第25章 金星宮
愛と同情心と親切さを持つ金星人 7番目の「宮」タイプは金星人です。金星宮は親指の根元にあります。その場所に△、○、□、一本の縦線などが単独で、あるいは組み合わせて存在するなら、金星宮が強くなります。一方、横線、格子、ドットや「島」があるならば、「宮」に欠陥があることを示します(写真127)。 この「宮」は手のひらに広がっており、「宮」のなかでももっとも存在感があります。この「宮」の大きさとマークを見て、この方が金星人のどんな特質をどの程度、所有しているかが分かります。 「宮」に色が付いており、深く長い線が格子状に刻まれているなら、それは過剰な発達を示します。つまり金星人の特性が強く現れます(128図)。手の全体とバランスがとれているならば、金星人の特色はノーマルです。 「宮」が平らでたるんだ感じで全く発達していないならば(129図)、「宮」には欠陥があり、金星人の特質をまったく持たないでしょう。この二つの両極端なケースの間には多くの発達の段階があります。 金星人は会って気持ちのよい、健康的で幸福で楽しい人々です。時には道徳的に堕落するときもあるかもしれませんが、いつも感じ良く魅力的です。このタイプは慎重に扱わなくてはいけません。なぜなら、正確に推断しないと深刻な間違いをもたらすからです。 愛や性的な情熱を扱う場合と同じように、手相見には深い洞察力と高貴な心が必要です。このタイプの典型を知っているので、とかくその考えに影響されやすいのです。そうなると高貴な特質を持つ金星人の判断を誤ることになります。 前にも述べましたが、宇宙の創造の計画で、人々や家族を結びつけるためには同情や魅力を必要としました。魂の無い行動、冷たさ、利己主義を追い払うには、温かさと優しさ、愛情が必要です。このような目的を達成するために創造されたのが金星人です。 愛と同情心と親切さを持つ金星人は良い人々です。金星人は人々から愛されます。だれでも温かさを好み、冷たさを嫌います。 金星人には温かい熱があり、良質の血液も潤沢で、強い心臓が体内に血液を送り込みます。したがって金星人には健康な人が多いのです。健康な体は優れた容貌も生みます。つねにお人形さんのように可愛いとは限りませんが、新鮮で無私で温かく生命力にあふれ美しく魅惑的です。その結果、金星人は常に誘惑に悩まされます。異性に魅力を感じますし、肉体的にも情熱的です。したがって、誘惑に耐えるには、強い頭脳線(自己抑制と判断)と大きな親指(決意)が必要です。 どんなタイプであっても、その基本的資質を発揮するには健康とそれなりの性格が必要です。金星人の場合は愛を創造するために生まれています。したがって健康、温かさ、肉体的魅力が与えられています。そこでこの方が現れると、愛がインスパイヤーされます。金星人には陰気なところや、気難しいところや冷たいところがありません。もちろん男性的な人にも金星人がいますが、どちらかというと女性的な人に金星人が多いようです。なぜなら愛は、厳格な男性タイプよりも、優しいタイプの特質だからです。 男は世間と戦っています。一方、女性は愛や同情に満ちていることが多いでしょう。男よりも女性の方がより深い洗練された愛を持ちやすいようです。 男も愛しますが、女性のようなきめの細かさには到達できません。女性は神から、愛の最高の理想を達成する資質を授けられているのです。 人間の愛を最高の完成度で表現できるのは女性的な方です。女性は道徳の面でもレベルが高いでしょう。したがって魅力的な金星人は、女性のほうが、男性よりも安全です。 金星人が自然に坊主頭になることはない 金星宮の発達が女性の手に強く見られる場合、男性の放蕩癖とは異なります。男の金星宮が強い場合には二つのケースがあります。滑らかな指で、指の先端が円すい形をしており、手もソフトならば女性的な特質を持っています。一方、手が硬いならば、燃えるような熱い情熱の持ち主で、欲望を女性のように巧く抑えることが出来ません。 時には「宮」がはち切れるようで皮膚から飛び出てきそうな場合があります(写真128)。こような「宮」が滑らかならば、この方は金星人が愛するものすべてを力強く愛します。でも写真130のように同じ大きさで、格子状の線がたくさんある方ほど、特質が過剰ではありません。格子状の線があると言うことは、「宮」の上を電気が走るということであり、金星人の情熱をさらに過熱させます。 滑らかで大きくも無い「宮」を持つ方は花や音楽、造形、色、絵画などを愛しますが、性的な情熱はそれほどありません。同じ「宮」でも格子状に線が入っているならば、性的魅力が加わります。 女で、「宮」がはち切れており、格子状の線が入っていたら、異性に対する関心が極めて強いでしょう。男でも似たような「宮」ならば同じです。男でこのような手を持っていれば、金星人の女性的要素が加わるのですが、危険な存在になるとも言えます。なぜなら女性は魅力を抑制する必要を感じますが、男は感じないからです。 金星宮の上の格子状の線が非常に深く、強く、赤く刻まれていたら、この「宮」の危険性と炎が大きく高まります。 格子状の線がたくさんあり、締まりの無い皮膚で、以前ははち切れていたのではと思わせる「宮」がよく見られます。このかたの手はまるで果汁の抜けたオレンジのようです。この方は強い金星人の欲求があったのですが、活力が無くなるまで放蕩して疲れ果てたのでしょう。金星人に属する素晴らしい資質をもちながら堕落して、このようにすべてを失うのは悲しいことです。 人を堕落させるような性的渇望が人類に与えられているので結婚も発生し、人類の生存が維持されているわけです。金星人の愛と魅力はもともと高貴な目的で人類に与えられているのです。結婚への欲望が生まれ、それで子供を生む苦難にも耐えられるのです。 手相見の使命は人類をありのままに研究することです。金星人の特質も宇宙の偉大な創造物の一つです。したがってこの特質がどのような目的に使われているかを判断するのが私たちの役割です。官能の炎を満たすためだけに使われているのか、それとも本来の目的に使われているのか・・・。 金星人タイプは愛と同情、優しさと親切、美と音楽のメロディー、快活と喜び、健康と情熱を体現します。つまり魅力の頂点です。したがって多くの誘惑や危険にも出会います。 金星人の外見は魅力的で美しいでしょう。優雅でスタイルもよく、均整がとれ、気安く、男性的というよりも女性的な美を持っています。 太陽人と金星人は多くの美を備えていますが、男性の金星人の場合は、ソフトで官能的な女性的な美を備えています。 金星人の典型的なタイプは、中肉中背で、頭から足先まで優雅なカーブを描いています。皮膚は白く繊細で柔らかく、ビロードのような肌触りです。透き通るような肌でピンク色なので、十分に血液が流れており、健康であることが分かります。 顔も均整のとれた楕円形であることが多いでしょう。つまり頬骨がつきでていたり、頬がこけていたり、額が飛び出ていたり、四角い顎など、美を損なうものは見られません。笑うと、えくぼがよく見られます。額の辺りも高さがあり均整がとれており美しいでしょう。 額などに皺が少なく、若い人ならば目尻にもカラスの足跡のような皺(しわ)などありません。皺が出てくるのは、かなり年配になって炎が燃え尽きてからです。若い金星人には額に特別なマークが刻まれています。目と目の間の位置に3本の縦線が見られるのです。典型的な金星人の髪の毛は豊富で、長く、絹のようで、繊細で、ウエーブがかかっています。金星人が自然に坊主頭になることはありません。坊主頭になったらそれには不自然な理由があります。 眉毛も豊富で形がよく、優雅な曲線を描いています。輪郭ははっきりしており、端はとんがっており、鼻の上まで眉毛があることは稀です。ここまで眉毛があったら、この方は粗い傾向があるでしょう。 目も丸く楕円形で、茶色や濃紺色の目でしょう。目には優しさが溢れています。情熱的になると、目の表情が変わりますが、それは歴然としています。 明るさと楽しみと喜びを与える人々 金星人は肉体的な面で美しく、眉毛なども滑らかでカールしていることが多いでしょう。鼻の形もよく口の形も美しく、下唇の方が少し大きいでしょう。歯も白く、大きすぎず強く健康的な歯茎をしています。金星人が笑うとえくぼができ、白い歯が健康的なピンクの歯茎を見せて魅惑的です。 顎も丸く、端にえくぼがあることが多く、顔の優雅な輪郭を完成させています。首は長く、優雅な形の頭を載せており、肩は筋肉質ではありませんが健康なことを感じさせます。胸も厚く、肺も強いでしょう。声は音楽的で魅惑的です。火星人のように力強くはありませんが、しっかりした口調です。 男の金星人の場合、足の形も優雅で腰も高く丸く、下肢も十分に長いでしょう。足はそれほど大きくありません。扁平足ではなく、しっかりとアーチがあります。そこで歩く姿は優雅で柔軟性があります。 トータル的に見て金星人は洗練されており優雅で、魅力的で愛すべき人々です。彼らは利己的で単調さが支配する世界に、明るさと楽しみと喜びを与えることが出来るのです。 金星人の手は白く柔らかく緻密で、ピンク色をしており、指の長さは中ぐらいか、あるいは短いでしょう。指の先端は円すい形か、少し角張っている程度です。時には爪が小さくヘラ状の時もあります。親指の大きさは中ぐらいか小さく、大きな金星宮は滑らかで、格子の線が入っています。 金星人は本質的に情愛の深い人です。本能的に人々に関心を寄せ、仲間意識を持ち同情心が篤いので、愛を生みやすいのです。これが金星人の特性です。 金星人は人をはねつけることをしませんし、土星人のように人類から離れていたいなどと思いません。土星人は本能的に仲間を憎んでいるところがありますが、金星人は逆で人々を愛し、仲間になりたがり、親切で同情心に篤く、愛すべき人気者です。 金星人ならば、困ったり、悩んでいる人を無視することはありません。金星人の親指が硬いこともありません。親指は常に柔軟性に富み、助けを求める人には気前よく親切心を発揮します。したがって金星人の周りには悲しい思いをした人々が群がります。なぜなら心から同情してもらえ、できる限りの支援をしてもらえることが明らかだからです。 友が絶望や苦悩の中にあるとき、金星人は決して友を見捨てません。手を広げ優しい心で、助けようとします。だからこそ金星人の周りには人々が集まるのですが、彼は人類との一体感によって結ばれているようです。 ときには悪漢に騙されます。金星人の親切心・同情心につけ込むのです。それでも金星人は落胆することなく人々を助けます。金星人は移り気ではありません。プラトニックな愛情を人類に対して感じていますが、同時に真の愛を見つけたときには、その愛を貫きます。 金星人は陽気です。彼にとって生きることが喜びです。血液に胆汁は流れていません。心に悪意もありません。誰にも敵意を持っていません。健康なので良い傾向が出てきます。世界は明るく、世界の美しさは金星人に安らぎと喜びと感謝の気持ちを起こさせます。 同じ日に同じ環境にいた場合、土星人は陰鬱になりメランコリーで悲観的で悲しみに明け暮れます。ところが金星人は感謝の気持ちが一杯になり、幸せで、幸運に感謝します。 彼にとってはすべてが明るく輝いており、その明るさは周りの真剣な性格の人々にも影響を与えます。彼は常に人を助けようとするからです。だから金星人は人気があり愛されるのです。金星人のハートには良さが溢れており、愛情が豊富で、人々に与えます。 彼は遊びが好きです。ダンスや社交や男女関係などでも、すべての楽しいことを好みます。時に、彼には真剣味が足りないかもしれません。彼はビジネスでも楽しみを追及します。そこで大金持ちにはなりません。 無私の精神を持ち、美を愛す。 典型的な金星人は金持ちを高く評価しません。責任感も強いほうではありません。注意深いわけでも無く、倹約もしません。それでもなんとか生きて行けます。彼は無私の精神を持っています 。悩みがあるとそれに没頭しますが、考えることは自分のことではなくみんなのことで、行うこともみんなのことが先です。彼は賢く、輝いており、陽気で、自然発生的で、親切です。彼は深遠な学者ではなく、野心的でもなく、生活を楽しみます。彼は美を非常に愛します。衣装、家、環境、花、絵画などの芸術に魅了され、そこに調和と良い趣味と美を見いだし愛します。彼にとっては実用性よりも、美しいことが大切です。 金星人は情熱的です。その情熱的な目には、多くのハートが反応するので、彼も情熱を満たせます。金星人は無邪気です。それは情熱・熱意・愛が生まれつきのもので、それ無しには生きて行けないからでしょう。金星人は欲望に溺れるとは限りません。多くの金星人は強い欲望を抑えることが出来ます。彼らがいかに深く悩むかは、普通の人々には想像できません。 金星人は正直で真実を語ります。彼は金儲けを企みませんし、高い地位も名誉も追い求めません。その結果、ウソをついたり騙したりという発想が浮かびません。友人としても安定しており、傷つけられても不正義が行われても、その人を許し忘れることが出来ます。金星人の性格では、自分に不利になっても、相手の立場に立ってものを見ます。彼らは口論や争いを嫌います。不正義に手を染めるよりは、耐え忍びます。 金星人は、人々を喜ばすことが好きです。できる限りを行って観客を喜ばせます。でもその努力を認められたいと思っていますし、褒められると喜びます。 金星人は特に音楽を好みます。金星宮は「メロディー宮」と呼ばれるくらいです。金星人のほとんどは音楽に強い情熱があります。音楽的才能を見るには金星宮をチェックしてください。金星宮が発達しているならば、間違いなく音楽を愛しています。その何人かは才能を開花させます。 音楽的才能のある金星人の手は肌理が細かく、太陽線と水星線と頭脳線がはっきりしており、滑らかな四角い指で、円すい形か四角状かヘラ状の指先を持っています。これに月宮が発達していれば、間違いなく音楽家です。世界の偉大な音楽家の多くがこの手相です。 才能があっても、すべての方が芽を出すチャンスがあるわけではありません。したがってこういう手相をもちながら音楽家でない人がいても、驚かないでください。ちゃんと訓練を受ければ音楽家になれるのです。金星人が好むのは楽しいメロディーです。古典音楽は真剣すぎます。ストラウスのワルツ、行進曲などは好みに合い、金星人を喜ばせます。月宮はこの方に特別な音楽傾向を与えます。月宮が発達しているならば、和音、フーガ曲、対位法などを好んで使います。金星人はカラーや造形、芸術を愛しますが、太陽宮と太陽線が明瞭で、太陽の指(薬指)の第一指節が一番長く、木星宮がよく発達していない限り、単に好きなだけで終わります。金星人は明るい色、自然な風景、衣装、芸術を好みます。ただし、好きだというだけでは創造力を持っているとは限りません。他にも必要なものがあります。 金星人は文章も上手ですが、不思議なことに明るい性格にもかかわらず書くことは悲しい話が多いようです。金星人は演技も上手です。舞台の上に乗っている人には金星人が多いでしょう。面白いことに金星人の俳優は悲劇を演じるのが上手で観客を涙させますが、同時に偉大なコメディアンも金星人であることが多いのです。たとえばスミス・ラッセルがそうです。 金星人の才能が発揮されると、それが音楽でも、文学でも舞台芸術でも、人々の心を打ちます。それは金星人が誠実なので心の琴線に触れ、同情の涙を誘うのです。金星人が演ずる喜劇には、彼の性格から生ずる人生の皮肉な回り合わせが露呈されることが多いようです。 金星人が自殺することはありません 金星人は必ず結婚します。それも若いときが多いようです。彼らは早熟です。健康なので若いときから発育が良いのです。異性に対する愛と関心は彼らにとって自然なことですし、結婚を当然と考えます。そこで、必要以上に結婚を遅らせようとはしません。 彼らは強い性格の健康な人を好みます。金星人は悩んでいる人に同情しますが、愛するのは健康な人です。火星人は金星人タイプに強く魅かれます。同時に火星人の強靭さと精力は金星人を魅了します。どんな「宮」の人を選ぼうと、選ばれた方はそのタイプの中でも逞しく強い人です。 金星人は性を楽しむほうですが、花柳界やお妾さんなどには、ほとんどいません。夜の世界にも金星人がいないわけではありませんが、純粋な優れた金星人はいません。金星人タイプは子供を作ることを好みます。陽気に楽しむ金星人の家庭は明るく、暗い結婚であることはまずありません。 金星人が自殺することはありません。彼らにとって人生は輝いており、ありがたいと思うことが多く、気がめいるようなことが無いからです。すべてのタイプの中で金星人は深遠ではないかもしれませんが哲学者です。彼らにとって自己破壊は忌まわしいことなのです。 金星人は健康なので、特別な病気の問題はありません。彼らは神経質なことがよくあり、人類が襲われる疫病には他の人々と同じように影響されます。しかしこのタイプに特有の慢性病というのはありません。普通、金星人が病気になってもその印は金星宮ではなく、他の宮に現れます。 低級の金星人で悪い欲望に良い資質が負けると、性病などにかかることがあります。その場合、金星宮の上とか手の裏に、黒い斑点や茶色い模様が現れます。毒の入った血液が流れ、手のところに蓄積されるからです。 残念なことに、悪い金星人もいると述べなければなりません。このように優れたタイプでも悪人が存在するのです。彼らの場合、良い資質は痕跡としてあるだけで、低級な本能・欲望に支配されてしまいます。 金星人の悪いタイプの典型は背が低く、お腹が出ている肥満型で、優雅さや美しさは消滅しています。美しい線は残っていません。目も輝いていません。髪は赤く、鼻は上向きで目は血走っています。悪い欲望に支配されており、それが至るところに現れます。唇は厚く、赤く、肉感的です。顔の皮膚は粗く、首や体や手を観ると欲望の低級世界に属していることが分かります。 悪い金星人の手はぶ厚く、特に第三指節と手の基部、金星宮が大きく固く、赤い色をしています。指は短く滑らかで第一指節が未発達でしょう。肌のきめは粗く、赤色で柔軟性に欠けます。親指も小さく、特に第一指節が小さく先端が尖っているでしょう。 この方の趣味は低級で食欲も無節制です。人生を荒々しく楽しみますが、低級な欲求と楽しみに支配されています。彼らは意志も弱く性格も悪いので洗練された楽しみと低級な楽しみの区別ができません。そこで堕落し、いかに人々を傷つけているかに気がつきません。つまり破廉恥な悪人です。趣味が下品で、わいせつな出版物や卑猥な会話に喜びを覚えます。 かれらは野獣的です。野獣的な欲望の満たし方しかしません。悪い金星人は邪悪で、良心に欠け、放蕩者で、まじめな人には耐えられない存在です。 このような者たちと高貴な金星人の間には、多様な段階の金星人が存在します。そこで手の細部をくまなく検討して、どのような金星人であるかを、あなたが判断しなければなりません。優れた金星人を官能的だからといって、低俗だと見なさないでください。また粗悪な金星人を高く評価したりしないでください。手を注意深く観察して賢く判断してください。 悪魔は怠け者の手を使っていたずらをする 皮膚の肌理を見るとその方がどの程度洗練されているかが分かります。肌理が細かいならば、その方のタイプのレベルが上がります。肌理が粗いと下がります。したがって、肌理が細かければタイプの良い面が出て来ます。優しさや同情心が高まり、官能主義が減るのです。美しい姿や色を喜びますが、悪の考えに支配されることはありません。 大きな「宮」あるいは大きすぎる「宮」で全体が格子状の線が入っていても、肌理が細かいならば、この方の情熱は洗練されており、愛も理想主義的で純粋です。このかたはセックスに強く魅かれますが、魅了されるのは本人と同程度に洗練された方にです。この方はすべてが洗練された方法で行われないと楽しくないのです。 肌のきめの粗い方は、性格も粗いことを示しています。行動は肌理の細かい方と正反対です。金星宮が大きくて格子の線がたくさん入っている場合は、セックスの対象に相手を選びません。心とか道義とかの洗練を問わず、皮膚の色も問わず、ただ肉体的な喜びのみを追及します。肌のきめの粗い金星人は利己的だといえるでしょう。他の方の意向を気にせずに快楽に浸るからです。特に親指が非常に硬い場合は自己中心的です。 手の密度はその方がどのくらいのエネルギーを持っているかを示します。たるんでいるならば、快楽追及者で、価値ある仕事とか人生を有意義にするなどということでは、この方は動きません。この方は快楽を求めますが、ものぐさなので、それもどちらかというと受け身でしょう。 ソフトな手を持つ方は、たるんでいる手を持つ方よりは、人生で役に立ちます。やはり怠け者ですが、働くことも出来ます。 柔軟性のある手は優れた特質です。金星人にはふさわしい手で、知的なエネルギーが金星人の特質の良い面を引き出します。相変わらず魅力的で愛すべき存在で、同情心に溢れていますが、実際的で現実的になり、官能的なところが減ります。たるんだ手は快楽を求める思考で時間を潰しますが、柔軟性のある手は、持ち主を行動に駆り立てるので、低俗な面がでてきません。 「悪魔は怠け者の手を使っていたずらをする」と言いますが、それはたるんだ手を持つ金星人に当てはまります。柔軟性のある手を持つ金星人は、幸せで明るく健康です。人生は満たされており、低俗な欲求に支配されてはいないでしょう。 固い手は金星人の特質が、賢くないエネルギーで動かされていることを示します。その結果、この方は平凡で洗練されておらず、無知にもかかわらず熱烈な面があります。強い欲求がありますが、それを愚鈍な方法で満たそうとします。このようなタイプは、子だくさんの貧しい家庭の親によく見られます。この方の愛情、同情、親切は欲望に隷属しています。 柔軟性のある手は伸縮性のある心の存在を示します。非常に知性が高く、緊迫感を持った方で才能豊かです。しかし極端に走る傾向があり、多様性があり、褒められることや快楽をこのみます。したがって柔軟性のある手を持つ金星人は優れたバランスを保つことが大事です。彼らは魅力的で多くの崇拝者をもち、誘惑も多くあります。この方に必要なのは深く明瞭な頭脳線と優れた親指です。これらが存在すれば人生を無駄にすることも無いでしょう。 通常、伸縮性のある柔軟な手を持つ方は、バランスもとれており、自己コントロールも出来て、抑制する心も持っています。金星人特有の習性も強いのですが、流されることは少ないのです。したがって快楽を追い求めることはありません。彼らは人生の戦いにおいて多くの勝利を収めますが、それは彼らが魅力的だからです。 まず「宮」が官能的か、過剰か、滑らかで平凡なのかを見ましょう。その背後に通常の伸縮性があるかどうかを見て、判断を下します。硬い手は硬い心を示します。つまり性格に柔軟性がありません。この方は官能に溺れやすく、低俗な考えや趣向にはまりやすいでしょう。この方は同情心や寛容に欠け、音楽も好きではありませんし、自然の美や花の美しさにも感動しません。柔軟性のある手を持つ方とは正反対です。この方の望みは低級ですし、すべての面で粗野であり、ケチで利己的でしょう。この方には金星人の良いところが見られません。低級な面と狭い視野が観られるだけです。 ピンク色ならば金星人としては正常 手の色は重要です。ピンク色ならば金星人としては正常です。他の色ならば健康に異常があることを示しており、それによる影響が現れます。色白は血流が十分に強くないことを示します。その結果、金星人の温かみが損なわれ、冷たさが加わります。色が白いと金星人の温かさや魅力が損なわれますが、無くなることはありません。この方は同情心や熱情が薄くなるでしょう。美に対する愛情も存在しますが、情熱のレベルが落ちるのです。したがって色白の金星人は、宮」が強く格子状の線があっても異性から見ると魅力が落ちますが、このタイプに見られる愚かさは減ることになります。 ピンク色ならば正常です。血液の流れも健全で、明るい人生、陽気、快活さなど、金星人の良い面が発揮されます。この方は色から見て完璧で、洗練されており金星人の良い面がでます。魅力的で愛される存在で優しいでしょう。低俗な官能主義は持っていません。この方は親切心・同情心に溢れており、愛情と優しさで道を切り開いていきます。 赤色は過剰を意味します。深い赤色ならば、既に燃えやすい人物に油を注いだことになります。そこで異性にすぐ興奮し、強く魅かれます。燃えるような情熱と熱意があり、犯罪性はありませんが危険とは言えます。なぜなら結果を考えずに性的魅惑に圧倒されてしまうからです。 「宮」がフルに発達しており、深い格子状の線が刻まれ、深い赤色ならば要注意です。さらに指の第三指節が太く手のひらの下部がよく発達していたら、過剰も極端で、欲望を遂げるために何でもします。妻や夫や恋人に加えられる犯罪の80%のケースで、このような金星人の特質が存在する手が見られます。嫉妬などで発作的に激情に駆られ、罪を犯してしまうのです。 黄色い手を金星人に見ることはまずありません。金星人が胆汁性になることは無いので、黄色い手は極めて異常です。胆汁によって血液が毒されると金星人の良い特質はすべて失われ、気難しい嫌な人になります。気を張りつめているタイプの人なら、胆汁症による苛立ちは神経を高ぶらせ、同情心や魅力などはこの人物から失われて、かんしゃく持ちになります。性的な魅力も失われます。性的な魅力が破壊されるといっても良いでしょう。胆汁症は神経を高ぶらせ、不能にします。青い手はよく見られます。金星人には心臓病が多いからです。手のひらや爪が青いときは、体に問題があると見てください。 爪も慎重に検討してください。幅が広くピンク色で肌理が細かければ、一般的に健康で性格明朗で正直な性格でしょう。彼らの爪に白い点があるなら、極めて神経質であることを示します。 もっと幅が狭い爪ならば壮健さは劣るでしょう。そこで色と肌理をよく見ます。このかたの通常の資質に変化があれば、爪の色も変化しています。爪が非常に細く薄いならば、極めてデリケートな性格です。この方の壮健さも減ります。クリティカルな爪はあまり見られません。金星人はイージーゴーイングで苦労よりも娯楽を求めるからです。クリティカルな爪を持っていたら、この金星人はすべてに批判的で喧嘩好きでしょう。 フルート状の爪は神経質で苦労性なことを示します。フルート状が際立っているなら、この方は興奮しやすく突飛なことをするでしょう。特に手に柔軟性があり、指が長く滑らかで、指の先端が尖っていたら、この性質が現れます。 裂けやすい爪ならば、神経に問題があるかもしれません。このような神経質な爪は、金星人の魅力に影を落とします。 球根のような爪ならば、咽や気管支あるいは肺に問題があります。肺病質の金星人は性欲が強くなることに、注意をしてください。とくに肺病が第二段階になるとこの傾向が強まるようです。 成功するには他のタイプの特質が必要 手は全体で三つの世界を表現しています。金星人の場合、火星人ほどではありませんが、この傾向に影響されます。 指が長く、特に第一指節が長い場合、メンタルな世界がこの方を支配します。愛は理想主義的で、同情心は篤く、知的な寛大さがあります。この方は音楽、詩、恋愛を好みますが、世俗的ではなく高邁(こうまい)です。 手の真ん中部分と指の第二指節が強く発達していれば、この方の実用的な考え方が強まり、理想主義が弱くなります。人類との同族意識は強く、親指に柔軟性があれば、同情心も旺盛です。この方は、温かく愛しますが優れたバランス感覚を持っています。上の世界の理想主義にも下界の官能主義にも流されません。彼らは強烈な金星人の特質をもちますが、コントロールできます。 一方、手のひらの下部が膨らんで大きく、上部よりも強く発達している方は、低俗な世界の欲求に支配されます。強烈な激情が彼を炎上させ、すべての人々を自分の欲求を満足させるのにどのくらい役に立つか、という視点から考えます。純粋な理想主義的な愛は存在しません。人々とのつながりは肉体的欲求から生まれます。手の下部の発達が異常に大きく、第三指節が厚く、第一指節が短く、金星宮が赤く、深い格子状の線が入っており、親指が貧弱ならば、この方は欲望を満足させるために殺人すら犯すかもしれません。強姦者には、よくこのような手の特徴が見られます。 指と他の「宮」についても調べてください。どのタイプが二番目に支配的かを見るのです。さらにそれらのタイプのどの面が強いかも判断します。金星人に木星人の野心が無く、土星人の知恵と冷静さが無く、水星人の鋭さが備わっていなければ世俗的なビジネス世界などでは成功できません。 愛すべき存在で魅力的な金星人にも、成功するには他のタイプの特質が必要です。二番目や三番目のタイプがなんであれ、それらは金星人の特質を助ける駆動力です。 太陽人だと、金星人と似たような特質をたくさん持ちすぎているかもしれません。そこであまり良い組み合わせとは言えないでしょう。土星人もタイプとしてはあまり良い組み合わせではありません。想像力が逞しくなりすぎると激情に油が注がれますが、怠惰になるかもしれません。金星人を完成させるには木星人、土星人、水星人、火星人の特質の一部が必要です。 指の先端も大事です。先端が尖っていれば理想主義的傾向があります。夢を見る傾向もあるので実際的ではなくなりますが、愛すべき方で魅力的です。彼らは温室育ちで、愛したり遊んだりには適性がありますが、過酷な現実世界での苦難に対しては不向きです。円すい形の先端ならば芸術的センスがあります。 四角い先端ならば、実際的な性格で、習慣も常識的で、服装もきちんとしており、物事のやり方が整然としています。繊細な四角状の先端はよく見られますが、幅の広い真四角な先端は稀です。 ヘラ状の先端は、持ち主にエネルギーと炎と独創性を与えます。この方はいつでも準備ができており、防衛体制も固いでしょう。考えていることもスピーチなども、常にその場に適合しています。 ヘラ状の先端は金星人にとっては良い組み合わせです。なぜならヘラ状の方に、同情心や愛が生まれ人間的になるからです。この組み合わせの方々は、馬・犬などすべてのペットが大好きでしょう。彼らは安定した感情で人々を愛し、独創的なアイデアをもち、ゲームを好み、技術があり、優雅で魅力的です。彼らは子供たちを情熱的に愛し、誰に対しても優しく穏やかです。 金星人は細かい詳細を好まない 指がこぶだらけならば、この方の衝動的な性向が大きく減じられます。こぶだらけの指は、金星人の場合それほど多くありませんが、存在しますので、考慮に入れてください。 最初の指節にこぶがあるだけなら、その方の考え方は知的でシステム的で、軽薄ではありません。第二指節にこぶがあるなら、生活面できちんとしていることを好む方で、服装などにも注意深いでしょう。第一と第二の指節にコブがある場合は、分析的ですが、金星人は熱意と衝動に支配されているので、あまりこのようなコブは見ることがないでしょう。 滑らかな指ならば普通です。芸術的アイデア、衝動的な行動、偶発的な思考と行動などは金星人の特質ですが、滑らかな指で強化されます。この場合、第二指節のコブがある程度発達していても、滑らかな指と見なしてください。この方は洒落た服装を好み、いつも格好良く、常に整然としています。 長い指の金星人には、まずお目にかからないでしょう。金星人は細かい詳細を好まないからです。金星人は娯楽を好みますが誰か他の人が計画して組織することを望みます。金星人はすべて用意が整ったところで娯楽を楽しみたいのです。彼はその準備を褒め称え、すべての準備を整えた人は、たぶん指の長い方ですが、「なんていい人なんだろう。すごく感謝された」と喜びます。したがって金星人はわずかな感謝の言葉で、数時間の労働の代償とすることができます。一方、人々は彼のためにもっと働こうと思います。 金星人には、指の長い人が持つ詳細へのこだわり、猜疑心、敏感性に欠けます。長い指を持つ金星人がいたら、長い指の特質を加えますが、あくまでも特殊だと考えてください。 指の短い人は思考が敏速で行動も衝動的であり金星人の典型です。指が短すぎないかどうかを観てください。これ以上、衝動的になるのは好ましくないからです。金星人は性格的に詳細を好みませんが、それに短い指が加わると、衝動性に敏速な思考と行動が強化されます。したがって短い指の人に出会ったら、指の短い人の敏捷性と金星人の注意力散漫を考慮に入れてください。 この場合、親指が重要になってきます。もしも小さい、あるいは尖った先端を持つなら、この方の性格は弱く、優柔不断です。欲望に支配されて、それが実現しますが、誰かに簡単に引き回されます。金星人は快楽を好む傾向があるので、影響力を行使する人に影響されてしまうのです。本来の怠け者の性格が助長され、決断力も乏しいでしょう。 さらに親指の二つの指節を比べてみてください。意思と論理・理性のどちらが強いでしょうか? 意志(第一指節)の方が強ければ、このかたは優れた判断なしに決断をしてしまいます。発作的に決断しやすいのです。意思の指節の先端が尖っていたら、感受性が強くなり意思の強さは減じられます。先端が四角ならば、意志が強く常識があり実際的です。先端がヘラ状ならば、意思が本質的に非常に強くなりますが、第二指節(論理・理性)と優れた頭脳線に支えられていなければ、その意思が発揮されることはないでしょう。 棍棒状の親指は金星人の場合、ほとんど見られません。見られたら異常と考えてください。良い金星人には苛烈なところや血に飢えた殺人者のようなところは皆無です。金星人が殺人を犯すようなことがあるとしたら、嫉妬で激情に駆られたときでしょうが、それは質の落ちる金星人の場合です。洗練された高級な金星人は決して殺人などをしません。あまりにも優しく同情心に溢れているからです。 低級な金星人の場合、第二の「宮」タイプが強いのです。この第二のタイプが金星宮と同じくらい強く、この第二の「宮」のせいで殺人を犯すような神経と野蛮さが発揮されるのです。つまり金星宮が情熱と嫉妬を供給し、第二の宮が殺人の本能を供給するのです。 洗練された金星人の親指が棍棒状ならば、彼の粗暴な傾向は遺伝であることが分かります。それは何世代も前から受け継がれたもので、普通はでてこない性向です。 意思を示す親指の第一指節がパドル状ならば、金星人にとっては良い傾向です。なぜならこの太陽人は強烈なので、あらゆる抑制が必要だからです。強くてバランスのとれた意思の力は、抑制にもっとも役立つでしょう。 第二指節は長くてバランスがとれている必要があります。この方には優れた理性と判断力が必要だからです。もしも第二指節の発達が不十分ならば、感情や衝動や欲望の餌食になりやすいでしょう。この場合、強い意思が存在しても抑制する優れたセンスと判断力に欠けるのです。このようなケースでは意思が主導権を握っており、優れた判断力の支援を得ていません。 第二指節のベストの形は、胴のような形です。これならば洗練された美的感覚を備えています。したがって無愛想な相手にも怒りません。金星人の場合、大きな親指が優れた判断と決断力を与え、強烈な欲望を抑制していることがお分かりでしょう。 親指の章では、親指が意思と理性と愛を示していると述べました。この三つは宇宙の偉大な徳の力です。したがって完璧な金星人は、これの要素を兼ね備えています。頭脳線も明瞭で深く、色もよく断線がない筈です。このようならば金星人は自己抑制が出来、明瞭な判断力で落とし穴を避けることが出来ます。このような優れた頭脳線は、優れた親指のよい相棒です。 七つの人間のタイプのうち、世界を愛と魅力と美と健康で明るくして、悲しみがあれば同情し苦しみを柔らげるのは金星人です。金星人は完璧な人からははるかに遠いかもしれませんが、彼の優れた性質があまりにも目立つので、人々は欠点を忘れてしまいます。□ |