第11章 指の全体
手の全体を見て、3つの世界を判別したら、次に指を全体的に観察します。この観察によって、指が長いか短いか、指関節が滑らかか凸凹しているか、指の先端が四角か、ヘラ状か、円すい形か、尖っているかを見ます。 指をグループに分けないで、一本一本を独立した存在として判断します。指には名前がついており、指の下にある「宮」の性質をある程度、備えています。 最初の指(人さし指)は「木星の指」です。二番目(中指)は「土星の指」で三番目(薬指)が「太陽の指」、四番目(小指)が「水星の指」になります。親指は独自の性格を持つと考えます。 指を観察するときにはまず長さを見ましょう。指が特別に長いと感じた時には、後の章で長い指に触れますので、それを参照してノーマルなのか長い指なのかを判断してください。指が異常に短いと感じたときは、後の章で説明していますので、それにしたがってください。短い手に短い指が備わることはよくあることなので、短い指だと間違えないようにしてください。 次に指関節が発達して膨らんでいるか、それとも平坦なのかを見ます。膨らみの程度には注意深い観察が必要です。また、第一関節と第二関節の一方だけが発達しているかどうかを観察します。こぶが非常に発達していたら、それは「こぶ関節」です。まったくスムースでしたら、平坦な指の性格を適用することになります。 次にそれぞれの指の柔軟性を調べます。もしも特別に柔軟性の高い指があったら、その方の場合、その指の『宮』の性格がより強いこと示しています。 次に、指がまっすぐか曲がっているかを見ます。横のほうに曲がっているでしょうか、それとも、その指を軸として回転して曲がっているでしょうか。写真35のように横に曲がっている指の場合、曲がっている指の『宮』の性質に鋭さが加わっていることを示します。一方、軸を回転するように曲がっている場合は、『宮』の性質においてモラル(道義)あるいは肉体的に欠陥があることを示しています。道義あるいは肉体的欠陥のどちらなのかは、『宮』の上にある線、生命線、さらに『宮』の線そのものを見れば、簡単に判別できます。 それぞれの指の先端に注意を払ってください。先端が四角か、ヘラ状か、円すい形か、尖っているかを見極め、その性格をそれぞれの指と『宮』に当てはめます。 中心となる指 次に、他の指にくらべてより直立している指を見極め、その指に寄り掛かっている指(傾いている指)を調べます(写真36)。これで分かるのは手の中でもっとも強い指の存在です。 寄り掛かっている指は、その性質の強さの一部を頼っている指に与えます。これは寄り掛かっている指がまっすぐなのに、隣の指に引き寄せられているように見える場合にも適用されます。 寄りかかっている指が曲がっているならば、その指の『宮』の強さが増加します。通常は、他の指が曲がっている指に寄りかかることが多いのです。直立していて、寄りかかっている指と、曲がった指とを混同しないように気をつけてください。 バランスのとれた指は写真37のように、手の平に同じような釣り合いでセットされています。指の一つが他の指よりも高くあるいは低くセットされているのはバランスが悪いのです。 写真38の2枚の写真のように、普通のラインよりも低くセットされた指がある場合、その指の下にある『宮』の力は減少します。 また写真39のように、ある指が通常のラインよりも上にセットされている場合、その指の下にある『宮』の力が増加します。もっとも望ましいのは同じようにセットされた、ノーマルな位置にある指です。 このようにして指を見ますが、次に顧客の指が自然な状態にあるときの姿を観察します。どの指とどの指が隣接し、どの指とどの指の間隔が離れているかを見るのです。このような観察をするときには、指が自然な状態にあることが肝心です。指に緊張があると、観察する意味がなくなります。正しく観察する方法にはいくつかあります。 一つの方法は、白い紙を置いて、その上に手を完全に自然な姿で置いてもらうことです。指の輪郭を鉛筆でなぞるときのように置いてもらいます。手を持ち上げて、紙の上に手に置く動作を続けて数回してもらうと、その方の自然な指の姿が分かってきます。もう一つの方法は、手を上げてもらい、何にも支えられずに、手の平をあなたに見せるようにしてもらうことです。このようにしてもらうと、手の指は自然な状態を見せます。 指の間隔 写真40のように、親指と人指し指の間の幅が広いならば、その方は気前が良く、自由と独立を愛し、束縛に我慢ができません。親指が低い場所にセットされているかたの性格は、このようなものです。 写真41のように木星指(人さし指)と土星指(中指)の間が広く空いている方は、極めて独立した思考の持ち主で、他の人々の見解に揺らぐことなく、自らの意見を保持します。 写真42のように土星指と太陽指(薬指)の間が広く開いている人は、将来について心配をしないタイプの方です。この方は奔放な思考の持ち主で、堅苦しいところがまったくなく、形式にとらわれません。 太陽指と水星指(小指)の間が広く開いている人は、独自の行動をとる方です。この方は周りの人々の思惑を気にしないで、自らの希望に従って物事を行います。 この指の間の幅の広さの観察は、極めて役に立ちます。なぜならこの観察に基づく判断は非常に正確だからです。 指の間の幅が広い所が、一ヶ所とは限りません。よくあるのは、思考が自由な人が、同時に行動も自由なことです。さらにこの方の土星指と太陽指の間が狭ければ、将来に関して慎重な方です。 あるいは自由な思考をする方ですが、他の指の間隔が狭い場合があります。そうなると、この方は自由な思考をしますが、行動や未来について慎重な方であることが分かります。 写真44のようにすべての指の間が広く開いている場合は、思考が自由奔放で、行動も自由です。このような方とはすぐに親しくなれます。ただし、因習的な世界には無縁ですし、礼儀などのルールに対しても無頓着です。すべての指の間隔が非常に広い場合、この方は「祝福すべき、歓迎すべきhail fellow well met」人物です。すべての指の間の幅の広さがそれほど大きくない方とは、楽に親しくなれます。 一方、写真45のようにすべての指が閉じられている方とは、親しくできません。この方の考え方も行動も独立性がなく、堅苦しいからです。この方は形式の奴隷です。この方にと知り合うためには、尊敬のマナーを示さなければならないでしょう。さらにこの方はけちです。なぜならすべてに自分中心で、常に将来を考えているからです。 それぞれの指の長さ、先端の形、厚みなどを比較する必要があります。土星指(中指)が常に一番長い筈です。なぜならこの指が性格のバランスをとる車輪だからです。木星指(人さし指)と太陽指(薬指)の長さはバランスをとるために同じ長さです。この二つのうちどちらかが長ければ、その指の特質がもう一方を支配下に置いています。 先端の爪の形も比較してください。ヘラ状の爪、四角い先端は円すい形や先端が尖っている爪よりも強力で実際的です。木星指(人さし指)と太陽指(薬指)の長さは異なることが多いのですが、一緒だったら、四角あるいはヘラ状の爪を持つほうの指が、円すい形や先端が尖っている爪よりも実用的な面からみて優位であると見てください。長さと先端の形を注意深く観察して、どちらの指がより強いかを見極めてください。 水星指(小指)は当然、一番小さな指です。水星人は7つのタイプの中でももっとも背が低いのです。土星人は一番背が高いですが、指はそれぞれのタイプの高さに従っています。 水星指(小指)の高さは通常、太陽指(薬指)の最初の関節(一番上)にまで達しています。それよりも長い場合は、水星人タイプが支配的になります。木星指の長さが普通ならば、通常の木星人の性格が現れます。普通よりも長ければ、木星人の性格が強く出て来ます。短かければ木星人の性格が不十分です。この法則は土星、太陽、水星の指に関しても同じです。火星宮、月宮、金星宮には指がありません。したがってすべての判断は「宮」のみを見て行います。 三つの指節 それぞれの指の指節を見ていきますが、先端のほうから第一、第二、第三と呼びます。ここにも手相の3つの世界が表現されています。つまりメンタル・心的(知性)、実用(世俗的な日々の生活)、本能(動物的な本能という本源的な気質)ですが、それぞれ指の第一、第二、第三指節で区分されます。 この点は綿密に観察してください。なぜなら、「宮」の特質が、3つの世界のどこに使われているかが分かるからです。 もしも、どれかの指の第1指節が一番長ければ、知性が支配的でこの「宮」のタイプが、この方向に強化されます。もしも、第2指節が一番長ければ、その「宮」のタイプのビジネス面が強くなります。つまりこの「宮」のタイプの商業サイドが強化されるわけです。もしも、第3指節が長ければ、本能的な特質が支配的になります。この「宮」のタイプのきめの粗い面か、肉欲的な面が駆動力となりますが、その程度は指節の厚さと幅に比例します。 最初の指節が長ければ長いほど(写真46)知性の部分が強くなります。この指節が短ければ(写真47)知的な喜びが少ないことを示します。 第2指節の部分が厚く長ければ(写真48)金儲けがもっとも重要となっているでしょう。もしも、第3指節が非常に長く、非常に厚みがあるならば、この方は肉欲にふけ、食欲を満足させ、享楽を追いかけることでしょう(写真49)。 第3指節が非常に厚い人は、飲み食いに生き甲斐を感じています。このような指を持つ方で、第1指節が短かく、第2指節は標準で第3指節が非常に厚ければ、この方は知的追求にはまったく興味がなく、お金を追いかけ、飲み食いに精力をそそぎます。第3指節が太いことはセックスの面での肉欲が強いのではなく、食欲が旺盛で、贅沢三昧、安楽を好むのです。厚みが目立つほど、この特徴は強化されます。 第3指節の部分が特別に目立たないならば、これらのことにたいする欲求も正常です。肉欲への強い執着は、いつでも第3指節の厚みで示されています。その強さの程度は厚みの程度に従います。 この指標は異なったタイプの性格に追加されます。たとえば木星人は基本的に大食です(火星人も同様です)が、第3指節の部分が厚ければ、その傾向がさらに強化されます。指節の長さは、特質の強さを示します。一方、厚みは粗野さ、超過の傾向を示します。 第3指節の部分が薄く、狭く、胴のようにくびれていたら(写真50)、この方は生きるために食べており、食べるために生きているのではありません。この方は知的方面かビジネスにエネルギーを注いでおり、肉欲的ではありません。この方がお金に興味を示すのは、良いものが買えるからであり、喜びを買えるからです。この方が妄想を描いても、指の間から流れ落ちてしまいます。この方は探求心を持っています。それは指と指との間にすき間があることで分かります。 指が非常に長く、すき間が非常に広い場合、この方は研究者ではなく、単に好奇心の強い方です。この方は単に好奇心のために、人々のことをいろいろと詮索します。私の観察では、第3指節がぶ厚い方は、大食漢で胃袋も大きく、頭脳の働きは不活発です。なぜならこの方は食べたもの消化するのに忙しく、とても研究に没頭できないからです。 一方、指節が、胴のようにくびれている方は、少食家ですし、頭脳が詰まっておらず、重たくも無く、探求によって頭脳を拡張させます。胴のようにくびれている指が示唆することは、これまでの結果から見て極めて正確です。この方はお金にそれほど興味がなく、暴飲暴食とも縁がなく、探求する好奇心の持ち主と見て間違いありません。 それぞれの指節の事を研究するには、先端のことも考慮に入れなければなりません。指の最初の指節は、その指の「宮」の特質における知性面を示しています。指の先端が円すい形や尖っているならば、それは特質の中の理想主義的な面が強いことを示します。先端が四角ならば実際的な面が強いのです。先端がヘラ状ならば、独創的で活発な知的傾向を示します。 第2指節が長ければ、この方のタイプがビジネス寄りであることを示します。先端が円すい形や尖っているなら、芸術的で衝動的な傾向を示します。四角なら常識が強く、実際的です。ヘラ状ならば、行動的で独特なビジネスを始めるでしょう。 第3指節は、その指の「宮」の特質の肉感面を示します。指の先端が円すい形ならば、その特質が強まります。四角ならば強くなりがちです。ヘラ状ならば、いろいろな方法を編み出して努力をします。 すべての指において、もっとも目立つ指節が「宮」の特質の一番強い面を示します。そして指の先端の部分で、円すい形で理想主義的なのか、四角くて実際的なのか、ヘラ状で行動的なのかが分かります。 このシステムによってすべての指を徹底的に分析します。指節の長さと先端部分を見ることによって、顧客を詳細に分析できます。それによりこの方の将来における成功が推理できますので、決して気楽に見過ごしてはいけません。□ |