第11章 太陽線(The Line of Apollo) 能力を示す線 太陽線は縦線で、第422図のように、長い場合は月宮上部から始まり、短い場合は手の上部から始まり、太陽宮に達しています。時には太陽宮の上部に達し、時には「宮」に達しないで終わることもあります。 太陽線は、日陽の線(The line of the Sun)とか、才気線(The line of Brilliancy)とかいろいろな名前で呼ばれます。この線は優れた芸術的才能に恵まれ、富、名声などを示すとされていますが、様々な線の中でも、完全に誤解されている線の一つです。そのため、多くの手相家が誤診をして屈辱を受ける原因ともなっています。 優れた太陽線を見つけると、素晴らしい才能の持ち主だと、まくし立てるのが常でした。美術、音楽、舞台などに芸術的な才能があると言うわけです。ところが言われたほうは、そんなこと、考えたこともありません。 たとえば優れた家庭的な奥さんならば、悪気の無い手相見に褒められて、ご両親にたいして憤慨するかもしれません。なぜなら、彼女の隠された優れた才能が無視され、開発もされなかったからです。彼らが才能を発揮できなかったのは、世界にとっての損失だというわけです。 才能の持ち主だと言われた人が、実は色の見分けがつかなかったり、耳が遠かったりします。そこで、手相見も顧客も優れた太陽線が、なぜ正しい判断を示さないのかに疑問に感じます。 これは手相見が全面的に悪い訳ではありません。なぜならこのような解釈は、優れた手相の著作家によって容認されてきているからです。多くの誠実な手相家のタマゴは、太陽線を診断することを辞めてしまっています。信頼できず誤解を生むからです。現在の理解の仕方では、辞めることも正しいでしょう。 「太陽宮へむかっている太陽線は、太陽人の性質と持ち味を強めます。太陽人は才気に輝いています。そこで太陽線は才気の輝きを示しており、太陽線を持つ方は天性の才能を持っており芸術的な分野で輝くでしょう」というのがこれまでの見方です。この見解は、ある要素さえ忘れなければ理屈に合っています。 太陽人の性格は多彩です。よい性格、悪い性格、無関心タイプの太陽人もいます。また彼らは、メンタル的、実用的、物質的な三つの世界のどこかに属しています。この分野のどこに属しても、それぞれの光り輝きで成功するでしょう。有名となり富も得るでしょう。 しかし、優れた太陽線を持つ物質世界で輝く太陽人に出逢い、「あなたは偉大な芸術家だ」と言ったのでは、間違いになります。「手相の科学」の精度から見るとこれは大誤りです。 同じ方に物質世界で輝きを放つだろうと言うならば、その推理は当たっていることになります。太陽人の中には、成功する賭博師、馬主、繁栄する肉屋などもいます。太陽線を見て、芸術的な追求をすることで富と名声が得られると常に診断するのは誤りです。芸術的な才能は、太陽線が示す可能性の一つにすぎません。この線の持ち主が、別の多くの方面で才気を示す可能性を忘れては、極めて不正確な診断となります。 どの線の場合でも同じですが、太陽線についてその方に添った見方をしないと有効に使えません。まずその方を理解して、それから太陽線を当てはめて診断することで正確になります。太陽線に合せるために努力をする試みは、決して正確な診断とはなりません。 この線の名称としては能力線(the Line of Capability)がベストだと思います。この名前は線の本質をよく捉えています。凄いことを成し遂げる能力と可能性を示唆する線なのです。能力が最も発揮される分野は、手相に出ています。力の源泉も分かります。この力が能力を一つの方向にむかわせ、優れた結果が生まれるのです。 優れた太陽線があることは、間違いなく太陽人の性格を持つことを示します。他のタイプに比べて容易に友達を作りますし、お金や評判にも恵まれます。ただし太陽線を見るときは同時にこの方がどの分野の世界に属するかも見て下さい。それから初めて、どの分野で才能を発揮するのかがわかります。 優れた太陽線を持つ方に出会うことは少ないでしょう。でもわずかでも価値のある太陽線に出会うことが多々あるでしょう。実のところ、まったく太陽線を持たない手相がほとんどです。 優れた太陽線の存在は、この方が世の中を渡る特殊な才能を持つことを示します。手のそのほかの部分も優れているならば、特殊な才能を持つことに間違いはありません。太陽線は手相全体の状態と合わせて考える必要があります。 優れた太陽線を持っていても、締まりの無い手であったり、親指が貧弱であったり、弱い頭脳線、貧弱な火星宮・木星宮・水星宮・金星宮などの欠陥が見られるならば、太陽線の優れた面は帳消しになります。どの線であっても、その最終的な評価は、これら全てを考慮に入れて下されます。 太陽線が存在しないことは不成功を意味しません。土星線が存在しない場合と同じように、「自力ではい上がる人」は、優れた才能を示す太陽線を持つ人よりも、努力でさらに優れた結果を残すことがあります。 太陽線について研究している間に気がついたことの一つは、優れた太陽線を持つ方は、才能に頼りすぎる嫌いがあることです。才能を開発するには努力と忍耐が必要ですが、それを行わない方が多いことです。 そこで才能に恵まれていない地味な努力家たちが、才能に恵まれた人よりも偉大な結果を残すのです。 太陽線が示す優れた才能にエネルギーが伴うと、際限ない成功が可能です。一方、才能線がないと人生で成功できないという考えは全くの間違いです。太陽線があると成功しやすいというだけです。 太陽線に関して「成功」という言葉を使うときは、そのかたが属する世界で努力することを意味します。手相の三つの世界を忘れないで下さい。手全体から読み取り、さらには三つの指節から読み取ります。 太陽線は土星線と同じように、健康については何も語りません。健康の問題は太陽線に影響を与えますが、太陽線を見ても健康のことはわかりません。太陽線の長さは影響を与える期間を示します。長いほど影響が強く、短いほど重要度が落ちます。 423図のように太陽線が手首のあたりから始まり太陽宮にまで達しているならば、偉大な才能の持ち主です。この才能は人生を通じて発展して偉大な仕事を成し遂げます。 424図のように太陽線が手の下から始まりますが短い距離で終わるならば、偉大な結果は生みません。 第425図のように太陽線が頭脳線と感情線の間をカバーしているならば、この方の生産性が一番高い時期に能力が発揮されます。この難しい時期を簡単に乗り切ることが出来るでしょう。 第426図のように太陽線が「太陽宮」の上を走っているようならば、太陽人の資質が強く授けられています。この方はどの世界で活躍しようと素晴らしい能力を発揮して著名となるでしょう。 第427図のように土星線と太陽線がお互いに依存していることがあります。このような場合よく見られるのは、一方が弱いとき、他方が強いことです。このような場合、二つの線は姉妹線になっており、一方の線に欠陥があるときに、もう一方の線は補助をしています。優れた太陽線があり、水星線が存在しないならば、水星線の損失を太陽線が補っていることになります。 第428図のように太陽線があって、それが姿を消し、後に再び現れるならば、線の見えない期間は単なる潜伏期です。線が消えてしまった特別な原因が分かるときもあります。どんな優れた能力の持ち主でも、病気になる時期はあるでしょう。したがってこのような断絶期があるならば、原因となりそうな他の線や「宮」の欠陥を調べて下さい。 第429図のように、この時期の生命線に欠陥があるならば、繊細な健康が才能の発揮を邪魔していることになります。 第430図のように、太陽線が存在しない時期に、頭脳線に欠陥が見られるならば、この方のメンタルパワーが弱くなっており、成功する人生に必要な、注意が向けられていません。 似たような欠陥が手のどこかに見られるならば、チャンス線で太陽線の存在しない時期と結びつけられていなくとも、この方の才能を発揮することを妨げており、この時期、経歴が順調に興隆しないでしょう。 真の太陽線と見なされるためには、線が太陽宮や中指の真下の、かなり下のほうから始まっている必要があります。 第431図のように、生命線から発生して太陽宮に到達する線は、太陽線の効果を持っていますが、正確に言うと太陽線ではなくチャンス線です。この線はこの方の成功を示しており、太陽線を持つのと同じ特質が存在して、この方に運の良い状態をもたらします。 混乱を避けるために、太陽線は全体が「太陽宮」の下にある線だと制限するのがよいでしょう。そうなると第431図のような生命線から太陽宮に達する線はチャンス線となり、太陽線とはなりません。大事なのは真実です。いろいろなチャンス線を太陽線だとは呼ばない習慣を保って下さい。 第432図も同じように見て下さい。土星線から線がでて太陽宮で終わっています。これは土星線の枝線であり、この方の成功に大いに寄与しますが、太陽線と呼ぶのは辞めましょう。 第433図のように太陽線が手の膨らみにある月宮の上部から始まっているときがあります。これが示すのは想像力と言語の力があることです。この方の指節の最上部(メンタル世界)が強ければ、作家として大成するでしょう。この方の指先が尖っており、指が滑らかならば、詩を愛するでしょう。一方、この方の指が節くれだったり指先が四角ならば、歴史書、叙事詩、歴史小説、自然観察の本などを書くでしょう。 この方の火星宮が大きいならば、戦闘や英雄の物語を書くでしょう。金星宮が大きいならば、この方の書くものは心を動かし涙を流させるでしょう。この方の作品はごく自然で人情に溢れるものでしょう。土星宮が盛り上がっているならば、化学や物理など科学的テーマについて書くでしょう。歴史物も書くかもしれません。この方は神秘的な物語を書くのも上手です。このように手相学を基礎にして推断すると、これらの線がもたらす成功の方向を知ることができます。 第434図のように火星宮上部から太陽線が昇ることがあります。この方は、冷静さ、抵抗力、不屈の闘志、勇気を失うことがない気質などによって成功し有名となります。この方が活躍する分野は手相学から判断できます。 太陽線の方向は太陽宮を目指すものでなくてはなりません。太陽宮を目指してこそ、太陽宮のタイプの特質が発揮されます。名前も「宮」に由来しているのです。 チャンス線を太陽線と間違える危険は常に存在しています。この間違いを避けるためにはルールを決めておくことが肝心です。太陽線はわずかにコースがそれることもあるでしょう。途中で停止することもあるでしょう。枝線を出すこともあります。他の線と出会うこともあります。強化されることもあります。チャンスラインに切断されることもあります。しかし基本的なコースは月宮から太陽宮に進む線でなくてはなりません。 したがって太陽線だとハッキリ言えない線は、別の線だと考えて下さい。そうすれば正確性が高まります。これで太陽線をほかの線と間違えることも無いでしょう。 診断に失敗をする多くの理由は熱意にあるのでしょう。太陽線の持つ影響は極めて有益であることが知られています。そこで手相見はとかく顧客の成功を過剰に評価する誘惑に駆られるのです。褒めることには満足を感じるものですし、顧客のほうも聞きたい言葉です。だから過剰に評価してしまう怖れがあるのです。 手相見にとっては褒めるほうが易しいですし利益にも繋がります。なぜなら顧客は手相見に喜んで同意するからです。素晴らしく優秀だ、素晴らしい認識力がある、隠れた才能がある・・・などと手相見に言われると、顧客は「内心でいつもそうだと思っていたけれども確信がなかった」・・・などと言うでしょう。 お愛想の上手な手相見には顧客も多いものです。そのことを専門家はよく知っています。しかしこれでは顧客の実態とはかけ離れた、おべっか使いになってしまいます。それも太陽線の存在が根拠となっています。 私たちが達成したいのは、事実のみを語ることです。線の語ることを過剰に語るのは止めましょう。そのためには太陽線とは月宮から太陽宮に向かうコースなのだと制限するのがよいでしょう。 太陽線の線の性格は太陽線のもつ力と熱烈の度合を示唆しています。もっとも優れているのは第435図のように深く刻み込まれている線です。この線を持っている方は成功して有名になるでしょう。この方はどの分野の世界で活躍しても創造性を発揮します。この方は色彩や絵画や芸術の分野で自活できるだけでなく、創造力があるので特別な作品を生み出します。 深く刻まれる線は単なる芸術愛好家と真の芸術家の差を示します。さらに薬指の第一指節が三つの中で一番長くて、太陽線が深く刻まれているならば、この方は芸術的な分野で大成功すると評価して大丈夫です。このような組み合わせの手相を持つ人には、著名な男女の作家もいます。 第二指節が一番長く、第一指節もかなり発達しているならば、このかたは芸術家でありながら、己の才能を駆使してお金を稼ぐ能力を持っています。この方はビジネスの世界でも成功します。芸術的手腕で、金もうけするでしょう。 「芸術家」という言葉を使う場合、その意味は画家だけを意味するのではありません。詩人、俳優、歌手など芸術的才能を必要とするかたがたを意味します。太陽人はあらゆる面で美を好み、見て美しいもの、感覚に訴えるものを愛します。 第三指節が一番長く、特別に厚みがあり、太陽線が深く刻まれているならば、このかたは芸術家ではありません。この方は本物の絵よりも石版刷りの絵を好みます。豊かな色彩や、派手な服を好み、常に己の感性を周りの社会に示したがります。これは真の芸術家の感覚を持つ人々を面白がらせます。この人々は金もうけをする人々です。 三つの見方を述べましたが、深い太陽線と三つの指節の世界の関係について判断する方法を示しています。つまり人々の資質を基礎にして厳しく線の解釈をするべきだということです。 第436図のように太陽線が細ければ、診断の強さを緩和します。このかたは深い太陽線を持つ方ほどの偉大な創造力を持ち合わせていません。このかたが芸術家ならば、他の芸術家が創造したものに影響を受け、導かれるでしょう。メンタル世界、ビジネス世界、物質世界のどの分野で活躍しても、深く刻まれた線を持つ方ほど有名にはなりませんし、お金も稼がないでしょう。 第437図のように太陽線が幅広く浅いならば、太陽人のパワーがあまり残っていないことを示します。この方は綺麗なものが好きですし、芸術家を愛し、自由奔放の気質もありますが、自ら創造することを避けるでしょう。この方の手の肌理が粗いならば、見せびらかすことを好みますが、あまり洗練はされていないでしょう。手が上品ならば、服装の趣味もよく、色の調和をとることに優れ、家も趣味のよい家具で埋められているでしょう。さらに文章を書いたり、絵を描くことなどにも手を出すでしょう。このタイプの人からは文学や芸術の模倣人がたくさん輩出します。 第438図のように太陽線が鎖状ならば、芸術的才能がまったくないことを意味します。本人は芸術に造詣が深いと思っているかもしれませんが、そのほとんどは間違いです。彼らは自らの底の浅さに気がつかず、努力のほとんどはおしゃべりに費やされます。このような線を見たら、この方が動く世界がどこなのかを見て下さい。おのおのの世界で不完全な動き方をすることでしょう。 太陽線の色は重要事ではありません。なぜなら太陽線は健康について語らないからです。ピンク色ならば黄色や白色よりは太陽線の強さが向上するでしょう。太陽線の色についていえることは、この程度しかありません。太陽線の継続が破壊されていたり、欠陥の印がでているとき、太陽線の最高の働きが阻害されます。 第439図のように線が太くなったり細くなっていれば、成功と失敗を繰り返します。強い線だけのような安定は望めません。この方は努力をする時期があり、お金が入り評判もたかまります。その後、非活動に逆戻りします。つまり、努力する時期と停滞する時期とが交互に繰り返されます。この方は素晴らしい急上昇をしますが、継続的な行動や成果は期待できません。 太陽線が太陽宮で終わるようならば、この方が最終的に名声を勝ち取り成功することを示唆しています。人生の最後のほうでさらなる努力をするからです。 第440図のように線が波状ならば、 この方の人生は安定しないでしょう。この方は賢く、努力を捧げている世界ではそれなりの成功をします。しかし一貫性がなく不安定で放縦です。この方々は多才ですが脱線をします。一つの方向に着実に進むのではなく、蝶々を追いかけて優秀さと才能を無駄にします。したがってこの太陽線を持つ方の人生の結果は不確かです。何か素晴らしい仕事をする可能性もありますし、いろいろとチャンスを見逃し、何も成就しないこともあります。 この太陽線が太陽宮で終わるならば、この方は最終的に一つの方向に努力を集中します。この方は偉大な放浪家になるかもしれません。とっぴな行動をとり、風変わりな方ですが、何かの面で名声を得るでしょう。 第441図のように太陽線が星印で終わっているならば、この方の人生は輝きます。広範囲で名声を勝ち得ます。この才能豊かな方は不安定ではありますが、最終的に仕事で大成功します。この方がどの分野で活躍するかは、手相学から推察して下さい。 第422図のように「島」が見られるならば。深刻な障害にぶつかります。「島」が深い線で示されているならば、富と名声の実現の足かせとなります。この方は富と名声を失う危険性があります。この方がどの世界で活躍しようと、報酬が確実なことを手がけますが、失敗して損失を被ります。 太陽宮の指(薬指)が土星宮の指(中指)よりも長いなら、この方は思いきったことをするでしょう。たとえば、株式市場に眩惑され、自腹で無鉄砲な賭けをするでしょう。この方の頭脳線と感情線が広く離れていたら、無鉄砲な性格が極端な自信過剰よってさらに強まるでしょう。太陽線に「島」があるならば、つねに金銭と名声を失う危険にあります。このような手相で太陽宮の指(薬指)の第3指節が長く厚みがあるならば、この方は賭博好きです。 小指が曲がってねじれており、感情線が薄いかあるいは存在しなく、さらに手相がよくないならば、この方は詐欺師でペテン師です。このかたは詐欺を行い、太陽線で与えられている優秀さを利用して卑劣なさもしい行動をとります。このような線が手相に見られる場合、どんなに手相がよくても要注意です。 第433図のように横棒線が太陽線を切断していることがあります。これが示すのは成功への障害がたくさんあることです。このような横棒線を観察したら、まずこの方の活躍する世界を特定し障害物を捜します。このような横棒線が現れる原因は多彩ですが、チャンス線・「宮」・影響線などを調べれば由来がわかります。 太陽線が横棒線を横断して刻まれているようならば、この方は困難を乗り越えるでしょう。逆に横棒線が太陽線を切断しているようならば、困難がこのかたの人生に深刻な影響を与えます。 横棒線が太陽線の上を横切る小さな細い線なら、いらだたしい介入です。この方は常に色々悩むことになり、心の平和が保てずに、物事の進展の邪魔になります。 第444図のような太陽線に存在するドットは、この方の評判にとって脅威です。ドットが小さければ、敵のささやき程度です。ドットが大きく深ければ、よい評判が失われることを意味します。この場合もチャンス線などをいつもの方法で調べれば原因が分かります。 第445図のように太陽線に断線が見られるならば、このかたの上昇機運や野心に水が差されます。断線はせっかくの太陽線の御利益を破壊して、すべての前向きの影響が働かなくなります。このような線を持つ方が芸術の世界に属し芸術を愛していても、芸術家や創造者にはなれないでしょう。でも裕福になれば芸術のパトロンになるでしょう。 ビジネス世界に属する方でこの線を持つ方々は、部分的にしか成功しません。太陽線の持つ便益を受けられますが、多くの失敗をします。太陽線に断線が見られるならば、ごく普通の成功しか望めませんし、多くの失敗をするでしょう。このような断線が見られたら、修復のサインを捜して下さい。修復のサインがあればこの方の状態はよりよく改善されます。 第446図のように修復のサインには様々な組み合わせがあります。このように修復されている線は、浅くて幅の広い太陽線よりも劣ります。 太陽線の終わり方で人生の結果がわかります。始まりが深い線でだんだんと浅くなり、その後消えてしまうようならば、線が深いときが人生におけるベストの時期です。その後、だんだんと富を作る能力が消えていきます。第447図のような手相では、最終的な成功はごく平凡です。 第448図のように太陽線がドットで終わっているようならば、豊かな生活を送った後、最終的に評判を落とします。 第449図のように太陽線が星印で終わっているならば、素晴らしい成功を収めることを示唆します。太陽宮の上に星印があるならば、素晴らしい線の最後の輝きであり、組み合わせの全体をさらに強化します。 この方の所属がメンタル世界ならば、詩人、作家、画家、彫刻家、俳優などのいろいろな芸術分野で著名となり、名声を勝ち取るでしょう。サラ・ベルナール(1844-1923; フランスの女優)、リリアン・ノルディカ(1857-1914:オペラ歌手)、ヘレン・モジェスカ(1840-1909:女優)、キャサリン・キダー(1868-1939:米国の女優)など多くの著名な俳優、声楽家、楽器演奏者の手にはこのマークが記されています。 このマークを持つ方が実用世界で活躍する方ならば、楽に素早くお金持ちになります。この方が何のビジネスをしても常に利益を出しますし、成功を称賛されるようになります。 もしも第3指節が支配的ならば、この方はそれほど洗練はされていないでしょう。しかし大金持ちにはなります。 第450図のように太陽線の上に二つの星印があるならば、目も眩むほどの優秀さで、大変有名になります。女優のサラ・ベルナールはこのマークを持っていました。二つの星マークがある場合、最初の星印は大成功する始まりを示します。線の最後の星印は、死ぬまで豊かで成功することを示唆します。 太陽線が星印で始まり、星印で終わるならば、生まれたときから死ぬまで優秀で大成功するでしょう。 第452図のように太陽線の終わりに深い横線があるならば、人生の終わりに乗り越えがたい難局が待っています。このマークは人生に決定的なので、運命線を調べ、他の線も点検して原因を見つけます。 第453図のように、このマークだけでなく生命線の50歳代に欠陥が見られ、生命線が房やフォーク状、『島』、星印、×印などの欠陥で終わっているならば、この年代に病気を抱えます。この方は病気から回復することもなく、人生の展望も開けません。 第454図のように「島」や星印が頭脳線の50歳代に見られることがあります。この方はメンタル面でのパワーが不足して、経歴に影響があり、成功人生も停止されます。 第455図のように頭脳線から枝線が太陽宮の横棒に達しているならば、計算間違えが、この方の人生にブレーキをかけ、回復することができません。計算間違えの多くは人生の初期における投資で、その結果が悪くなります。 第456図のような太陽線の最期に×印がある場合は、横棒よりも苛酷な障害です。この方の評判は地に落ちるでしょう。この印は貧弱な判断力を示します。したがってこの方は人生で多くのミスをし、その結果が思わしくないわけです。 このような終わり方は優れた太陽線であっても見られます。このようなマークが貧弱で欠陥のある太陽線に見られたら、意味合いは強まります。これは貧弱な太陽線からみて当然な結果ともいえます。 第457図のように、太陽線の終わりが四角い枡で囲われていることがあります。これが示すのは、この方があらゆる種類の害悪から守られていることです。この影響は人生の終わりだけに遂行されるわけではありません。人生全体に対していえます。大体の場合、太陽線の最期に現れているサインは、人生全般に関していえますが、特に四角い枡は確実です。太陽線があまりよくないサインで終わっていても、四角い枡に囲まれているならば害毒は大きく軽減されます。 第458図のように太陽線の終わりに「島」が見られるのが最悪の印です。どんなによい太陽線を持っていようと、このマークがあるならば、この方の晩年には暗雲が垂れ込めます。このマークが示唆しているのは評判とお金を失うことだからです。 第459図のように太陽線の最後がフォーク状に別れているのは、この方が複数の才能を持つことを示しています。これはこの方が一つのことに才能を傾けるよりも達成が少ないことも意味します。 第460図のように太陽線の最後が三つにみごとに別れていれば、星印並に素晴らしいマークです。これが示すのは、知的努力で富と名声を得ることです。 第461図のように「宮」の場所で太陽線の両側に並行する線が見られるならば、すでに素晴らしい線をさらに強化します。太陽線はそれだけでも素晴らしい線ですが、姉妹線に両側をサポートされていれば、最高の成功をするでしょう。古代の手相見たちはこのような線を「評判線」と呼んでいます。 第462図のように太陽線が「宮」にまできて、「宮」の上にたくさんの縦線が見られることがあります。この方は多方面に才能を持っていますが、この多才さの故に、成就することが少なくなります。 第463図のように太陽線が房で終わるならば、この方は努力を余りにも多方面に向けてしまい、成就することが少なくなります。才能はあるのですが余りにも多様なのです。 第464図のように太陽線の終わりに、枝線が土星宮と水星宮に達している場合があります。この方は土星宮の知恵と、太陽宮の輝きと、水星宮の鋭敏さを持ち合わせているので、この組み合わせから富を蓄え名声も得ます。 第465図のように太陽線から上昇する枝線がハッキリとでているのは、太陽線の力を上昇させます。優れた太陽線に見られるならば、このかたの成功はより確実なものになります。この方の人生には浮力があり、邪魔となる障害物を乗り越えることができます。つまり困難の波の上を浮力で乗り越え、水没しなくてすむのです。一方、太陽線から落ちる線が見られるときは、成功するために、より多くの努力を続けることが求められます。この方の人生は上昇するときもありますが、荷が非常に重くなるときもあります。この場合、簡単に困難を乗り越えることはできません。下に落ちる線があるときは、上昇する線が示すような輝く人生が約束されているとはいえません。 太陽線から枝線がでて、他の線やサインや「宮」に走っているときは、それぞれ特別な意味を持ちます。その意味を読むには枝線の終わるところを見ます。上昇する枝線が木星宮に行っているならば、この方は偉大な才能だけでなく強い野心と指導力に恵まれています。この組み合わせは成功を意味します。富を得ることが無くても、間違いなく名声を得ます。この組み合わせで木星宮に星印が見られるならば、この方の野心は成功という王冠を得ることになります。 第466図のように、この組み合わせに加えて太陽宮に星印が見られるならば、著名人になることが確実です。このようなマークを見たらすぐに手相学的な観点から検討して下さい。 手が柔らかく、金星宮が大きく、指先が尖っているならば、このかたは音楽家です。この方は愛のメロディーを好み、陽気で調子のよい作曲は、人々の心を捕え、人々の足を動かします。さらに月宮も大きければ、この方はクラシック音楽も好みます。このマークを持つ方の指が、四角(角張っている)ならば、リズムや拍子に優れており作曲も上手です。指先がヘラ状ならば、遂行力があり素晴らしい演奏者です。指が四角く指先がヘラ状ならば、作曲家であると同時に演奏家です。これが言えるのはこの方が芸術の世界にいる場合です。 実用世界にいる方ならば、金もうけが上手で、どこのビジネス社会に属してもリーダーとなります。この方向では著名人となります。この方が物質世界に属するならば、やはり金もうけが上手ですが、がらっぱちで粗野です。服装も生活も低級でしょう。 太陽線からの枝線が土星宮に昇っているならば、土星宮の持つ知恵、冷静さ、倹約、科学的発想、バランス感覚という性格がこの方の成功するチャンスを拡大します。 このような組み合わせでメンタル世界の方ならば、オカルト科学や化学、物理学、あるいは数学などに優れています。指も滑らかならばこれらの分野で直観を駆使します。節だらけの関節ならば理屈に強く計算高いでしょう。指が角張っているならば的確です。指先がヘラ状ならば独創的です。このような「太陽人・土星人」タイプは伝統に従わないで、独自に物事を考えます。いずれにしてもこのような組み合わせは、成功と名声の可能性を高めます。 土星に行く枝線に星印が見られるならば、土星宮の持つ性質により素晴らしい成功を収めるでしょう。さらに第467図のように太陽宮にも星印が見られるならば、この方の成功はさらに確実です。 実用世界が支配的ならば、この方は努力によって富と名声を勝ち得ます。物質世界が支配的ならば、この方は節約家で、質素でときにはケチです。親指が硬ければ、さらにこの診断は確実なものとなります。このようなマークで手相が悪ければこの方はケチで成功します。線の終わりに×印や横棒やドットなどの欠陥が見られれば、この方は成功できずによい評判も失うでしょう。 第468図のように太陽線に姉妹線があれば、この方は偉大な成功をします。 第469図のように太陽線が「宮」に到達せずに、「宮」にたくさんの縦線が見られるならば、余りにも多様なことに努力を傾けるため究極的な成功を収めません。 太陽線からの枝線が水星宮に達していれば、水星宮の持つ特質が支援します。この方は抜け目なく、ビジネス能力に長け、科学的思考を持ち表現力も豊かです。これに太陽人の輝きもあるわけですからどちらかの分野で特別の成功を収めます。 メンタル世界が支配的ならば、この太陽人・水星人は表現力が豊かで、研究したテーマで作家、著述家、演説家として成功します。この方の指と指先が角張っているならば、常識ある実用的なテーマを選びます。円錐形や先端が尖っているならば、芸術的あるいは理想主義的なテーマを選びます。ヘラ状ならば、独創的なアイデアと表現方法を持ちますが、さらに指が滑らかならば直感力に頼ります。一方、指が節だらけならば全てを分析し、用意周到で、全てを論理的に説明します。 指の長い方ならば詳細に立ち入ります。指の短い方ならすぐにクライマックスに達して素早く結論を出します。手に柔軟性があるならば、よく働きますし、多くを成し遂げます。手がソフトならば、物事を遂行するよりも思考することが得意です。水星宮の指(小指)の第2指節が長く『宮』に縦線が走っているならば、このかたは優れた医師になれます。あるいは優れた弁護士です。太陽人と水星人の両者の能力を駆使して法廷の場でみごとな弁明をするでしょう。この方は勤勉で創意工夫に富み、科学的捜査を好みます。このような場合、全ての方に手相学的な考察をして下さい。そうすればどの立場で行動するかを言うことができます。 第470図のようなマークを持ち、小指の第3指節が最長ならば、この方はビジネスに献身し、抜け目なく、計算高く、熱心で、打ち負かすことが難しいでしょう。この方は人間というものをよく知っており、性格を容易く見抜き、優れたビジネス提案がなされると即座に理解します。 ヘラ状の指先を持っていれば独創性があり、四角張っているならば秩序ただしくシステム的です。柔軟性のある手ならば実行力があり達成力があります。親指が大きければ、力を行使するパワーを持ちます。このような組み合わせは偉大な成功と富を示唆します。 第470図のように太陽宮と水星宮の両方に星印があるならば、この方の成功は強化されます。同じところに×印、ドット、横棒などの欠陥がある場合、この方は深刻なミスを犯します。星印のマークで、小指が曲がっていたりねじられていたり、あるいはその両方なら、この方は素晴らしい才能を使って、人々にそれぞれのベストを発揮させるかもしれません。 第471図のように太陽線からの枝線が火星宮に伸びていたら、この方の太陽人の特質に火星人の純粋な気質が加わります。自負心が強く自己防衛ができ、勇気を失いません。必要に応じて世界を開拓していけます。 この方がメンタル世界に属するならば、火星人の持つ身体的な強さでメンタル的能力を強化します。実用世界に属する方なら才能をビジネス世界で発揮するでしょう。あるいは兵士になるかもしれません。兵士になると名声を得るでしょう。 太陽宮や火星宮に×印、ドット、横棒などの欠陥が見られるならば、乗り越えることが困難な試練に遭遇します。火星宮に到達する線の両側に姉妹線があるならば知名度はさらに高くなるでしょう。 第472図のように太陽線からの枝線が月宮から来るようならば、この方は想像力が豊かで、言葉で世界を描くことが上手で、表現力に優れているので、作家として大成するでしょう。この方の手が音楽好きを示すならば、クラシック音楽を好むでしょう。この方の指が滑らかで、指先が尖っていたら、霊感を与える作家で、ロマンチックな話しや詩を得意とします。この方の指が節だらけならば、散文体を好みます。詩的でない場合でも英雄の業績や民族の歴史などを歌った叙事詩を好みます。太陽線の終わりに星印があるならば、この方はこの世界で著名となるでしょう。太陽線の終わりに×印、横棒、ドットなどの欠陥がある場合、ミスを犯し評判に傷がつくことでしょう。 第473図のように、太陽線から膨らんだ金星宮に枝線がでているならば、この方はメロディー豊かな音楽を熱愛します。この傾向は、指が滑らかで指先が円錐形であったり尖っていれば、さらに強まります。演奏家ならば、表現力と感性に優れているでしょう。指が四角ならばリズムやテンポに優れています。ヘラ状ならば技術が優れています。指が四角で指先がヘラ状ならばリズムも技術も優れているでしょう。このような手がソフトであったり締まりがないならば、この方は音楽を聞くことが好きでしょうが、音楽のプロになるようなエネルギーがありません。 太陽宮に星印が見られるならば、音楽家として名を成すでしょう。この線の上あるいは終わりに、×印、横棒、ドットなどの欠陥が見られるならば、音楽人生の成功に障害物が立ちはだかります。 第474図のように、太陽線からの枝線が頭脳線と統合されているならば、この方はメンタルパワーの支援を受けることになります。頭脳線が力強く活力にあふれているならば、パワフルな頭脳が優れた判断力、自己コントロール力をもたらし、この方を成功に導きます。この枝線が頭脳線と交わるところで三角形を形作っているならば、尋常ではないメンタルパワーの存在を示します。 第475図のように、感情線からの枝線が太陽線に達しているならば、この方は優れた人柄に助けられます。暖かい心があり共感を呼び、愛情の深い性格で友人たちに好かれて、彼らはこの方の利益になるよう物質的にも協力してくれます。 第476図のように金星宮からの影響線と太陽線が繋がっていれば、親戚の方がこの方の成功を助けます。多くの場合は親戚からの遺産の相続などですが、このような助けだとは限りません。親戚の同情や助言、支援、金銭的サポートなどもあります。 第477図のように、感情線から発生する枝線が太陽線をカットしているならば、愛情がこの方の成功の障害となっています。 このように太陽線を基礎として手相を読めば、この線は素晴らしい価値のある指標となります。優れた太陽線は素晴らしい経歴を示しますが、過去においてよく誤診されましたので注意深さが必要です。 太陽線は必ずしも芸術だけに関係しているのではありません。あらゆる職業の方に見られます。そこで芸術関係だけだと思い込むと間違いを犯します。太陽線は「能力を示す線」だと思って下さい。つまりどちらかの分野で多くのことを成就できることを示しています。能力が発揮される方向は手相全体を見て判断します。 線の始まりから終わりまでを見る必要があります。線の性格の変化を読み、欠陥があるかどうかを調べ、統合されたり、切断したり、側線となるすべてのチャンス線を見ます。これらのチャンス線を見るとそれらが成功の邪魔になっているのか、助けとなるのかもわかります。これら全ての組み合わせをみてはじめて太陽線を合理的に説明できます。□ |