ暗で何も見えなかった。
賢いトロオドンたちは、闇雲に獲物を襲うような事はしない。なぜなら、トリケラトプスは、頭上に3本もの巨大な角を持っていて、反撃されれば小さなトロ オドンにとっては、かなり危険なのだ。通常、トロオドンぐらいの大きさしかない恐竜は、トリケラトプスのような大型の草食恐竜は襲わないのだが、トロオド ンだけは違っていた。巧みな連係プレーで、時間をかけ巨大な草食恐竜を仕留め食料にしていた。
幸い、トロオドンは大きな目を持っていたので、洞窟の暗闇に目はすぐなれてきた。
トリケラトプスは、案の定、洞窟の突き当たりに身をかがめている。
こうなれば、もうこっちのものである。トロオドンは、ゆっくりとトリケラトプスを取り巻くように迫っていった。そして、リーダーの号令の下、一斉に獲物に襲いかかった。
トロオドン達が、トリケラトプスの首筋に鋭い歯で噛み付いた瞬間、ものすごい閃光が洞窟を貫いた。あまりの眩しさにさすがのトロオドン達も、獲物から離 れざるを得なかった。今まで経験した事も無い、強い光に包まれた恐竜たちが、あっけに取られ立ちすくんでいると、今度は耳を劈く轟音とともに突風が吹き寄 せ、大地に衝撃が走った。
突風に突き飛ばされたトロオドン達は、散り散りになり我先にと物陰に隠れていった。
洞窟の入り口は、一瞬にして崩れ落ち恐竜たちは再び完全な闇に包まれてしまった。真っ暗闇の中、なおも轟音と鈍い震動が続いている。やがて、洞窟の中は耐え切れないほどの暑さに包まれ、轟音と震動は、それから数日間も続いた。
その間、成す術も無く立ち尽くしていた、トロオドンのリーダーは、やがて空腹に耐えきれなくなり、トリケラトプスの匂いのする方へ、ゆっくりと歩いて いった。その足がトリケラトプスを捉えた瞬間、狂ったように襲い掛かった。騒ぎを聞きつけた、他のトロオドンも加わり、トリケラトプスはあっという間に殺 されてしまった。
暗闇での、晩餐を終えたトロオドンは、今度は出口を探しに向かった。ここにじっとしていても、やがて死んでしまうのは明らかだからだ。しかし、どんなに力任せに押してみても、崩れた入り口はびくともしない。トロオドン達は、むなしい作業を力が続く限り繰り返した。
さすがのトロオドンも体力が尽き果て、あきらめかけた頃、再び大きな震動とともに洞窟の一部が崩れ、生暖かい風が吹き込んできた。我先をきそって出口に向かったトロオドンたちは、衝撃の光景を目にする事になる。
不気味な赤い空に覆われた外の世界では、木々はすべてなぎ倒され、遠くに赤々と燃え上がる炎がいたるところであがっている。この瞬間、中生代は終わったのだ。
この所、小さな哺乳類や爬虫類ばかりしか口にしていなかったトロオドンたちにとってみれば、久々の大きな獲物である。トロオドンたちは、トリケラトプスの群れの中に動きの緩慢な老齢の個体を発見し狙いを定めていた。
トロオドン達は、2~3匹が一組となり、巧妙に老齢のトリケラトプスを群れから追い出しにかかった。100頭を超えるトリケラトプスの群れを徐々に追いかけながら、老齢のトリケラトプスが群れから取り残されるのを狙っていたのだ。
やがて、群れから追い出されたトリケラトプスは、最後の力を振り絞り、必死で崖の方に逃げていく。その後を、トロオドンたちが、一斉に追いかけはじめた。
追い詰められたトリケラトプスは、崖にポッカリと穴をあけた洞窟を発見し、その中に素早くもぐりこみ奥の暗闇に身を隠した。トロオドンたちは、一瞬、ト リケラトプスを見失ったが、すぐに洞窟に逃げ込んだ事を察知した。トロオドンが、洞窟に足を踏み込むと、そこは真っ暗で何も見えなかった。
賢いトロオドンたちは、闇雲に獲物を襲うような事はしない。なぜなら、トリケラトプスは、頭上に3本もの巨大な角を持っていて、反撃されれば小さなトロ オドンにとっては、かなり危険なのだ。通常、トロオドンぐらいの大きさしかない恐竜は、トリケラトプスのような大型の草食恐竜は襲わないのだが、トロオド ンだけは違っていた。巧みな連係プレーで、時間をかけ巨大な草食恐竜を仕留め食料にしていた。
幸い、トロオドンは大きな目を持っていたので、洞窟の暗闇に目はすぐなれてきた。
トリケラトプスは、案の定、洞窟の突き当たりに身をかがめている。
こうなれば、もうこっちのものである。トロオドンは、ゆっくりとトリケラトプスを取り巻くように迫っていった。そして、リーダーの号令の下、一斉に獲物に襲いかかった。
トロオドン達が、トリケラトプスの首筋に鋭い歯で噛み付いた瞬間、ものすごい閃光が洞窟を貫いた。あまりの眩しさにさすがのトロオドン達も、獲物から離 れざるを得なかった。今まで経験した事も無い、強い光に包まれた恐竜たちが、あっけに取られ立ちすくんでいると、今度は耳を劈く轟音とともに突風が吹き寄 せ、大地に衝撃が走った。
突風に突き飛ばされたトロオドン達は、散り散りになり我先にと物陰に隠れていった。
洞窟の入り口は、一瞬にして崩れ落ち恐竜たちは再び完全な闇に包まれてしまった。真っ暗闇の中、なおも轟音と鈍い震動が続いている。やがて、洞窟の中は耐え切れないほどの暑さに包まれ、轟音と震動は、それから数日間も続いた。
その間、成す術も無く立ち尽くしていた、トロオドンのリーダーは、やがて空腹に耐えきれなくなり、トリケラトプスの匂いのする方へ、ゆっくりと歩いて いった。その足がトリケラトプスを捉えた瞬間、狂ったように襲い掛かった。騒ぎを聞きつけた、他のトロオドンも加わり、トリケラトプスはあっという間に殺 されてしまった。
暗闇での、晩餐を終えたトロオドンは、今度は出口を探しに向かった。ここにじっとしていても、やがて死んでしまうのは明らかだからだ。しかし、どんなに力任せに押してみても、崩れた入り口はびくともしない。トロオドン達は、むなしい作業を力が続く限り繰り返した。
さすがのトロオドンも体力が尽き果て、あきらめかけた頃、再び大きな震動とともに洞窟の一部が崩れ、生暖かい風が吹き込んできた。我先をきそって出口に向かったトロオドンたちは、衝撃の光景を目にする事になる。
不気味な赤い空に覆われた外の世界では、木々はすべてなぎ倒され、遠くに赤々と燃え上がる炎がいたるところであがっている。この瞬間、中生代は終わったのだ。
進化を続けた恐竜3 サバイバル
あの事件から、5年の歳月が流れた。最初の頃、焼け付くような暑さに包まれていた地上だが、今では一面が雪と氷に覆われた極寒の世界となっていた。幸いに も、トロオドンたちが暮らしていた谷は、火山活動の地熱のおかげで、雪に覆われる事もなかった。トロオドンは、かつては季節毎に移動を繰り返してきた。彼 らの餌である草食恐竜が季節と共に大移動を行っていたからだ。
しかし、今ではこの谷を離れる事は出来なくなっていた。谷の周辺は、一面雪に閉ざされた極寒の地と化していた。又、谷には周辺から暖かい土地を目指して動物達が集まってくるため、食料も何とか確保できていた。
ところが、最近めっきり集まってくる動物が少なくなってきたのだ。おそらく周辺の動物達は、もうほとんど死滅してしまったのだろう。
トロオドン達は、飢えていた。本来リーダーの統治のもと、集団で狩を行うトロオドンは、めったに諍いを起こす事は無かった。しかし、このところ群れ内での諍いが頻繁に起こるようになってきた。もちろん、そのほとんどの原因は、食料の奪い合いである。
ある日、一匹のトロオドンが、谷ぞいに歩きながら獲物を探していた。この日も獲物は見つからず、とうとう海岸線まできてしまった。海岸線は、前回きたと きよりも随分と後退していた。巨大な隕石の衝突が巻き上げた塵のため、急激な気候の寒冷化が起こり、大量の水が氷河に閉じ込められつつあったからだ。もち ろん、トロオドンにとっては、そんな理由がわかるすべも無い。
この付近は、特に地熱が高いので、海面からもうもうと湯気が立ち上がっている。トロオドンは、海に足を踏み入れた。
この付近が、地熱で暖かいとはいえ、夜になれば氷点下近くまで冷え込む。冷えきった体で、暖かい海水につかると気持ち良いのだ。ふと、足元を覗いてみると、海中には今まで見た事も無い様々な生物がうごめいていた。
トロオドンは思い出した。随分前に海岸線にきた時、浜辺に打ち上げられ死んだ生物をつついて食べてみた事があったのだ。異常に鼻を突く生臭いにおいを記 憶しているが、食べられないほどの物でもなかったような気がする。トロオドンの脳裏にアイデアが浮かんだ。こいつら、食べられるかもしれない!
そう思った瞬間、トロオドンは無我夢中で魚を追いかけていた。首尾よく魚の一匹を踏み潰したトロオドンは、早速食べてみる事にした。初めて食べる味だ。 やはり鼻を突く生臭い匂いがし、お世辞にも美味しいとはいえないが、背に腹は変えられない。こうして、トロオドンの食卓に新しい食材が加わった。
魚を食べる事により、食糧問題は何とか解決したが、トロオドンにとってもう一つ大問題が残っていた。それは、夜の寒さである。トロオドン達は、夜の寒さ に耐える為、いつも集団で集まり折り重なるようにして夜をすごしていた。集団の中心には、いつも群れのリーダーが陣取り、若い恐竜たちは集団の端で寒さに 震えていた。
トロオドンのこの行動は、捕食活動の制限にもなっていた。なぜなら、夜には必ず集団にまで戻ってこないと凍え死んでしまうからだ。
今日も、その若いオスのトロオドンは、夜の寒さに震えていた。体の半分は、夜の冷たい風にさらされて、今にも凍えそうだ。何故、夜の風はこんなに寒いのだろう?
この風さえなければ、随分と暖かいのだが。そう考えた若いトロオドンは、風をさえぎるものを、持ってくれば暖かくなるのではと考えた。翌日、早速若いト ロオドンは、風除けになりそうなものを探して回った。谷の奥深くにわけいると大きな羊歯植物が生い茂っている一角があった。大きく広がった羊歯の葉を見た トロオドンは、これだと直感した。そして、大きな羊歯の葉っぱを5枚ほど、引きちぎり集めてきた。この日は、運良く羊歯の葉っぱの裏側に隠れていたトカゲ まで見つける事が出来た。久々の魚以外の食事である。
若いトロオドンは、その日の晩、早速羊歯の葉を使ってみる事にした。前脚と口を使い器用に、体の露出している部分が羊歯の葉っぱで覆われるようにしたのだ。効果は絶大だった。風が遮られたばかりでなく、中からポカポカと暖まって来て実に気持ち良い。
翌日も、その翌日も同じ事を繰り返した。周りのトロオドン達は、この若いオスの行動を好奇の目で見つめていた。他のトロオドンにとっては、風を遮ると言 うアイデア自体が理解できないのだ。しかし、その効果を理解するのは、たやすかった。こうして、トロオドンの集団の外周は、毎晩羊歯の葉で覆われる事と なった。
しかし、今ではこの谷を離れる事は出来なくなっていた。谷の周辺は、一面雪に閉ざされた極寒の地と化していた。又、谷には周辺から暖かい土地を目指して動物達が集まってくるため、食料も何とか確保できていた。
ところが、最近めっきり集まってくる動物が少なくなってきたのだ。おそらく周辺の動物達は、もうほとんど死滅してしまったのだろう。
トロオドン達は、飢えていた。本来リーダーの統治のもと、集団で狩を行うトロオドンは、めったに諍いを起こす事は無かった。しかし、このところ群れ内での諍いが頻繁に起こるようになってきた。もちろん、そのほとんどの原因は、食料の奪い合いである。
ある日、一匹のトロオドンが、谷ぞいに歩きながら獲物を探していた。この日も獲物は見つからず、とうとう海岸線まできてしまった。海岸線は、前回きたと きよりも随分と後退していた。巨大な隕石の衝突が巻き上げた塵のため、急激な気候の寒冷化が起こり、大量の水が氷河に閉じ込められつつあったからだ。もち ろん、トロオドンにとっては、そんな理由がわかるすべも無い。
この付近は、特に地熱が高いので、海面からもうもうと湯気が立ち上がっている。トロオドンは、海に足を踏み入れた。
この付近が、地熱で暖かいとはいえ、夜になれば氷点下近くまで冷え込む。冷えきった体で、暖かい海水につかると気持ち良いのだ。ふと、足元を覗いてみると、海中には今まで見た事も無い様々な生物がうごめいていた。
トロオドンは思い出した。随分前に海岸線にきた時、浜辺に打ち上げられ死んだ生物をつついて食べてみた事があったのだ。異常に鼻を突く生臭いにおいを記 憶しているが、食べられないほどの物でもなかったような気がする。トロオドンの脳裏にアイデアが浮かんだ。こいつら、食べられるかもしれない!
そう思った瞬間、トロオドンは無我夢中で魚を追いかけていた。首尾よく魚の一匹を踏み潰したトロオドンは、早速食べてみる事にした。初めて食べる味だ。 やはり鼻を突く生臭い匂いがし、お世辞にも美味しいとはいえないが、背に腹は変えられない。こうして、トロオドンの食卓に新しい食材が加わった。
魚を食べる事により、食糧問題は何とか解決したが、トロオドンにとってもう一つ大問題が残っていた。それは、夜の寒さである。トロオドン達は、夜の寒さ に耐える為、いつも集団で集まり折り重なるようにして夜をすごしていた。集団の中心には、いつも群れのリーダーが陣取り、若い恐竜たちは集団の端で寒さに 震えていた。
トロオドンのこの行動は、捕食活動の制限にもなっていた。なぜなら、夜には必ず集団にまで戻ってこないと凍え死んでしまうからだ。
今日も、その若いオスのトロオドンは、夜の寒さに震えていた。体の半分は、夜の冷たい風にさらされて、今にも凍えそうだ。何故、夜の風はこんなに寒いのだろう?
この風さえなければ、随分と暖かいのだが。そう考えた若いトロオドンは、風をさえぎるものを、持ってくれば暖かくなるのではと考えた。翌日、早速若いト ロオドンは、風除けになりそうなものを探して回った。谷の奥深くにわけいると大きな羊歯植物が生い茂っている一角があった。大きく広がった羊歯の葉を見た トロオドンは、これだと直感した。そして、大きな羊歯の葉っぱを5枚ほど、引きちぎり集めてきた。この日は、運良く羊歯の葉っぱの裏側に隠れていたトカゲ まで見つける事が出来た。久々の魚以外の食事である。
若いトロオドンは、その日の晩、早速羊歯の葉を使ってみる事にした。前脚と口を使い器用に、体の露出している部分が羊歯の葉っぱで覆われるようにしたのだ。効果は絶大だった。風が遮られたばかりでなく、中からポカポカと暖まって来て実に気持ち良い。
翌日も、その翌日も同じ事を繰り返した。周りのトロオドン達は、この若いオスの行動を好奇の目で見つめていた。他のトロオドンにとっては、風を遮ると言 うアイデア自体が理解できないのだ。しかし、その効果を理解するのは、たやすかった。こうして、トロオドンの集団の外周は、毎晩羊歯の葉で覆われる事と なった。
進化を続けた恐竜4 春の到来
更に、100年の月日が流れた。長かった「核の冬」の時代は終わりを告げ、温暖な気候が戻ってきていた。長い冬の時代、定住を余儀なくされたトロオドン達が渡りを行う習慣はもうなくなっていた。極寒の時代を生きのびたトロオドンにとって、もう夜の寒さは問題ではなかった。
この頃になると、トロオドン達は、屋根付きの巣穴を作るようになっていた。元々、地面に鳥のような巣を作る習慣のあったトロオドンは、その巣の底を深く掘り下げ羊歯の葉の屋根をのせたのだ。
気温があがった為、もう集団で夜をすごす必要も無かった。それに屋根付きの巣穴のおかげで、多少寒さの厳しい真冬の夜でも、凍え死ぬような事はなくなっ ていた。長い冬の時代は終わったにもかかわらず、逆に季節の移り変わりが次第に明確になり、今では暑い夏と、寒い冬が交互に訪れるようになっていた。中生 代にも、気温の高い季節と低い季節はあったが、今ほど明確ではなかった。
この頃になると、周りの景色も一変していた。暖かくなった大地には、被子植物が急激に増えてきて、色とりどりの花を咲かせるようになっていた。被子植物 は、白亜紀後期には普通に見られる植物になっていたが、一面花が咲き乱れるような光景は無かった。しかし、今では、どこを見渡しても被子植物だらけで、一 面の花畑や花が咲き乱れる木々がいたるところに生い茂っている。
又、隕石の衝突直後は、まったく姿を消していた鳥達も再び姿をあらわしていた。鳥は、恐竜から進化した生物で、トロオドンとは親戚関係にあたる。しかし、 すでに鳥達は恐竜とは、かなり違う姿に進化していた。今では、トロオドン達が鳥に出くわしても、喧しくて絶対に捕まらない忌々しい生物としか思わなかっ た。
そして、恐竜の谷では哺乳類が大繁殖を始めていた。何しろ、哺乳類にとっての天敵は、今ではトロオドン一種のみになっていたのだ。もちろんトロオドン以 外にも、肉食のトカゲやワニも存在したが、哺乳類の天敵となりうるほどには、数は多くなかった。おまけに哺乳類の主食であった昆虫が爆発的に増えていた事 も、哺乳類の爆発的な繁殖を支えていた。
この時期、生態系は大混乱を迎えていた。天敵を失った動物種がいたるところで、大繁殖を始めていたのである。特定の動物が増える一方、その影で新たな絶 滅の危機に遭遇する動物も出てきた。恐竜達も増えすぎた哺乳類に卵を狙われ、一時期絶滅の危機にさらされた事があった。それまで、恐竜の姿を見かけると巣 穴に飛び込んでいた哺乳類が、恐竜の隙をついて集団で卵を襲うようになったのだ。
しかし、哺乳類の巣穴からヒントを得た屋根付きの巣穴のおかげで、卵を奪われる事がなくなり何とか危機を乗り切る事が出来た。
今では、逆にトロオドンは増え続けていた。食料が豊富になったこの時期でも、魚食の習慣は続き、トロオドンは海岸沿いに生息域を拡大していった。
しかし、このように生物が活気を取り戻したのは、この付近では恐竜の谷周辺に限られていた。世界中の多くの地域では、未だに生物の影さえ見えない状態が続いていた。中生代末、大激突した隕石の影響は、想像を絶する物だったのだ。
この頃になると、トロオドン達は、屋根付きの巣穴を作るようになっていた。元々、地面に鳥のような巣を作る習慣のあったトロオドンは、その巣の底を深く掘り下げ羊歯の葉の屋根をのせたのだ。
気温があがった為、もう集団で夜をすごす必要も無かった。それに屋根付きの巣穴のおかげで、多少寒さの厳しい真冬の夜でも、凍え死ぬような事はなくなっ ていた。長い冬の時代は終わったにもかかわらず、逆に季節の移り変わりが次第に明確になり、今では暑い夏と、寒い冬が交互に訪れるようになっていた。中生 代にも、気温の高い季節と低い季節はあったが、今ほど明確ではなかった。
この頃になると、周りの景色も一変していた。暖かくなった大地には、被子植物が急激に増えてきて、色とりどりの花を咲かせるようになっていた。被子植物 は、白亜紀後期には普通に見られる植物になっていたが、一面花が咲き乱れるような光景は無かった。しかし、今では、どこを見渡しても被子植物だらけで、一 面の花畑や花が咲き乱れる木々がいたるところに生い茂っている。
又、隕石の衝突直後は、まったく姿を消していた鳥達も再び姿をあらわしていた。鳥は、恐竜から進化した生物で、トロオドンとは親戚関係にあたる。しかし、 すでに鳥達は恐竜とは、かなり違う姿に進化していた。今では、トロオドン達が鳥に出くわしても、喧しくて絶対に捕まらない忌々しい生物としか思わなかっ た。
そして、恐竜の谷では哺乳類が大繁殖を始めていた。何しろ、哺乳類にとっての天敵は、今ではトロオドン一種のみになっていたのだ。もちろんトロオドン以 外にも、肉食のトカゲやワニも存在したが、哺乳類の天敵となりうるほどには、数は多くなかった。おまけに哺乳類の主食であった昆虫が爆発的に増えていた事 も、哺乳類の爆発的な繁殖を支えていた。
この時期、生態系は大混乱を迎えていた。天敵を失った動物種がいたるところで、大繁殖を始めていたのである。特定の動物が増える一方、その影で新たな絶 滅の危機に遭遇する動物も出てきた。恐竜達も増えすぎた哺乳類に卵を狙われ、一時期絶滅の危機にさらされた事があった。それまで、恐竜の姿を見かけると巣 穴に飛び込んでいた哺乳類が、恐竜の隙をついて集団で卵を襲うようになったのだ。
しかし、哺乳類の巣穴からヒントを得た屋根付きの巣穴のおかげで、卵を奪われる事がなくなり何とか危機を乗り切る事が出来た。
今では、逆にトロオドンは増え続けていた。食料が豊富になったこの時期でも、魚食の習慣は続き、トロオドンは海岸沿いに生息域を拡大していった。
しかし、このように生物が活気を取り戻したのは、この付近では恐竜の谷周辺に限られていた。世界中の多くの地域では、未だに生物の影さえ見えない状態が続いていた。中生代末、大激突した隕石の影響は、想像を絶する物だったのだ。
進化を続けた恐竜5 道具を使う恐竜
新生代に入り、500万年がすぎた。恐竜の谷の大半は海に水没し、地上には、あらゆる種類の哺乳類が進化し、あふれていた。まさに時代は、哺乳類の時代になっていた。
しかし、哺乳類の時代が訪れたとはいえ、地上の食物連鎖の頂点に立っていたのは依然恐竜だった。共にトロオドンを祖先とする恐竜たちは、今では2種類の 種族に分かれていた。新生代に入りまもなく、温室効果による温暖期が一段落ついたとき、短い寒冷期が訪れた。この時期、分裂を続けていた大陸の間が、わず かな期間だけ細い陸橋で結ばれていた。
このわずかな期間に、南半球に恐竜の一派が暖を求めて移り住んでいた。短い寒冷期以降、二度とつながることの無かった南北両大陸で恐竜は独自の進化を遂 げはじめていたのである。南半球に移り住んだ恐竜の子孫は、魚を食べる事を止め哺乳類を狩るアウストラロ・サウルスとなっていた。一方そのまま北半球にと どまった恐竜は、魚や小動物、果物等の雑食性を備えたディノ・ハビリスとして進化していた。
恐竜は、この時代最も頭の良い動物だった。アウストラロ・サウルスは、体長約2m、多少尻尾が短くなり、色がカラフルになった以外は、祖先のトロオドンにそっくりである。 しかし、その頭脳はトロオドンとは比べ物にならないほど大きくなっていた。
アウストラロ・サウルスは、南半球の広大なサバンナに転々とキャンプ地を作っていた。
それぞれのキャンプ地には、木の枝と枯葉で作られた立派な小屋が立ててあり、獲物を求めて次々とキャンプ地を移り歩いていた。彼等の狩りは、常に集団で 行い、獲物を一度に多くしとめたときは、干し肉にして保存する知恵さえ身につけていた。すでに恐竜たちは、綺麗なものに対して特別の感情を抱くようになっ ていて、それぞれの小屋は、色とりどりの鳥の羽で飾り付けがしてあった。
一方、北半球の温帯地方にすんでいたディノ・ハビリスは、恐竜の谷のトロオドンと直接的につながる種族で、いまだに魚を食べる習慣を持っていた。そしてディノ・ハビリスは、アウストラロ・サウルスよりも更に高度な知能を発達させていた。
もともと大型の動物が少なかったこの付近では、様々な小動物をたくさん捕まえる必要があった。それぞれの、獲物にあわせ狩の仕方に工夫を凝らしているう ちに、知能が高度に発達してきたのだ。更に、魚を捕らえ食べていた事もディノ・ハビリスの知能の発達に一役買っていた。魚には、大脳の発達に不可欠の物質 DHAが多く含まれていて、このDHAの大量摂取が大脳の発達を更に促していた。
ディノ・ハビリスは、すでに村と呼べるほどの定住地をもっていて、彼等の小屋はアウストラロ・サウルスの物よりも更に頑丈で立派に出来ていた。それぞれ の、小屋の屋根には樹脂で貼り付けた鳥の羽が、何層にも貼り付けられ、雨露をしのいでいる。ディノ・ハビリスはすでに石器を道具として使用していた。この ため、彼等の前脚の爪は小さくなり、すでに武器としての役目は失われている。
ディノ・ハビリスの集落は、かつての恐竜の谷を中心とする広い範囲に分布していた。
しかし、ディノ・ハビリスにまだ交易を行うと言う概念は無く、それぞれの集落は常に敵対関係にあった。集落同士の諍いも絶えなかったが、武器を用いて殺しあうほど獰猛な種族ではなかった。
しかし、哺乳類の時代が訪れたとはいえ、地上の食物連鎖の頂点に立っていたのは依然恐竜だった。共にトロオドンを祖先とする恐竜たちは、今では2種類の 種族に分かれていた。新生代に入りまもなく、温室効果による温暖期が一段落ついたとき、短い寒冷期が訪れた。この時期、分裂を続けていた大陸の間が、わず かな期間だけ細い陸橋で結ばれていた。
このわずかな期間に、南半球に恐竜の一派が暖を求めて移り住んでいた。短い寒冷期以降、二度とつながることの無かった南北両大陸で恐竜は独自の進化を遂 げはじめていたのである。南半球に移り住んだ恐竜の子孫は、魚を食べる事を止め哺乳類を狩るアウストラロ・サウルスとなっていた。一方そのまま北半球にと どまった恐竜は、魚や小動物、果物等の雑食性を備えたディノ・ハビリスとして進化していた。
恐竜は、この時代最も頭の良い動物だった。アウストラロ・サウルスは、体長約2m、多少尻尾が短くなり、色がカラフルになった以外は、祖先のトロオドンにそっくりである。 しかし、その頭脳はトロオドンとは比べ物にならないほど大きくなっていた。
アウストラロ・サウルスは、南半球の広大なサバンナに転々とキャンプ地を作っていた。
それぞれのキャンプ地には、木の枝と枯葉で作られた立派な小屋が立ててあり、獲物を求めて次々とキャンプ地を移り歩いていた。彼等の狩りは、常に集団で 行い、獲物を一度に多くしとめたときは、干し肉にして保存する知恵さえ身につけていた。すでに恐竜たちは、綺麗なものに対して特別の感情を抱くようになっ ていて、それぞれの小屋は、色とりどりの鳥の羽で飾り付けがしてあった。
一方、北半球の温帯地方にすんでいたディノ・ハビリスは、恐竜の谷のトロオドンと直接的につながる種族で、いまだに魚を食べる習慣を持っていた。そしてディノ・ハビリスは、アウストラロ・サウルスよりも更に高度な知能を発達させていた。
もともと大型の動物が少なかったこの付近では、様々な小動物をたくさん捕まえる必要があった。それぞれの、獲物にあわせ狩の仕方に工夫を凝らしているう ちに、知能が高度に発達してきたのだ。更に、魚を捕らえ食べていた事もディノ・ハビリスの知能の発達に一役買っていた。魚には、大脳の発達に不可欠の物質 DHAが多く含まれていて、このDHAの大量摂取が大脳の発達を更に促していた。
ディノ・ハビリスは、すでに村と呼べるほどの定住地をもっていて、彼等の小屋はアウストラロ・サウルスの物よりも更に頑丈で立派に出来ていた。それぞれ の、小屋の屋根には樹脂で貼り付けた鳥の羽が、何層にも貼り付けられ、雨露をしのいでいる。ディノ・ハビリスはすでに石器を道具として使用していた。この ため、彼等の前脚の爪は小さくなり、すでに武器としての役目は失われている。
ディノ・ハビリスの集落は、かつての恐竜の谷を中心とする広い範囲に分布していた。
しかし、ディノ・ハビリスにまだ交易を行うと言う概念は無く、それぞれの集落は常に敵対関係にあった。集落同士の諍いも絶えなかったが、武器を用いて殺しあうほど獰猛な種族ではなかった。
進化を続けた恐竜6 ディノ・エレクトス
直立恐竜(ディノ・エレクトス)
更に200万年が過ぎ去り、新生代に入り700万年が経過していた。今では、中生代末の大絶滅の痕跡さえ残っていない。世界中に、動植物があふれている。小さな生物の代表だった哺乳類も今では恐竜並に大型化した種も現れていた。
北半球に生息していたディノ・ハビリスは更に進化を続け、新しい段階ディノ・エレクトスの段階に進んでいた。ディノ・エレクトス達の外観からは、すでに トロオドンの面影は無くなりつつあった。獲物を求めて、常に走り回る生活と決別したディノ・エレクトス達の尻尾は短くなり、もはや体のバランスを取る事に は役立たなくなっている。直立恐竜・ディノ・エレクトス足るゆえんである。尻尾の有った所には、綺麗な飾り羽が生え、コミュニケーションの一手段として役 立っている。
一方、南半球のアウストラロ・サウルスは、ほとんど変化を遂げていなかった。この200万年間に身につけた技術と言えば、石を投げつける事と棍棒で殴りかかる事ぐらいである。
もともと、最強の武器である大きなカギ爪を備えていたアウストラロ・サウルスとって、サバンナに余りある獲物を捕まえる事は、容易な事で何一つ工夫を凝らす必要が無かったのだ。
ところが北半球のディノ・エレクトスは、交易の概念を発見して以来、飛躍的な進歩を遂げていた。集落間で、物々交換を行うことにより、新しい発見や発明を共有出来るようになり、お互いに進化が加速していった。
ディノ・エレクトスは衣服を発明していた。衣服と言っても、人間の考える衣服とは異なり、雨露を避ける為の一種のマントのようなものである。彼等は、鳥の羽を細い糸で器用に編みこみ見事なマントを作っていた。
物々交換による交易が拡大すると共に、複雑な意思疎通の必要性も増してきた。ディノ・ハビリスの時代から、ある程度の言語能力を持ち、コミュニケーショ ンを行ってきた恐竜達だが、この時代になると完全な文法を備えた言葉を話すようになっていた。また、同じ北半球でもアジア側とアメリカ側では、次第に文化 の違いが明確になってきていた。
そして、ディノ・エレクトスをディノ・エレクトス足らしめる最大の発見が、火の使用だ。ある夏の日の夕方、東の果てにあるディノ・エレクトスの集落の近く に雷が落ち、山火事が発生した。山火事は、ディノ・エレクトスにとって最も恐ろしいものの一つであるが、めったに無いチャンスのときでもあった。ディノ・ エレクトスたちは、火でこんがりと焼けた虫や動物を食べるのが大好きなのだ。特によく焼けた魚は美味しい。
最初のころ、ディノ・エレクトス達は山火事の後に残された「焼けた動物」を採集するのみであった。しかし現在では、火を積極的に利用する技術を身につけていた。
ディノ・エレクトス達は、一斉に枯れ枝を集め、火を採集しに出かけた。 枯れ枝に火を移して急ぎ足に引きずってきては、広場の中央に積み上げた。そして、その火の中にありったけの食料を投げ込んだ。
幸い、山火事は村とは反対の方向に引いていった。こうしてディノ・エレクトス達の大晩餐会が始まった。大晩餐会のその間、若いディノ・エレクトス達は枯 れ枝を補充し火が下出にならない様に気を配った。その時ひらめいたのだ、「いつも誰かが交代で火の番をすれば、いつも美味しい焼き魚が食べられるかもしれ ない」と
アイデアは、良かったのだが、彼等が火を実際に管理して使いこなせるようになる為には、更に数百年がかかった。燃え盛る炎を保つには、あまりにも多くの 燃料を補給しなくてはいけなかったからだ。しかし、炭に種火を残して保管する技術の発見によりこの問題は解決し、火を自在に使いこなせるようになった。し かし、種火を保管する技術を発見した反面、ディノ・エレクトスたちは、火を自分で起こす方法の発見には至らなかった。
こうして、ディノ・エレクトスの村々の中心には、常に種火が置かれる事となった。火の重要性が増すと共に、火は神聖視され、やがて信仰の対象となっていった。そして、火を守るディノ・エレクトスの家系は、次第に権力をもつ特権階級となっていった。
更に200万年が過ぎ去り、新生代に入り700万年が経過していた。今では、中生代末の大絶滅の痕跡さえ残っていない。世界中に、動植物があふれている。小さな生物の代表だった哺乳類も今では恐竜並に大型化した種も現れていた。
北半球に生息していたディノ・ハビリスは更に進化を続け、新しい段階ディノ・エレクトスの段階に進んでいた。ディノ・エレクトス達の外観からは、すでに トロオドンの面影は無くなりつつあった。獲物を求めて、常に走り回る生活と決別したディノ・エレクトス達の尻尾は短くなり、もはや体のバランスを取る事に は役立たなくなっている。直立恐竜・ディノ・エレクトス足るゆえんである。尻尾の有った所には、綺麗な飾り羽が生え、コミュニケーションの一手段として役 立っている。
一方、南半球のアウストラロ・サウルスは、ほとんど変化を遂げていなかった。この200万年間に身につけた技術と言えば、石を投げつける事と棍棒で殴りかかる事ぐらいである。
もともと、最強の武器である大きなカギ爪を備えていたアウストラロ・サウルスとって、サバンナに余りある獲物を捕まえる事は、容易な事で何一つ工夫を凝らす必要が無かったのだ。
ところが北半球のディノ・エレクトスは、交易の概念を発見して以来、飛躍的な進歩を遂げていた。集落間で、物々交換を行うことにより、新しい発見や発明を共有出来るようになり、お互いに進化が加速していった。
ディノ・エレクトスは衣服を発明していた。衣服と言っても、人間の考える衣服とは異なり、雨露を避ける為の一種のマントのようなものである。彼等は、鳥の羽を細い糸で器用に編みこみ見事なマントを作っていた。
物々交換による交易が拡大すると共に、複雑な意思疎通の必要性も増してきた。ディノ・ハビリスの時代から、ある程度の言語能力を持ち、コミュニケーショ ンを行ってきた恐竜達だが、この時代になると完全な文法を備えた言葉を話すようになっていた。また、同じ北半球でもアジア側とアメリカ側では、次第に文化 の違いが明確になってきていた。
そして、ディノ・エレクトスをディノ・エレクトス足らしめる最大の発見が、火の使用だ。ある夏の日の夕方、東の果てにあるディノ・エレクトスの集落の近く に雷が落ち、山火事が発生した。山火事は、ディノ・エレクトスにとって最も恐ろしいものの一つであるが、めったに無いチャンスのときでもあった。ディノ・ エレクトスたちは、火でこんがりと焼けた虫や動物を食べるのが大好きなのだ。特によく焼けた魚は美味しい。
最初のころ、ディノ・エレクトス達は山火事の後に残された「焼けた動物」を採集するのみであった。しかし現在では、火を積極的に利用する技術を身につけていた。
ディノ・エレクトス達は、一斉に枯れ枝を集め、火を採集しに出かけた。 枯れ枝に火を移して急ぎ足に引きずってきては、広場の中央に積み上げた。そして、その火の中にありったけの食料を投げ込んだ。
幸い、山火事は村とは反対の方向に引いていった。こうしてディノ・エレクトス達の大晩餐会が始まった。大晩餐会のその間、若いディノ・エレクトス達は枯 れ枝を補充し火が下出にならない様に気を配った。その時ひらめいたのだ、「いつも誰かが交代で火の番をすれば、いつも美味しい焼き魚が食べられるかもしれ ない」と
アイデアは、良かったのだが、彼等が火を実際に管理して使いこなせるようになる為には、更に数百年がかかった。燃え盛る炎を保つには、あまりにも多くの 燃料を補給しなくてはいけなかったからだ。しかし、炭に種火を残して保管する技術の発見によりこの問題は解決し、火を自在に使いこなせるようになった。し かし、種火を保管する技術を発見した反面、ディノ・エレクトスたちは、火を自分で起こす方法の発見には至らなかった。
こうして、ディノ・エレクトスの村々の中心には、常に種火が置かれる事となった。火の重要性が増すと共に、火は神聖視され、やがて信仰の対象となっていった。そして、火を守るディノ・エレクトスの家系は、次第に権力をもつ特権階級となっていった。
進化を続けた恐竜7 ディノ・サピエンス
ディノ・サピエンス(賢い恐竜)
新生代に入り750万年が経過した頃、北アメリカの恐竜たちの中に磨製石器を作るスマートな恐竜の一団があらわれた。彼等の脳は、もはや人間以上の多きさが有り、体つきは華奢になっていた。
一見そのプローポーションは、人間にそっくりである。しかし、人間とは大きく異なる身体的特徴があった。恐竜には、くびれた腰が無いのだ。人間に腰があ るのは、腹部に肋骨の無い背骨だけの部分が大きくあるためで、この事により体の柔軟性を保っている。この身体的特徴は、人間だけに見られるものではなく哺 乳類全般に見られる特徴だ。恐竜や鳥類には、このような特徴はない。
恐竜の脳が人間以上に発達したのには、訳がある。人間は、子供で生まれてくる為、これ以上「頭でっかち」になると、産道を通り抜けられなくなってしまう。
一方、卵で繁殖する恐竜には、この様な制限が無いのだ。知能の発達に合わせて、次第に大きな脳を獲得していくことが可能だった。こうして、北アメリカに最初の解剖学的現代恐竜:ディノ・サピエンスが出現した。
ディノ・サピエンスの血筋は、その後10万年以上の歳月をかけ、ディノ・エレクトスとの交配を行いながら世界の隅々にまで拡散していった。10万年後に は、地上からディノ・エレクトスの一群はすでに姿を消していた。この頃になると、ディノ・サピエンスは南半球にも進出していた。そこで彼等は、自分達と祖 先を共通にする、もう一種の恐竜アウストラロ・サウルスと出会う事になる。
アウストラロ・サウルス達も高度な社会生活を送る知能の高い動物に進化していた。しかし、いまだ単純な自然の道具を使用するレベルにとどまっており、高 度な道具を製作する技術や複雑な言葉を話す能力を持つにはいたっていなかった。もちろん、アウストラロ・サウルスとディノ・サピエンスは、すでに交配が不 可能なまでに遺伝的距離があった。
ところで地上の支配者が恐竜である事を除けば、陸上の動物の大半は、この頃には哺乳類が占めていた。爬虫類は、すでに繁栄の片隅へと追いやられていたのだ。そして、恐竜達自身も自分達が爬虫類の仲間だとはまったく考えていなかった。
最初のディノ・サピエンスが出現して15万年が経過したとき、中央アジアで家畜の放牧が始まった。時を同じくして、東アジアでは土器が発明された。最初 の土器作りは、溶岩に触れ硬く変質した粘土からヒントを得た一匹の天才恐竜によって考案された。土器作りの技術は、またたく間に世界に広がり、ディノ・サ ピエンス達の食卓事情を一変させた。
そして、土器により水が保存できるようになった為に長い航海が可能となり、大航海時代が訪れることになる。もはや、地球上の大陸でディノ・サピエンスの住んでいない場所は無い。遂に、大絶滅を生き延びた恐竜は、再び地上の覇者となったのだ。
やがて、世界各地で同時多発的に都市文明が起こり始めた。巨大な神殿を中心とした都市国家が誕生し、富と権力を独占するものが出現した。恐竜の信仰の中 心は、今でも火である。恐竜の有力者達は、何れもディノ・エレクトスの時代から続く火の管理者の一族である。都市国家は、やがて巨大国家へと成長し、恐竜 の文明社会が形作られていった。
恐竜社会に産業革命が訪れ高度成長を始めたころ、アメリカの田舎町で地元の化石収集家が、大きな歯の化石を発見した。収集家は、この歯が自分の歯にそっくりである事実に気づき衝撃を受けた。何しろ自分の歯が1センチしかないのに対し、この歯は30センチもあるのだ。
やがて、歯の発見された周辺から、ついにこの歯の持ち主の全身骨格が発見された。しかし、このことは更なる衝撃を恐竜社会に与えた。なぜなら発見された ティラノサウルスの骨格は、多くの点で自分達:ディノ・サピエンスと共通点が見られたからだ。こうしてディノ・サピエンスは自分達の祖先が信じられないほ ど巨大だった事実を知ることになった。
その後恐竜の化石は、世界各地で発見されディノ・サピエンスの祖先たちは中生代の時代、多種多様に進化を遂げ大繁栄していた事がわかった。次にディノ・サピエンスたちが捜し求めたのは、中生代末の大絶滅を生き残り自分達に進化した恐竜だった。
やがて、程なくその恐竜も発見された。中生代末の地層からトロオドンの化石が発見されたのだ。他の恐竜に比べ脳が大きい事とアウストラロ・サウルスとの 類似点から自分達の祖先に間違いないことが確認された。そして恐竜の学者達は、中生代末期の大絶滅を生き延びた恐竜はトロオドン一種であった事実を突き止 め、更に驚愕した。
「もし恐竜が完全に絶滅していたら、この世界はどうなっていただろうか?」「哺乳類が進化を続け自分達の地位に納まっていたのではと?」と思いを馳せるのだった。
新生代に入り750万年が経過した頃、北アメリカの恐竜たちの中に磨製石器を作るスマートな恐竜の一団があらわれた。彼等の脳は、もはや人間以上の多きさが有り、体つきは華奢になっていた。
一見そのプローポーションは、人間にそっくりである。しかし、人間とは大きく異なる身体的特徴があった。恐竜には、くびれた腰が無いのだ。人間に腰があ るのは、腹部に肋骨の無い背骨だけの部分が大きくあるためで、この事により体の柔軟性を保っている。この身体的特徴は、人間だけに見られるものではなく哺 乳類全般に見られる特徴だ。恐竜や鳥類には、このような特徴はない。
恐竜の脳が人間以上に発達したのには、訳がある。人間は、子供で生まれてくる為、これ以上「頭でっかち」になると、産道を通り抜けられなくなってしまう。
一方、卵で繁殖する恐竜には、この様な制限が無いのだ。知能の発達に合わせて、次第に大きな脳を獲得していくことが可能だった。こうして、北アメリカに最初の解剖学的現代恐竜:ディノ・サピエンスが出現した。
ディノ・サピエンスの血筋は、その後10万年以上の歳月をかけ、ディノ・エレクトスとの交配を行いながら世界の隅々にまで拡散していった。10万年後に は、地上からディノ・エレクトスの一群はすでに姿を消していた。この頃になると、ディノ・サピエンスは南半球にも進出していた。そこで彼等は、自分達と祖 先を共通にする、もう一種の恐竜アウストラロ・サウルスと出会う事になる。
アウストラロ・サウルス達も高度な社会生活を送る知能の高い動物に進化していた。しかし、いまだ単純な自然の道具を使用するレベルにとどまっており、高 度な道具を製作する技術や複雑な言葉を話す能力を持つにはいたっていなかった。もちろん、アウストラロ・サウルスとディノ・サピエンスは、すでに交配が不 可能なまでに遺伝的距離があった。
ところで地上の支配者が恐竜である事を除けば、陸上の動物の大半は、この頃には哺乳類が占めていた。爬虫類は、すでに繁栄の片隅へと追いやられていたのだ。そして、恐竜達自身も自分達が爬虫類の仲間だとはまったく考えていなかった。
最初のディノ・サピエンスが出現して15万年が経過したとき、中央アジアで家畜の放牧が始まった。時を同じくして、東アジアでは土器が発明された。最初 の土器作りは、溶岩に触れ硬く変質した粘土からヒントを得た一匹の天才恐竜によって考案された。土器作りの技術は、またたく間に世界に広がり、ディノ・サ ピエンス達の食卓事情を一変させた。
そして、土器により水が保存できるようになった為に長い航海が可能となり、大航海時代が訪れることになる。もはや、地球上の大陸でディノ・サピエンスの住んでいない場所は無い。遂に、大絶滅を生き延びた恐竜は、再び地上の覇者となったのだ。
やがて、世界各地で同時多発的に都市文明が起こり始めた。巨大な神殿を中心とした都市国家が誕生し、富と権力を独占するものが出現した。恐竜の信仰の中 心は、今でも火である。恐竜の有力者達は、何れもディノ・エレクトスの時代から続く火の管理者の一族である。都市国家は、やがて巨大国家へと成長し、恐竜 の文明社会が形作られていった。
恐竜社会に産業革命が訪れ高度成長を始めたころ、アメリカの田舎町で地元の化石収集家が、大きな歯の化石を発見した。収集家は、この歯が自分の歯にそっくりである事実に気づき衝撃を受けた。何しろ自分の歯が1センチしかないのに対し、この歯は30センチもあるのだ。
やがて、歯の発見された周辺から、ついにこの歯の持ち主の全身骨格が発見された。しかし、このことは更なる衝撃を恐竜社会に与えた。なぜなら発見された ティラノサウルスの骨格は、多くの点で自分達:ディノ・サピエンスと共通点が見られたからだ。こうしてディノ・サピエンスは自分達の祖先が信じられないほ ど巨大だった事実を知ることになった。
その後恐竜の化石は、世界各地で発見されディノ・サピエンスの祖先たちは中生代の時代、多種多様に進化を遂げ大繁栄していた事がわかった。次にディノ・サピエンスたちが捜し求めたのは、中生代末の大絶滅を生き残り自分達に進化した恐竜だった。
やがて、程なくその恐竜も発見された。中生代末の地層からトロオドンの化石が発見されたのだ。他の恐竜に比べ脳が大きい事とアウストラロ・サウルスとの 類似点から自分達の祖先に間違いないことが確認された。そして恐竜の学者達は、中生代末期の大絶滅を生き延びた恐竜はトロオドン一種であった事実を突き止 め、更に驚愕した。
「もし恐竜が完全に絶滅していたら、この世界はどうなっていただろうか?」「哺乳類が進化を続け自分達の地位に納まっていたのではと?」と思いを馳せるのだった。
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