世界第一の遠隔透視者ジョー・マクモニーグルが、福島原発を透視
Fukushima & Joe McMoneagle
By Shun Daichi 大地舜
核燃料はマグマとなり、コンクリートの床を破り地下に達している!
2011年3月11日の大地震と大津浪から3ヶ月たった6月、放射能の黒い雨が降る東京を後にして、米国の東海岸バージニア州にあるモンロー研究所に出かけた。モンロー研究所は山岳地帯にある。空は抜けるように蒼く、まるで別世界だ。
米国訪問の狙いは二つあった。一つはモンロー研究所で一週間の瞑想生活を送ること。もう一つは世界第一の遠隔透視者ジョー・マクモニーグルさんに「遠隔透視」のお願いをすることだった。
ランチの約束のあった朝、ジョーさんは突然病院に運ばれ足の手術をした。古傷が悪化したのだ。これはある意味で好都合だった。ナンシー夫人と二人だけで会うことになり、ジョーさんに内密で「遠隔透視」の依頼をすることが出来たからだ。
「遠隔透視」をお願いするに当たっては、すべての情報を伏せなければならない。ジョーさんのような遠隔透視者が能力を発揮するには、まったく推測などが不可能な状態に置かれる必要がある。そのことはスタンフォード研究所の30年にわたる厳密な科学的研究で明らかにされている。
そこで福島第一原発の2~4号機が撮影されている写真の3号機の上に矢印をつけ「ここ」と日本語で書いた。その写真を封筒に密封したものをナンシー夫人に手渡した。ナンシー夫人にも「遠隔透視をお願いしてください」と言っただけだ。
ナンシー夫人によるとジョーさんはセミリタイヤーで、友人以外からの「透視依頼」はすべて断っているという。良かった!・・・私は彼の友人の一人なのだ。
3日後にジョーさんと昼食をとった。ロシアの宇宙科学者たちがジョーさんを訪ねてきており、忙しい日だったが、近所のイタリア料理店に行って、面白い話をいっぱい聞きかせてくれた。ロシアは宇宙のどこかに巨大な望遠鏡を設置するらしい。
ジョーさんは自宅の庭に菜園を作っている。ジョーさんのように直観力が優れている人が、庭に菜園を作るとは・・・何か意味があるに違いない・・・とやはり思ってしまう。最近の地球の気象は異常だ。ジョーさんは天変地異に備えているのだろうか?
ジョーさんは優れた大工でもあり、彫刻家でもあり、訪問したときには大型トラックの中古エンジンを新品に作り直していた。
東京に帰って2週間後にジョーさんから透視の結果が送られてきた。ターゲット番号61311だ。ジョーさんはこの番号を見るだけで直観力を働かして、遠隔透視をする。遠隔透視と作図に9時間をかけている。
ナンシー夫人によると、ジョーさんにターゲットの映像が現れるのは突然だという。たとえば庭仕事をしているときに、突然、ターゲットの映像が思い浮かぶという。
ジョーさんの意見では「遠隔透視能力は誰でも持っている。古い脳である脳幹にその能力がある」と言う。脳幹と同じように古い脳である「中脳」は「盲視」の力を持っている。盲視は目を失っても、周りで起こっていることを正確に知覚できる能力だ。これはすべての人が持つ能力であると最新脳科学は言う(『つぎだらけの脳と心』デイビッド・リンデン著)。同じように「遠隔透視」の能力も誰でも持っている。だが、私たちとジョーさんでは余りにもレベルが違う。
さて透視の結果だがジョーさんは以下のように述べる。このページの下に掲載した、第1図〜第4図を見て欲しい。
- 原子炉の内部は壊れた柱、梁、配管、などで満杯だ。冷却装置のための配管がたくさんあるが、とても絵には描けないほど複雑。4つの配管設備があるが3つは完全に破壊されており、1つだけ60%の効率で稼働している。
- 配管には化学物質で満たされた水で満たされているが、この化学物質で配管が腐食している。この液体を外に出そうとしている配管も化学物質で損傷を受けている。これらの配管システムを動かす発動機は完全に壊れており二度と使えない。
- 原子炉の内部には大爆発が起こった形跡があり、腐食物質が飛び散っている。この腐食物と放射性物質は人間にとって極めて危険だ。
- Figure 1は圧力容器だが(詳細は第2図)、上にある蓋を開けることは出来ない(第2図a)。蓋の下にはシステムの中央部まで達する棒があり、底部から差し込まれる棒と連携して、何らかのコントロールをしている(第2図b)。
- 圧力容器の中央部は破片の山で高熱でとかされた金属と合体(溶融スラグ)しており極端に有害な存在になっている。(第2図c)
- この溶融スラグは装甲版の2重の壁を突き抜けて外に漏れている。溶融スラグは一部が固く、別のところは流動体だ。1部は海水やほかの化学物質とも混じっている。場所は圧力容器の東北方向だ。(第2図d&
- 第3図に示したのは円環状の冷却システムの東北方向だ。この冷却システムの内部には独特な小さなチューブがあり、その中を冷たい水が流れる構造になっている。だが、東北方向のチューブはすでに爆発で破片となり、メルトダウンした物質はここにも存在する。
- 第4図は建屋内部の隅だ。大きく損傷された環状冷却システムのすぐそばであり、メルトダウンが起こっている場所だ。
- ここの壁は高熱によって激しく損傷されている。壁と床の境目は長期にわたって超高温で加熱され、コンクリートがぼろぼろになり、水気が無くなり、剥離されて割れている。さらに壁の割れ目はどんどん広がっている。
- 原子炉を冷却する為に使われた水は大量の蒸気を発生させ、壁や床を損傷させたが、この水のほとんどは海水だ。海水は純水よりもコンクリートを激しく腐食させる。
- 放射性物質の溶融スラグが床に漏れ出して東北方向の壁の隅に溜まっているが、原子力発電所を解体してこの場所を安全にするには、炉心と壁際にある溶融スラグを撤去しなければならない。
- 透視の結果を言うと、これは原子力発電所の壊滅的な災害だ。
「一億総被爆」「補償うやむや」路線
以上がジョー・マクモニーグルさんの透視による原子炉内部だ。
これは2号機の内部ではないかと、一瞬いぶかった。なぜなら2号機の円環状の冷却装置サブレッション・チェンバーが破壊されていることはすでに東電から発表されているからだ。だがいろいろ考えると、やはりこの透視は3号機の内部のようだ。
東電や原子力安全保安院の出す数字は当てにならないが、2011年7月末の時点でも炉心に熱があるのは3号機だけだ。つまり炉心に溶融スラグがまだ一部残っているからに違いない。さらに「3号機だけはまだ水素爆発の可能性も残っています」と専門家も言う(館野淳。核・エネルギー問題情報センター。8月14日)
ジョー・マクモニーグルによる遠隔透視の結果をどう捕えるべきだろう? 信じないという人もいるだろう。科学者の多くは「遠隔透視は科学では認められていない」と無視するだろう。だが現在、2号機や3号機の原子炉建屋の内部に入れる人はいない。メルトスルーの状態などまったく見ることが出来ない。だがジョーさんの遠隔透視能力なら、メルトスルーの現場を観察することが出来る可能性がある。そう思い、遠隔透視を依頼した。
ジョーさんの透視がどの程度正確なのかは、20年~30年後にははっきりする。20年も経てば原子炉建屋の内部に入ることも出来る可能性がある。そうなると遠隔透視の有用性がはっきりするので大いに楽しみだ。
ジョーさんの透視結果は、現在、いろいろ専門家が予想している状態の中でも最悪の事態だ。つまり格納容器の底も抜けて、地下にまで溶融スラグが漏れ出している。多くの専門家たちは1~3号機がメルトダウンしたという東電の発表を聞いたときから、メルトスルーは時間の問題だと考えている。その最悪の予想をジョーさんが確認したことになる。これは人類が初めて経験する最悪の事態であり、対処方法は誰にも分からない。
応急処置としては、岩盤まで届く巨大な壁で第一原発全体を取り囲み、地下水の流れを封鎖し、汚染された地下水が海に流れ出ないようにすることが有効のようだ。だが、原子炉や燃料プールの冷却を続けなくてはならないので、汚染水の増加はつづく。
したがってジョーさんの透視が無くても、日本の専門家の意見を聞いているだけでも2011年4月18日に策定された「原発事故収束へむけた東電の工程表」は、すでに絵に描いた餅である。だが、新聞も東電も政府もこの工程表が無意味になったことを公表していない。むしろ「すべて順調」というのが読売新聞などの論調だ。
さらに政府は計画的避難区域に戻れるかのような幻想を人々に与え続けている。食料の汚染についても基準値をウクライナよりも高く設定している。食品汚染調査も進んでいない。国民は何を食べたらよいのか全くわからない。
東電も原子力安全保安院も政府も、福島第一原発事故による災害を過小評価して、隠蔽工作ばかりに熱心だ。情報の透明性などまったく見られない。それには理由がある。原発の災害をまともに補償していたら、国家予算の2年分をつぎ込んでも収拾できないと、1950年代に米国の原子力委員会が計算しているのだ(『原発のウソ』104p。小出裕章著)。政府首脳は「日本の根幹が揺らぐ」として、「一億総被爆」「補償うやむや」路線を突き進んでいる。その結果、犠牲になるのはこどもや妊婦を始めとする弱者だ。
海外からの東電や原子力安全保安院、日本政府に対する批判も厳しくなっている。正確な情報をださないからだ。現在、真実の情報を得たければ外国の原子力専門家や、日本国内の「熊取六人衆」のような「原子力利用に伴うリスクを明らかにする研究」を40年にわたって行ってきた専門家たちに頼るほかない。以下に、いくつかの重要な点について、彼らと東電・保安院・日本政府の見解とを比べてみよう。
3号機の爆発は核爆発?
まず問題になるのは3月14日11時4分に起きた3号機の爆発だ。この日、私は日本に居なかった。アジア諸国を旅していたのだ。3月23日に帰国してから、3号機の巨大な爆発の黒い煙の映像を見てがく然とした。これは一体なんだ?
そんなときに米国GE社元設計士・菊地洋一さんに会った。菊地さんは福島第一原発の基本設計を担当し、現場の監査も行っている。菊地さんは「福島の原発事故の原因は地震です。配管の溶接部分がずいぶん壊れたはずです。津波のせいにするのはごまかしです」という。
さらに3号機の爆発に関しては「これは水素爆発では説明がつきません。水素爆発では鉄骨がこんなにぐにゃぐにゃになるわけがありませんよ。4号機は水素爆発を起しても、鉄骨はみんな残っていますよね。写真をよく見てください」という。
米国の原子力の専門家アーノルド・ガンダーセン博士は次のように言う。
「水素爆発の衝撃波で3号機燃料プールの燃料棒が一ヶ所に集められ、瞬間的に再臨界を起したのでしょう。そうでなければこの巨大な爆発は説明できません。(4月26日:http://www.youtube.com/watch?v=LPiyVSdQnRE&feature=related)米国原子力規制委員会の報告によると、福島第一原発から2キロ離れた場所で、燃料棒がいくつか発見されています。ここまで燃料棒を吹き飛ばす力は水素爆発にはありません。音速を超える爆発であるデトネーション(爆鳴)が起こっています。つまり即発緩和臨界が起こったのです。即発臨界は米国の原子力発電所でも起したことがあります。(5月13日:http://www.youtube.com/watch?v=YA3xDz0ZfZo&feature=relmfu)」 欧州放射線リスク委員会のクリストファー・バズビー教授も「福島第一原発で何らかの核爆発があったことは間違いないでしょう。世界中でホットパーティクル(高放射線粒子)が観測されていますから。私が住む英国にも飛んできています」という。(5月17日:http://www.youtube.com/watch?v=3UiGJys6HVE)
三号機の爆発が水素爆発でないことは、だれの目にも明らかではないだろうか? 群馬県高崎市にあるCTBT放射線核種観測所の3月15日の観測数字を見ると、日本で核爆発があったことが明らかなのだという(http://www.cpdnp.jp/pdf/110324_Takasaki_report_Mar19.pdf)。この記録を見ると3月15日17時55分から16日18時4分の間に放射性希ガス(キセノン)の濃度を測定しているが、2~3日にわたり測定範囲外となっている。つまりあまりにも大量の高放射線粒子(ホットパーティクル)が飛び散り計器の測定能力を超えてしまっている。
2011年5月9日に大手町の日本外国特派員協会で細野首相補佐官(当時)と原子力安全保安院の西山審議官(当時)が記者会見を行ったので私も出席した。
日本に駐在している外国人記者たちは経済記者が多い。つまり日本は世界の経済大国だから、日本経済の動向を取材に来ている人々がほとんどだ。私も元経済記者だが、経済関係の記者というのは基本的に体制派であり、保守派だ。会話をしても話題が豊富な外国特派員は余り日本には来ていない。この日の記者会見でも質問は経済関係ばかりで刺激的でない。そこで私は3号機の爆発に関する質問をした。
Q:「外国の原子力専門家は3号機の爆発は小さな核爆発だと言っています。黄色い閃光と黒い煙が高く上りましたが、他の水素爆発とは明らかに異なります。保安院の見解はいかがですか?」
審議官:「調査中ですが、原因はまだ分かっていません」
Q:「高崎のCTBT放射線核種観測所の記録でも日本で核爆発があったことが明らかなようですが?」
審議官:「そのことは知りませんでした」
細野補佐官「政府は隠蔽しませんので、ご安心下さい」
日本人は賢いが、情報の透明化が必要
東電や政府の言うことを国民が信じなくなって久しいが、半年以上も日が経つと、だんだん放射能に対する危機感も麻痺していくようだ。飯館村の菅野村長は著書の中で「2年で村に戻る」と宣言しているそうだけれども、これも政府が正確な情報を出していないせいではないだろうか? チェリノブイリの強制避難地域よりもひどく汚染されている飯館村を除染するのは、ほぼ不可能なはずだ。住めるとしても老人だけだろう。
7月27日に東京大学先端科学技術研究センター教授の児玉龍彦教授が衆議院構成労働委員会において国の原発対応に満身の怒りを込めて抗議したことを、ご存知の方も多いだろう。(http://vimeo.com/27019683)。
この参考人説明の冒頭で「福島原発から吐き出された熱量からみると広島原子爆弾の29・6個分になります。これを政府は公表していません」と児玉さんは糾弾したが、これには驚いた。広島原子爆弾30個が投下されたのと同じ熱量が爆発と共に飛び出ていたのだ。しかも児玉教授によると、原発による地上に残された放射能の半減期は爆弾よりも遥かに長いという。
ところが、これで驚いてはいられなかった。京都大学原子炉実験所の小出裕章助教によると、広島原子爆弾の100倍から300倍の放射能がすでに放出されているという。(http://hiroakikoide.wordpress.com/)
8月26日に原子力安全・保安院も小出助教の数字を追認している。保安院の計算では「1~3号機から大気中に放出されたセシウム137の量は、広島に投下された原爆の約168個分」だという。これには汚染水に含まれる放射線物質は含まれていない。
福島1~4号機には広島型原子爆弾4000発の熱量があるというから、日本列島の汚染はまだ始まったばかりだと考える他ないだろう。(http://www.facebook.com/hiroaki.koide.info)
3号機の大爆発で世界中にホットパーティクルが飛び散っている。ホットパーティクルというのはセシウム、ストロンチウム、プルトニウム、ウラン、コバルトなどの微粒子を意味している。
2011年の4月、東京に住む人は毎日10個のホットパーティクルを吸い込んだ計算になるとガンダーセン博士は言う。福島に住む人はその 40倍というから毎日400個だ(http://www.youtube.com/watch?v=7y-t5_jW7ag)。米国西海岸のシアトルでも人々は毎日5つのホットパーティクルを吸い込んでいたという。まさに世界中が日本発の放射能で汚染されているのだ。もっともホットパーティクルを呑み込んだからすぐにガンになるわけではない。人体は優れた修復能力を持つ。だが、内部被爆による悪影響があることはもちろんだ。
ジョー・マクモニーグル氏の遠隔透視は、多くの専門家の危惧を具体的な姿で示している。コンクリートの壁にも穴が開き、溶融スラグが建屋の外まで流れ出ている。
つまり人類初体験の「チャイナシンドローム」の事態にまで進んでおり、政府がいかに隠蔽しようと世界中から指摘されることになるだろう。海への汚染はこれからが本番だ。日本政府は子どもたちの被爆限度を引き上げるなどして「一億総被爆」路線を突き進んでいる。そうすれば福島近辺の被爆が少なく見えるからだ。
日本の根幹はすでに揺らいでいる。これは66年ぶりの日本の敗戦だと見て良いだろう。「補償うやむや」「一億総被爆」路線は間違いではないか。日本は原発事故で斜陽国家となった。日本の政府は情報を透明化して真実を国民に告げるべきではないだろうか。66年前の敗戦時と同様、どん底という現実に直面すれば、賢い日本人は驚異的な能力を発揮する。だが正確な情報がなければ、いくら賢い国民でも手の施しようがない。