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タクシン元首相の赤シャツ派は
亡命政権を作る タイ王国の首都バンコクは黄シャツ派(既得権益層=王室派)のデモ隊によって封鎖されている。今回のデモ隊の特色は、主体となるのが大学教授・学生などのインテリ層と都会の富裕層であることだ。 デモ隊の狙いは政府機能をマヒさせてタクシン派グループをタイ王国から追放することにある。富裕層の彼らはなるべく経済活動に悪影響を与えたくないと考えている。 一方、民主的な選挙で選ばれて政権を握る赤シャツ派(タクシン派新興富裕層・反王室派)は、貧富の格差是正・貧農救済などの大義名分を掲げている。 タイ王国には青シャツ派もいるが、彼らは基本的には黄シャツ派だ。官僚など、表立って黄シャツ派だといえない人々が青シャツ派を表明している。 黄シャツ派と赤シャツ派の根本的対立は、富の帰すうにある。タイ王国では首都バンコクが地方の農村地帯を植民地化して富を収奪するという構図が長くつづいていた。 この構図を見事に利用してタクシン元首相は、政権を獲得した。つまり貧しい農民たちにお金をばらまき、民主的選挙で票を得て圧倒的に勝利したのだ。 赤シャツ派が握っている政府に税金を払っているのは主に都会の富裕層・黄シャツ派だ。その税金が農民・貧民達に垂れ流しにされているだけでなく、タクシン派の新興富裕層に流れている。これでは既得権益層である黄シャツ派の没落は明白だ。そこで今回の騒動となっている。 黄シャツ派の希望は軍事クーデターであり、民主主義によらない既得権益層=王室派政権の樹立だ。王室も軍事クーデターに賛成だ。 だがことは簡単ではない。軍部が介入するには、死者がでる市街戦など、大混乱が必要だ。欧米は民主的に選ばれた政権の支持を明らかにしている。さらにタクシン元首相は、軍事クーデターによって正当な政権が打倒されたら、亡命政権をつくって、国際世論に訴える意向を持っている。 タイ王室が世界一の金持ちであることは、いまや都会の貧民層でも知っている。尊敬されているプミポン国王の威信も昔ほどではない。 現在のチャクリー王朝はプミポン国王で九代目になるが、創立されたときから、当時の高僧により九代で終わると予言されてきた。予言が実現するのでは・・・と多くのタイ国民が秘かに語る。 黄シャツ派と赤シャツ派の妥協点はまったく見当たらない。はっきりしているのはタイ王国の騒乱が長引くことだけである□ |