第8章
影響線(Line of Influence) 金星宮の上、生命線の親指寄りには多くの線が見られます。第277図のように、その線の一部は生命線と並行に走り、その他は金星宮を横切っています。これらは影響線(Line of Influence)と呼ばれます。これらの線は本人以外の要素に関連しています。つまり影響線はこの方の「環境」に関する線です。 ここで取り上げる観察は私自身の経験とその他数名の注意深い観察者が間違いないと考えるものです。伝統的な考えや仮説に過ぎないことは省いています。ヒンズー教徒たちは影響線を綿密にシステム化して、この線の観察から多くの判断をしています。 影響線というのは生命線の内側(親指側)にある線だけです。私の発見によれば、この線は良くも悪くもあなたの人生に大きな影響を与える人々を示しています。つまり、この線が示すのはあなたの家族の誰かかごく親しい友人たちです。 友人の場合は血縁関係がないわけですが、あなたの人生の一部となり強い影響力を持つ方です。どの線もあなたに大きな影響力を持ちます。そこで影響線と呼ばれるわけです。 手によっては、影響線がいくつかあります。多数の線がある場合もあります。線の数が多ければ多いほどあなたに強い影響を与えている方が多いということになります。線が少ないならば、内向的だということです。親密な友人も少ないでしょう。さらに言えば肉親からの影響もそれほど強くないということです。影響線が出てくる理由ですが、人々に受けた影響が強い印象となって心に刻まれ、その知的影響が手相に現れるのです。 影響線には縦線と横線があります。これらは通常、「金星宮上の格子」と呼ばれます。この線が豊富だと金星宮の特質が強まります。特に性的な欲求が強まります。金星宮にたくさんの影響線がある方は、強い性的欲求を持つことが、多くの手相の観察から判明しています。 格子の線の一つ一つは人生に与えられた影響を示しています。この格子線が多ければ多いほど金星宮に流れる気電流が多くなり刺激となり、その結果、金星宮の性質が燃え上がります。金星宮の上に線がないということは衝撃的な気電流が存在しないことを示します。この静かな金星宮を持つ方はエネルギーを性的欲求ではなく、美・享楽(gaiety)・色・芸術・服装などの追求に向けます。 第278図のように火星線は生命線の姉妹線であり、生命線の親指寄りを並行に走っています。火星線は影響線で持ち主の健康を強化しますが、他の方からの影響とは関係がありません。火星線はどちらかというと珍しい線です。普通、生命線のそばに見られるほとんどの線は火星線ではなく影響線です。 生命線に一番近い影響線がもっとも近親者のものです。それは母親か父親か兄弟姉妹でしょう。私の経験では第279図のように生命線の始まるところからスタートする影響線は一般的に母親の影響を示しています。誰よりも母親が人生の一番最初に影響を与えるからです。 生命線から見て次にある線は父親でしょう。これら両親の線は通常、他の線よりも深く刻まれています。次に来るのは他の親戚です。祖母祖父は通常4本目です。線の長さは、この方の人生に影響が与えられた期間を示します。 第280図のように新しい影響線は20歳から30歳の頃に現れるようです。これは通常奥さんか旦那です。多くの方は20歳から30歳の間に結婚するからです。 幸せな結婚をしているならば、この線が現れることから結婚がこの方に大きな影響を与えていることがわかります。この線がハッキリ見えないようならば、この方にとって結婚は大きな印象を与えていないことになります。 影響線と生命線が鮮明な線で結ばれていることがよくあります。これはこの線の影響が人生に組み込まれていることを示しています。金星宮の上に影響線が集中していれば、金星宮の特質がこの方の人生に深く影響します。 人生に影響を与える出来事が、本人の知的な心に深い印象を与え、影響線が現れるのです。 第281図のように線の終わりに星印があれば、それが何であれ、与えられていた影響の終わりを示します。影響を与えていた方が誰かはわかりませんが、生命線からの距離を考慮することで、ごく親しい人か遠い親戚かなどが分かります。 これは重要な指標でありしっかりと習熟してください。親戚の死はとかく人々の人生の方向を変えます。時にはどうにも解釈ができないこともあります。そんなとき、影響線に星印があるとヒントになることがあります。 土星線や太陽線との関係でも影響線は役に立ちます。人によっては親族の死が大きな健康上の問題を起すことがあります。そういうことにも影響線は非常に重要な示唆を与える存在です。 影響線が深く力強く、色も良いならば、その影響力は強大です。第282図のように影響線が細く、鎖状で破線ならば、影響力は強くありません。 第283図のように影響線が深く始まり、やがて細くなり、だんだんと衰えていくならば、影響力が最初は強いですが、だんだんと弱くなりやがて消滅します。 第284図のように同じような線が復活して、再び強くなるならば、影響力が戻り、力を得ます。 第285図のように影響線が生命線から離れて行き細くなるならば、この方の影響力はだんだんと遠ざかりやがて消滅します。近くにいた方が疎遠になることを示しているわけです。これらの事が起こる年齢は生命線から判断できます。 第286図のように影響線が人生の初期にスタートし星印で終わっており、生命線からさらに離れたところに影響線があり、星印の後で強くなっていることがあります。これは星印のあるところの年齢で母親か父親が亡くなり、遠くの親戚が人生に入ってきて両親の代わりをしていることを示唆します。 第287図のように影響線が細く始まり強くなりやがて破線して、別の線と交代し、その線も他の線と交代することがあります。これが示唆するのは親戚の方が交代で影響を与えていることです。 第288図のように生命線に欠陥があり、細く鎖状だったり、浅く幅が広かったり、島や破線があるのに、影響線が強いことがあります。これが示唆するのはこのかたの健康は繊細ですが、親族の誰かが人生の大黒柱として支えていることです。この線は火星線と同じ効果があります。大事に看護されてこの方は生き延びています。私はこの線を火星線ではなく影響線だと見ています。 第289図を見てください。人生の初期に頭脳線が貧弱ですがだんだんと強くなり、初期から力強い影響線がだんだんと生命線から離れ細くなっています。これが示唆するのは、人生の初期に置けるこのかたのメンタル面の弱さが、どなたかの強い影響によって支えられていることです。この方のメンタル面が強くなるにつれ、外からの影響の必要が無くなり、線が消えていっているのです。 生命線から上向きの線が出ていれば人生において気運が上昇することを示しています。ところがその上昇線が第290図のように心労線(Worry Line)で切断されることがあります。これはこの方の仕事に障害が起こる事を意味します。上昇機運に水が差されるわけです。 心労線は第291図のように影響線から発生することがよくあります。これが示唆するのはこの影響線のために上昇機運に水が差されることです。 心労線が生命線から分岐して、上昇する線を切断すると法的問題が起こる事を示唆するとよく言われます。昔の手相家たちはこれを離婚のマークだと見ています。このマークだけでそのような診断は下せませんが、他のマークでも確認できるなら離婚の可能性だという解釈もできます。 生命線から上昇する線を切断する心労線が、第292図のように手の平を横切り二股に別れている結婚線(a line of union)を切断しているならば離婚という診断は正しいでしょう。 第293図のように影響線が終わる★のマークから心労線が始まり生命線から上昇する線を切断しているならば、親戚の方が亡くなりそれが問題となっていることを示唆します。 第294図のように影響線が深くやがて細くなることを繰り返すならば、影響は強くはじまり弱くなり、影響力は断続的にしか行使されません。 第295図のように影響線が生命線から離れて始まり、だんだんと生命線に近づき力を増してくることがあります。これが示唆するのは遠い親戚の方がこの方の人生にだんだんと近づいてきて、影響力を持つことです。この線が生命線に近いところにある他の影響線を横切っているならば、このかたの影響力が他の方よりも大きくなっていることを示します。 第296図のように影響線が途切れていて、空間があり、また始まっていることが繰り返されていることがあります。これが示唆するのは、どなたかの影響力が消滅しては回復することが繰り返されていることを示します。 第297図のように途切れる影響線が、20歳代とか30歳代から始まっており、もう一つの影響線がやはり早くから始まり、途切れている線の脇をまっすぐに伸びていることがあります。これが示すのは、夫か妻が不安定であり、それを父か母による安定した影響力が補っていることです。このような父母からの影響力が不安定な結婚を癒し救済することがよくあります。 第298図のように生命線と並行して走る影響線に「島」があると、影響はデリケートなものになります。さらに「島」のある線が星印や交差線(cross)、点、横棒(cross-bar)などで終わることが示唆するのは、デリケートな影響が終わることです。影響が終わる年齢は生命線から読み取れます。 第299図のように金星宮の上にある水平線(Horizontal lines)は、人生に起こった足かせ的な出来事とか人物を示します。平行線(Parallel lines)は障害とはなりません。平行線は弱さや障害を意味するかもしれませんが、その方に敵対的な強い影響を与えるものではありません。 一方、交差線は影響力を妨害しますし、心労と悩みをもたらします。だから生命線を横切る線は心労線と呼ばれるのです。この線が深く赤い場合は、深刻な障害があります。細く取るに足らない線ならば、「厄介だ」というだけです。 多くの心労線が生命線を横切っているならば、深さや長さにもよりますが、事は深刻だと考えるべきでしょう。深い心労線は、病気など深刻な問題を示唆します。水平線が金星宮全体を横切り生命線も横切っているならば、心労が継続しているでしょう。短ければ一時的な厄介事です。 第300図のように、水平線が一つの影響線を繰り返して切断しているならば、この影響を与えている人物は、人生通じて心労と障害に悩まされています。 第301図のように、影響線が強烈な交差線に切断され、その後に「島」が現れ星印で終わっているならば、影響を与えていた方に災難が降りかかり、もろくなり、亡くなったことを示唆します。切断する線が深く、人生の早くに始まっているならば、それは両親でしょう。切断が起こった原因は父親であることが多いようです。このようなケースをいくつか体験しています。父親が亡くなったり怪我をして衝撃を受けた母親がその後、立ち直れないのです。 第302図のように多くの影響線が生命線と並行して存在し、それらが小さな線でたくさん切断されているならば、このかたの家庭生活にはいろいろな妨害が入りこみ、幸福なものではないケースがよくあります。 第303図のように横切る線に「島」が見られるならば、この障害には極めて不愉快なことが含まれています。このかたの失敗ではないのに人生に妨害が起こります。この線が生命線の内側の影響線を切断するだけならば、親戚の方にその不愉快なことが降りかかります。この線が生命線まで切断していれば、この手相の持ち主に影響があります。このマークを土星宮からの「島」と混同しないでください。土星宮からの場合はリウマチを示します。 第304図のように影響線に「島」があり、そこから多数の横棒が発生して生命線をカットしていることがあります。これが示唆するのは、親戚のどなたかのことを、この手相の持ち主が常に心配していることです。 第305図のように、横棒の後の生命線に「島」がある場合は、親戚への心配がこの方の健康に影響を与えることです。病身の親戚の方の看護で疲れて体を壊すのかもしれません。 第306図のように、影響線が最初は深いのですが、だんだんと細くなり星印で終わり、心労線が影響線から出て生命線をカットし、生命線が細くなりドットが見られることがあります。これが示すのは病弱な親戚がだんだっと衰弱して亡くなり、心配を続けたこのかたの健康が害され、深刻な病気になることです。生命線がドットで終わっていればこのかたは回復しません。その後も生命線が続いていれば健康を回復します。 第307図のように、影響線が星印で終わり、心労線が頭脳線のドットと結ばれているならば、親戚の死の影響で、脳に深刻な病気が現れます。 第308図のように、影響線が星印で終わり、これが頭脳線の「島」に心労線で結ばれているならば、親戚の方の虚弱や死亡でこのかたのメンタル面が衰弱状態になります。これらのケースの場合、亡くなる親戚の方がどのくらい近い方かは、生命線と影響線の間隔から判断します。 第309図のように、影響線から生命線に向かって上昇している線が生命線をカットしていないならば、この親戚は手相の持ち主を向上させる存在です。一方、影響線から生命線の方に下がる線があれば、親戚の方は継続的な足かせとなります。 第310図のように、妻か夫と判断できる影響線から、木星宮の方に上昇する線があることがあります。これが示すのはこの親戚が極めて野心的なことです。この時期の後に木星線が通常よりもより優れているならば、野心的な連れ合いがいて、手相の持ち主が更なる成功をもたらすよう拍車をかけます。 第311図のように影響線が早くスタートしており、それをサポートするような線が結婚する時期からでていたら、夫か妻の影響が母親に取って代わっています。 第312図のように、結婚パートナーの影響線が細く、母親の影響線が強く深ければ、奥さんとかご主人の母親によって、そのパートナーは押さえ込まれています。 影響線を見るときの一般原則は、他の全ての線と同じです。覚えておいて欲しいのは、影響線が示しているのは本人以外の方であることです。それらの人々が本人とどのような関係かを発見できれば、その方の影響を詳細に査定することが出来ます。 影響線に存在する欠陥が、心労線で他の線の欠陥に繋がっていれば、この方の影響によって欠陥がもたらされたことがわかります。影響線の欠陥や変化の後に、生命線に変化が出ていれば、この線の影響のために、人生が被害を受けていることが分かります。このようなケースでは生命線の特徴を見ればどのような悪影響なのかがわかります。 ご主人や奥さんの影響線であるかどうかを判断するには、年齢を考慮します。18歳から25歳ぐらいから出ている影響線は奥さんでしょう。25歳から30過ぎから出ている影響線はご主人だと思われます。なぜならこの年齢頃に結婚することが多いからです。 影響線を診断するには時間をかけてください。色々な組み合わせを学ぶには時間がかかるものです。まだ学びの身であるときは、怖れずに質問をしてください。どこで判断を間違えたかを見つけてください。一般的な原則を理解し、影響線に対して論理的に応用することで、多くを得ることになるのは間違いありません。□ |