第二部 第一章(1)」
手の線は何を意味するのかについての基本的な考え方 「魂にはこれから起こる出来事がすでに理解されている。出来事は思ったことが現実化することに過ぎない」エマーソン 手の線を観察・研究し、それが何を意味しているのかを、数しれない事例で追跡してきていますが、ある場所に存在する線は、常に同じことを意味していました。これらの線のある種の形は、それらが示唆する事柄が良いことなのか悪いことなのか、あるいは強いか弱いかを示しています。 つまり手の線は、人生の詳細を示しています。ある出来事が、手の持ち主の頭脳に強い衝撃を与えると、手の決まった場所に線が現れます。あるいは線が消えたり分断されてしまいます。持ち主に与えた悪い影響、良い影響に応じて、さまざまに変化するのです。 このような数千の結果を観察すると、さまざまな感情の影響が、手のどこに表れるかが分かるようになります。どのような線が良い影響、あるいは悪い影響を意味しているかが分かるのです。 線は大人だけでなく、生まれたばかりの赤ん坊の手にも見られます。線はさまざまな方向に交差し、もともとまったく線がなかった場所にも現れます。さらに強い線が薄くなったり消えたりします。その結果は、滑らかな線のない手のひらで、前に線があったなどとは信じがたいことすらあります。 線は深さが増したり、長く伸びたり、手を横断したりします。さらには全体が消えてしまうこともあります。その場合、端から消え始めやがて全体が消滅します。これらの変化は、手の持ち主の心に与えられた深刻な印象にしたがって起こるのです。 多くの方が信じていることですが、人間の体のすべては特殊な目的を持って作られています。創られたものすべてには、理由があるのです。したがって、手のひらにある線も例外ではなく、創造主が何か目的を持って創ったと考えられます。そうでなければ手の線だけが例外だということになります。 医師はつい最近まで、人間という生物体について、あまり知識を持っていませんでした。これまで多くの器官の機能が不明でした。だからといって人間の体を研究する人々は、それらの器官には意味が無いとは思っていません。今では体の構造の多くの秘密が明らかにされてきています。現在の進歩的な医師たちは、そのうちすべての器官の機能が明らかにされると信じています。すべての器官が人間という機械を動かすために必要なのです。 医師がすべての医学について習得し、すべての病気を治療しようとすると、総合医・内科医となります。彼らは人体・病気・治療法について一般的な知識しか持ち合わせません。この段階では体について一人の医師が知ることには限度があり、治療も外科手術も原始的で、結果も十分に満足できるものではありませんでした。 しかし時代が変わり、一人の医師が目の研究をし、別の方が耳、別の方が皮膚などと、一生をかけて一つの器官を研究するようになり、専門家が生まれ、医学が急速に進歩して、治療結果も飛躍的に向上しました。 一人の医師が人体の器官のすべてに精通することは、あまりにも大事業です。しかし専門家は、一つの器官に一生を捧げて研究し、その器官について詳しく理解できるようになります。この無限とも思える詳細な知識は、人の一生ですべてを理解できず、次の世代に継承されて研究されています。 奇妙だと思われるかもしれませんが、手の専門家というのはあまり聞いたことがありません。体の中でも手は重要な素晴らしい器官だと思うのですが・・・。手のひらには人物のタイプが刻印されていますし、人生の航路も地図として示されています。しかし手が注目されはじめたのは、最近のことです。 手相見というのは手の専門家です。専門的研究の結果、手にあるさまざまな線が目的を持っていることが分かっています。またそれを証明できると主張しています。誰にでも人生の自然なコースというものがあります。そのコースを変えようとか改善しようとしない限り、そのコースを進みます。 別の言葉でいうと、誰でも一般的な人生のコースが決められており、人生には限界があることが、人生の始まる時点で存在していると、私たちは考えています。普通は、この方が持っている「宮」のタイプの組み合わせで一般的な人生航路をたどります。 この自然な人生航路は「宮」のタイプの特質によって導かれます。「宮」にはどのような健康状態を持つかも示されおり、その結果は手のひらに線として刻まれます。そこで線が自然な人生航路を示す地図となるのです。 この方の精神や肉体の状態に特別な変化がなく、事故も起こらなければ、人生は予定のコースを進みます。したがって手のひらの線は、この人を創造した宇宙が書き込んだものそのもので、この方の人生地図を解釈でき、自然な人生航路がどのようになるかも判断できます。 手相占いから手の研究を始めた多くのまじめな思索家は、手を観ると人生で何が起こるかを見ることが出来るだけでなく、未来までが示されている現実に戸惑います。実際のケースを見ると、未来が示されていることが多く、なぜそのようなことが起こるのか、説明に困るのです。 現在では手のひらの線の機能について、二つの解釈が確立されています。この二つの組み合わせで線の機能が説明できます。第一に、線はその方の心の持ち方で変化することが証明されています。その方の性向や性格に大きな変化が起こると線も変わるのです。さらに健康状態や精神的な強さの状態でも変化しします。またある事件が強烈な印象を人の心に与えると、線が変化します。 そこで言えるのは、手のひらの線は、その方の心の状態を直接的に反映していることです。つまり、心が線を作り管理し変化させているのです。 このことで、手の線があるひとの過去の人生における出来事を正確に示していることが説明できます。過去において頭脳に印象を与えたことが線として現れるのです。この面に関する手の線の有用性は十分に理解されています。 問題は、なぜ手のひらの線が、未来に起こる出来事まで正確に示しているかです。これを説明するのは簡単ではありません。 科学者による最近の実験によると、人間の心あるいは意識は、二重になっています。一つは物質世界で働く心・意識で、見たり触ったり出来ることしか意識しません。もう一つの心・意識は、スピリチャルな世界に存在します。つまり見ることも触ることもできない、充分な説明もできない世界に存在する意識であり心です。 二つ目の心・意識は、物質的な世界に、ときどきしか姿を現しません。だから発見が遅れたのです。最初の世俗的な心と意識には限度があります。それらが認識できるのは、起こった出来事、あるいは目の前で起こったことだけです。この世俗的な心と意識は、未来を見ることは出来ませんし、物質世界の現実を超えることも出来ません。ただ現在が分かるだけであり、それはすぐに過去の出来事となります。 一方、私たちの内部の意識、あるいは無意識、あるいはスピリチャルな心には、そのような限界がありません。これらは何が起こったかを知るだけでなく、何が起こるかも知っています。これらは私たちの地上の肉体という牢獄の中に閉じこめられていなく、地上を越え未来を覗くことが出来るのです。 心が手のひらの線を作り、管理し、変化させることが真実ならば、線は世俗的・物質世界の意識だけでなく、スピリチャルな実体のない意識の影響も受けることでしょう。一つの意識が過去と現在を支配し、もう一つが未来を支配するなら、二つ意識あるいは心で、過去・現在・未来が支配されます。そして過去・現在・未来への影響は、心を反映する手のひらの線に表れるのです。 この仮説の正確さは、次の二つを根拠としています。 第一:心は、手のひらの線を作り、管理し変化させる。 第二:二つの心があり、一つは世俗的で実体があり、もう一つはスピリチャルで実体がない。それぞれが独自に機能する。 これらの二つの見解が正しいなら、論理に破綻がなく、私たちの仮説が正しいといえるでしょう。つまり「手のひらの線がなぜ未来を見通しているのか?」という疑問も解消されるわけです。 この仮説の第一の部分に関しては、私自身の経験を語れますし、多くの手相見が同じ経験をしています。つまり新しい線が生まれ、古い線が変化したり消滅することを目撃しています。しかもそれは確立された線の見方の法則に従っています。この事実は、観察する気のある人ならば、誰でも証明できます。過去五年間、私はこのことに関して特別に研究してきました。その結果、このような変化が起こった多くの記録を所有しています。 この記録は膨大なので、一つ一つのケースを掲載することは不可能です。しかし、手のひらの線が、新たに生まれ、変化し、消えることは、広く知れ渡った事実です。手相見ならば誰でも知っていることですし、この点に関して反論する人はいないと思います。 二つの心が存在するという2つ目の基礎については、多くの科学的研究が存在し、既にその事実が証明されているといっていいでしょう。過去・現代の多くの偉大な科学者や学者が、探求の結果を明瞭・詳細に記録しています。その結果は疑う余地が無いほど「心は二重に存在する」ことを示しています。心は無限の空間で働き、物質という環境には制約されません。そして多くの場合、未来も覗くことが出来るのです。 ここで、事実を示すそれぞれのケースを提供しようとは思いません。このことに関しては膨大な資料があり、読みたい方は、簡単に書物を入手できると思います。そこで私は、すでに証明されているとだけ述べます。そしてそれを仮説の基礎とします。 これまでのことをまとめますと、手相の基礎について2つの前提を述べました。これらが正しければ私の仮説も正しくなり、手のひらの線の役割が明確になります。この二つの前提は正しいことで間違いないので、私たちの仮説も正しいといえます。線は心によって作られ、管理され変化するのです。二重になっている心は過去と現在と未来の知識を持っています。その知識は手のひらに「線の地図」として描かれており、理解できる人ならば簡単に読めます。 ただ、この人生地図が変わらないとは言っていません。私たちの人生計画はいろいろな事態によって変化します。他人から影響を受けることもありますし、事故もあります。強烈な渇望に強い決意が伴ったり、あるいは健康が損なわれても変わります。 したがってこれらの変化が起こるときは、その出来事に従って、新しい線が生まれたり、十字が生まれたり、線が消えたり弱まったり、強くなったりと変化します。人生の地図を作っているオリジナルの強い線は、心の変化とともに特別の線が消えたり薄くなったりします。 よく言われるのは麻痺すると手の線が消えることです。また神経が死ぬと線も消えることがわかっています。これは頭脳が線を作り管理していることを示しています。といってもすべての麻痺で線が消えるわけではありません。麻痺しても生活がつづく場合があります。たとえば、体が動かなくなっても、頭脳は明晰であることがあります。このような場合、線はぼけて薄くなりますが、消えてしまうことはありません。 麻痺などによって脳が軟化すると、線は薄くなり消え去ります。心が破壊された程度に応じて消え去ります。心が消えていくと線を支えていた活力が失われてしまうからです。たとえ脳が残っていても、心がなければ線は消えてしまいます。麻痺で体が動かなくなっても、心が明敏で活躍していれば、線も保存されます。 精神のバランスが崩れた狂気の方で、脳細胞が破壊されているわけでない人の場合、手には強い線が見られます。この場合、心は存在していますがバランスが崩れています。心があるからといってバランスがとれているとは限らないわけです。心が消滅している場合は、手の線も必ず消滅します。 前からある主要な線は、自然な人生のコースを示しています。新たに生まれる線はその方が考え始めているアイデアや感情を示します。 人間とは謎です。誰かと話をしても、相手の考えていることが何かは分かりません。それどころか話している本人も、何を話しているか充分に理解していないことも多いのです。脳を見ても、彼の考えていることを知ることは出来ません。辛抱強い生徒は何年間もかけて、心の謎を解く鍵を探し求めてきています。研究の方向はさまざまですが、目的は一緒です。 その一つの鍵として手があります。手は頭脳のしもべです。簡単に見ることが出来ます。そうです、この鍵を使うと心の秘密の部屋が覗けるのです。他にも鍵が無いとは言いませんが、私が知る限り、手の線が最も信頼できる鍵であると言えます。人は偽るのが上手ですが、顔の表情を操るように、手の表情を変えることは出来ません。 手相にはその方の実像が示されています。虚像ではありません。手相を見ると、その方の心構えとその結果が分かります。ただし、決して忘れてはならないことが一つあります。一つの出来事をどう受け止めるかは、人それぞれ違うことです。つまり同じ出来事が同じように手に現れることはありません。顧客の手を精密に観察すると、同じ出来事で同じように深い影響を受けるわけではないことが分かります。したがって手相を見る前に、いろいろな出来事を読み取れるなどと言ってはいけません。 その方の手相に現れるのは遺伝的なものか、自然の傾向にそったものであり、その方の心に発達してきて、その方に深い印象を与えた事柄だけです。人々は同じように影響を受けるわけではありません。印象も異なります。その方が何に影響を受けるかが分からないのに、手を検討せずに判断することは出来ません。 愛でも結婚でも、金持ちになるかなど、いろいろなことが何でも分かるという手相見が居たら、その方は無知なのか、あるいは嘘つきです。手は独自の物語を語ります。手を観察する前には何も語れません。手の線を読み取るのは、手相見の仕事でもデリケートな分野です。蓄積された技術が要求されます。手相の科学を完璧にマスターしている必要があります。 素人の方が気をつけるべきは、最初から余りに多くを求めることです。張り切りすぎてしまうのです。最善の方法は、最初、大事な主要な線だけの観察に留めることです。伎倆が上がるにつれてチャンス線とか他の線とのコンビネーションを取り入れていくのです。注意深く前進していけば、自信も湧いてきますし、急速に熟練します。 手相見は誰でも、その方特有の心のあり方に沿って専門化していきます。ある人は手相を見てビジネス面を判断します。ある手相見は芸術面に興味があります。別の方は科学とか健康に興味があります。このようにして手相見もある分野の専門家となっていきます。 手相を見続けていると専門はより明瞭になります。訓練をすればするほど専門家になるのは医学と同じです。私の助言は、もっとも興味のある分野に注力し、専門家になることです。最初は顧客の人生の出来事の2つか3つが分かればそれで満足しましょう。もっと多くを見て伎倆も上達すると、手に描かれている人生地図が簡単に読めるようになります。□ |
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