手相の科学
第二部 第6章 頭脳線 第二は頭脳線とよばれる線です(82図)。この線は感情線の下側にあります。私の仮説では「気電流」は木星指(人差し指)から私たちの体内にはいりますが、その流れが頭脳線にも入ります。 この線は重要です。これまでの数知れぬ実体験から、この線は間違いなく持ち主の知的な量のレベルを示しています。どのような知性で、どのくらいの集中力があるか、セルフコントロール能力がどの程度かを示しています。 私たちの運命を形作るのに、頭の働き(Mind:知的な心)がどれほど大事な役割を果たすかを考えると、この線の重要性が分かるでしょう。体の他の機能がいかに優れていようと、知的態度が正しくないと、完璧になることはありません。 知的態度を正しく保つには、肉体的に健康な頭脳と、心を集中させる知的能力が必要です。それがあればしっかりした目的を持って人生を歩めます。 頭の働き(Mind:知的な心)は自然に存在する人生地図を変更する力があります。私たちの持つ性格のタイプも心の力で修正できます。知的な心はあらゆる要素の中で誰の人生に対しても、最も強力な影響力を持っています。 どのような知的な心を持っているかが、その方の未来にとって大きな鍵になります。その方が本来の性質を向上させるか駄目にするか、性格のよい面を強化するか破壊するか、弱い性格を乗り越えることが出来るかどうかは、知的な心(Mind)で決ります。したがって頭脳線を綿密に研究する必要があります。まずは、現存する頭脳パワーの量と性質を、正確に読み取ることが必要です。 頭脳は、体の中の神経を通る、活発なエネルギーを放出させる中枢の器官です。さらに、病気の存在を自覚し、特に神経系統の異常があれば、その存在を反映します。 人間の頭脳は頭蓋骨の中に収められています。頭脳はきわめてデリケートで敏感なので、簡単に触れることは出来ません。頭脳の一部になにかの事故でも起こらない限り、その働きを研究することは不可能です。 頭脳を精密に顕微鏡で調べても、頭が良く道徳的に立派な生活を送っている方と、暴虐な犯罪者との間の違いは、判別できません。この事実は、検視解剖によって多くの専門家たちにより証明されています。 頭脳は注意深く頭蓋骨によって守られています。そこで、人生を送る人の頭脳を、毎秒、毎秒、調べることは不可能です。したがって、善とか悪が脳のどこの部分に存在するのかを知ることも不可能です。 一方、手はいつでもそこにあり研究できます。そして頭脳線には知的な心(Mind)の内的な働きが露呈していることが発見されています。したがって、現状では、知的な心の内的な働きを知るについては、頭脳直接ではなく、間接的に頭脳線を使うことで満足しなくてはなりません。私たちが感じるところでは、頭脳線は正確に知的な心の働きの情報を記録しています。 頭脳線に関してこの章で述べられているすべての情報は、注意深く検討され正しいことが立証されています。多くの検討結果は常に同じなので、私は「頭脳線は信頼に値する」と迷い無く宣言することが出来ます。頭脳線は手相の持ち主の知的状態(メンタリティー:心的状態・物の見方・精神構造)を余すところ無く伝えています。同時に、頭脳の欠陥や、それから派生する神経系統の病気についても、余すところ無く伝えています。 頭脳線を研究するには、まず頭脳線があることを確認しなければいけません。存在しなければその事実を確認する必要があります。知的な心(Mind)は全ての線に影響を与える力であり、頭脳を通して仕事をします。さらに頭脳は各種の線を創る指示者でもありますから、頭脳線が存在しないことはきわめて稀です。 それでも手を横切る線が1本しかないケースがよく見られます。これを見て、頭脳線なのか感情線なのか、迷われることでしょう。99%の確率でこの横線は頭脳線です。つまり欠けているのは感情線です。このよな単線があったら頭脳線と考えるのが正解です。 長さと星印 次に注目して欲しいのは頭脳線の長さです。頭脳線は感情線のように手の膨らみまでは延びてはいけません。しかし、頭脳線が手を横切って82図のように伸びるならば、この長さから見て、豊かな知性をもっていることでしょう。知性の種類は「宮」の性格とか線の色で推測します。 頭脳線が第83図のように短い方は、それほど「先見の明がある」とは言えないでしょう。つまり鋭い知性ではないでしょう。短い頭脳線は、その方の人生が短いことを示していることもあるので注意が必要です。つまり頭脳線が終わるところで人生も終わる可能性があります。病気や人生の長さは生命線だけでなく、ほかのいくつかの線を見て判断します。 第84図のように短い頭脳線と短い生命線が見られ、長さが一致しているならば、まず確実に致命的なことが起こります。 第85図のように短い頭脳線の終わるところに星印が観られるならば、突然死を示唆しています。「星」は爆発の象徴です。 第86図のように、頭脳線と生命線の両方の端に「星」が観られることがあります。もしこの姿が右手に観られるならば、死は確実です。これが左手に観られるならば脅威が迫っています。「星」の姿が大きく鮮明なほど、爆発が確実になります。 短い頭脳線の先にある十字は、気電流の流れを停止させていると判断してください。ここで知性が終わり死に至ることになります。しかしこの状態は、かたちの整った「星」が示すほど、明確・確実でも突然でもありません。 第87図のように短い頭脳線と生命線の終わりに十字があるならば、「星」と同じほど強いことを示しています。これらの欠陥は気電流の流れを止めます。生命は気電流が自由に流れていないことには保つことが出来ません。これらのマークを見つけたら、その方の「宮」のタイプを調べ、線と印の色に注意します。 そのかたが木星人ならば卒中の気があります。土星人ならば麻痺の気があります。火星人ならば頭脳に大量の血液が流れています。これらのタイプの人たちの場合、マークが赤であったり明白な黄色であると問題はさらに深刻になります。 頭脳線が短ければ、生命線、水星線、感情線にも印がないかを確認して、さらに「宮」タイプも調べなくてはいけません。それにより、知性が不足しているのかあるいは上記のような病気の兆候があるのかが判断できます。長い頭脳線は知性が豊かであることを示し、短いと少ないことを示します。 線の長さを検討するときには、均整についても心に留めておかなくてはいけません。第88図のように頭脳線が手を完全に横断し、感情線がノーマルならば、頭脳が優位に立っており、バランスが崩れています。この方は貪欲です。ものを見る時、常に知的立場に立ちます。利益が第一で感情は二の次です。何事についても実際的で、感情に訴える美しさなどを相手にせず、直接的な結果を求めます。 この長くてまっすぐな頭脳線に並走する感情線が無い場合、この方は冷たく、心がなく、無慈悲で、惨めで、強欲で、強奪的で、ベニスの商人のように「肉の塊」を要求するでしょう。 全ての線と比べて深さが異なるか、線の性格が違うかを観察してください。頭脳線がまっすぐで長く、深く刻まれていれば、それは強力な組み合わせです。頭脳線のみで感情線が欠落しており、頭脳線がまっすぐに長く深ければ、この方は世俗的なことに関心が深く、性格がきつく貪欲です。さらにこの方の頭脳線が赤色ならば、強欲な上、戦闘的です。黄色ならば二重に吝嗇で難しい人でしょう。 頭脳線が長いのですが、他の線に比べて細く小さいならば、頭脳は常に過度に緊張しており、働きすぎに注意が必要です。働きすぎると頭脳が破綻してしまいます。 頭脳線が短くて、幅も狭く浅いならば、小さな知性しか持ち合わせていないことを強く示唆しています。他の線が深く刻まれており、頭脳線だけ短く細いならば、この方は人にコントロールされやすく、知性に強靭さがなく、召使いとか人につくりあげられる存在で、決して指導者にはなれません。 したがって頭脳線の長さは、他の線のサイズと比較し、線のバランスがノーマルかどうかを判断する必要があります。 両手を見る 常に両手を見てください。左手の頭脳線が短く、右手が長いならば、この方は知性を発展させています。 左手の頭脳線が長く、右手が短いならば知性が退化しています。短い線は災いの元なので、生命線を検討し、「宮」タイプ、健康面で何か示唆されていないかを調べ、問題を見つけます。 左手の頭脳線の幅が狭く細く、右手が深く刻まれていたら、この方の知性は進歩しています。一方、これと反対の現象が見られれば、逆です。 左手の頭脳線が長く直線で感情線が存在し、右手も似た頭脳線で、感情線が存在しない場合があります。このような手相を持つ方は、生来貪欲で自分のことにしか興味がありません。この傾向は増大し、やがで利己的で強欲になります。 このように両手を観察することで、線がどのように変化したかが分かり、過去と現在でどのように知的態度が変化したかが分かります。そうすればある事柄に対し以前はどのように思っており、今はどのような見方をとっているかを語れます。 性格 頭脳線を読むときにまず行うのは、「病気」とメンタル的の「性質」の区別です。区別をするには、頭脳線に破断、ドット、島などの欠陥があるかどうかだけでなく、線の幅が狭いか浅いか、さらに他の線との均整を見る必要があります。 頭脳線が病気とメンタル面の性質の両方を示しているようならば、それが起きている年齢を調べ、どちらなのかを明確にしなければいけません。顧客が性格的に方向が定まっていないのか、あるいは頭脳に病気があるのか、それとも精神障害になっているのか、そのどれが示されているかを判断しなければなりません。 頭脳線に欠陥があれば、知的に障害があることを示しています。それが病気から来るのか、それとも知的情緒が不安定な為に起こるのかを判断します。 この区別をするには生命線を見ます。まず頭脳線に欠陥が現れるのと同じ時期の生命線に、欠陥がないかどうかを見ます。同じ時期に異常が見られれば、頭脳線の欠陥は病気の結果だと見てください。 次に爪を見ます。ひどいフルート状ならば、過度の神経障害を語っています。頭脳が神経組織の中枢であり、そこから神経の力が放射されています。損傷のある頭脳線にフルート状でもろい爪ならば、神経の活力を使い果たしており、補給も間にあわなく、麻痺の危険にあります。このことは貴方の見ている手の持ち主が「土星人」や「水星人」や「月宮人」ならばさらに確実となります。 手の色、特に線の色はきわめて重要です。あまりにも白ければ、貧血状態で血液の量が少ないのでしょう。そうなると頭脳の働きも弱まることが考えられます。逆にあまりにも手や線が赤いと、血液の量が多すぎて頭脳に圧力が加えられていることが考えられます。 どちらの場合も正常とは言えず、病気を示唆しています。白すぎるのは弱さや不足を示しますし、赤過ぎるのは興奮症や脳卒中の気があることを示します。脳卒中の場合は、「星」「十字」「ドット」や深い線で示されますが、それが赤い色で強化されています。 頭脳線に欠陥があったら、上記のように生命線をチェックし、水星線も生命線と同じようにチェックします。さらに爪と色を調べ、さらに「宮」のタイプを考慮に入れます。そうすれば健康面の欠陥かメンタル面の欠陥かが分かります。 頭脳線の始る点や源泉に注目してください。多くの場合、頭脳線は生命線から始ります。多くの場合、二つの線は、始めの頃に接触をしている程度です(89図)。そしてすぐに生命線から離れていきます。時にはそれが90図のように遅くなるときもあります。 生命線からの離脱が早いほど、この方は自分のことを自分で考えるようになるのが早いでしょう。頭脳線が生命線と一緒の期間が長いのは、自信が持てるまでに時間がかかり、それまで他の人々の助言に従うことを示します。生命線と頭脳線の一緒の期間が長いほど、奥手で、自立が遅くなります。 しかし12歳の辺りよりも長く生命線にくっついている例は少ないでしょう。多くの場合、始めの頃だけ生命線と頭脳線が接触しています。これは、この方が子供の頃から自立していることを示します。 頭脳線の始りを見る時には、頭脳線と生命線の別れていく角度がどの程度鋭いかを見ます。90図の様に角度が鋭ければ鋭いほど、この方は繊細で、感情を傷つけられやすいでしょう。さらに指の先端に繊細パッドがあるならば、この方の繊細さは極端です。 この方は周りの人々の感情を傷つけない為にあらゆる努力をします。また、こういう方の人生はとかく不幸になりがちです。なぜなら人々の意図的ではない冷淡さを、勝手に深刻に感じて、悲しくなったりするからです。 「宮」のタイプと指先のかたちも考慮に入れてください。 角度と分離 指の先端が尖っており、頭脳線と生命線の角度が鋭かったら、この方は自信が全くありません。臆病で注意深く、誰かにいつも依存しています。そして支援が無くなるとすぐに失敗します。指が太く、指の先端が四角またはヘラ状ならば、極端に繊細な方ではありません。しかし間違いなく思慮深く、用心深いでしょう。 頭脳線は開始時点では生命線と一緒であることが多いでしょう。この状態での頭脳はまだ自立していなく、生命線から分離するまで、周りの人々に頭脳の面では依存しています。 第91図のように、頭脳線がかなり長い間、生命線から離れないケースがあります。このような場合、この方がメンタル面で活動を始めるのが遅くなります。 第92図のように、頭脳線と生命線の角度が鈍角になると、この方が鈍感で冷淡なことを示しています。このような手相で、さらに指の先が四角かヘラ状で、指と手のひらが赤いならば、この方は頭が鈍いでしょう。特に、手相に頭脳線と感情線と生命線しかなければ、基本的に愚鈍で、感性も乏しいでしょう。このような方は注意深く、何事にも責任を負わず、依頼心が強く、指令を発することが出来なく、独創性にも欠け、鈍感で、策略も持っていません。 第93図のように頭脳線が生命線からはっきりと別れていたら、独立独行の人であることを示します。この方には独創性があり、他の方の視点に惑わされず、自らの考えで、己に頼って行動します。計画性もありますし自らの判断で動き、独立性があり勇敢です。したがってこのような分離した手相は、その幅が広すぎない限り良いマークです。 生命線と頭脳線の間が離れていればいるほど、この方の独立心は旺盛になります。それが行きすぎると大胆すぎたり、自立心が強くなりすぎたりして無謀な行動に走り、安全な相談役にはなりえません。 このような分離した線の場合、指の先端を見てください。先端が尖っていれば、自立心は理想主義の方向に向かいます。ヘラ状ならば、この方のすごいエネルギーと独創性は新しいことを創出することに向けられます。しかしこの方は他人の助言を求めないので、大失敗を冒す傾向があります。 指の先端が四角ならば最も安全です。この方には優れた常識があり、抑制が利きます。 指の長さも大事な要素です。指が非常に短ければ、決断が速い為、もともとの自立心と相まって衝動的かつ性急に、危険な結論を出しかねません。さらに指が滑らかで節(ふし)も無いようならば、この方の衝動性はさらに強烈になります。指に節があることは抑制が利くことを意味するので、頭脳線と生命線が早くから分離している手相の場合はよい知らせです。 頭脳線と生命線が分離していれば、その程度にかかわらず、自立した性格の人であることを示しています。分離している幅が広いほど、その方はさらい自立心が強く、個人主義が強いでしょう。 このような手相を持つ方は一風変わった方ですから、注意深い観察が必要です。このような手相を判断するさいに最も大事なのは、この方の自立心と独立独行が、危険なレベルまで達していないかどうかです。 このような分離された線を持つ方は、感受性に欠けるのではないかと思われるかもしりません。ところがまったく違うのです。生命線の下のほうから頭脳線が分離して、2つの線の分離する角度が開いているときは、確かに鈍感です。ところが生命線と頭脳線が分離してる人は、予想外にも最も繊細で感受性が豊かな人々なのです。その方を観ただけでは分からないかもしれませんが、間違いなく感受性の高い方です。 私は多くのかたがたの手相を見てきて、このような手相が豊かな感受性を持つ人々に見られることを発見しています。その理由を考えてきましたが、それは、このような手相を持つ人々の誇りが高いせいだと思われます。 彼らは極端に独立独行で、己の能力に強い自信を持っています。そこで周りの人々が、この方に対して、本人と同じほどの評価をして信頼してくれないと、感情が傷つけられてしまうのです。 第94図のように、頭脳線が生命線の内側の火星宮下部から始り、生命線を横切り、手のひらを横断していることがあります。この方は呆れるほど優柔不断です。この方は多くのことを勇んで始めますが、死ぬまでの間に数え切れぬほどの変心をします。この方は変心者で、常に意見を変えますし、長いあいだ、同じ考え方を保つこともありません。常に極端な意見を持ち、極端な結論に達し、簡単にかつ精力的に考えを変えます。 この方が人生で成功することは少ないでしょう。なぜなら勝利するまで長い事、おなじことに取り組まないからです。彼らは常に好戦的です。頭脳線が火星宮の下部からでているからです。そこで常に問題に巻き込まれます。口論に挑むからですが、衝突を好まない方からは敬遠されることになります。 変心しやすいのと口論好きというのは好ましくない性格の組み合わせです。彼らが次にどんな方向に進むのかさっぱり分かりません。手の色や線の色が赤いならば、攻撃性に拍車がかかります。黄色ならば我慢できないほど嫌なやつになります。手相を見て知性の面で優れていないようならば、様々な問題を解決することができないでしょう。それぞれの指の第一指節のかたちが良く、親指の第二指節が長く、さらに親指の先端が長く、幅が狭く、あるいはヘラ状ならば、この方にはパワーがあり、変心することを抑制できます。 95図のように頭脳線が木星宮から開始することがあります。この様な頭脳線が示すのは優れたリーダーシップ能力です。この方は人々を巧く裁き、リーダーとして従う人々の力を発揮させることが出来ます。自信もある方です。頭脳線がこの位置からスタートするということは、メンタル面でも優れていることを示します。 この方は外交手腕にも長けており、厳しい言葉を使わなくて、支配されている様に見えても、実際には支配しており、人々に頼っているように見せて、実は人々を背負います。この方は頭脳的で、優秀で、成功する方です。 この方のタイプを見極めてください。粗雑なタイプならば、戦術とか外交手腕は消えてしまいます。この場合、人々をリードしますが、人々から強引だと感じられてしまいます。手が洗練されていれば、この方は望むことを全て成就できますが、周りの人々はどのようにそれを成し遂げたのかが分かりません。 96図のように、木星宮の下側から頭脳線が発生している場合があります。あるいは95図のように人差し指の付け根まで上っていることもあります。この二つの開始方の間に、様々なレベルがあります。そのレベルを見て、木星宮の影響のレベルが分かり、リーダーシップ能力の強さが判断できます。 第97図のように頭脳線が生命線から枝分かれしており、さらに木星宮の方向に分岐線が上っている場合があります。これが示すのは、この方が野心と名誉欲、偉大になる意欲・・・に支配されていることです。 手を観て純粋に知的な方ならば、その方の野心は知的名声に向かうでしょう。手を観て純粋に芸術家肌ならば、芸術的名声に向かいます。また手が純粋に物質的ならば、金もうけに走るでしょう。この方たちは上昇しようと必死の努力をしますし、人生は上向きになるでしょう。 どのように横切るか 次に考察するのは、頭脳線が手の平をどのように横切るかです。98図のように頭脳線がまっすぐに横切る場合、直線であればあるほど、その方の物の考え方は固定的です。線がコースを変更せず直線ならば、知的にバランスがとれており実際的で常識的なものの見方をします。 この線は平坦な線であり、外部からの影響をあまり受けないことを示します。この方は全てを実用的な規格から判断し、選んだことで満足し、感動することも少なく、心の平静を保ちます。 この線の傾向であり危険なのは、あまりにも感動が少なく、柔軟性がなく、固定観念に縛られ、適応力に欠ける可能性があることです。 この様な頭脳線を持つ方は、余り友達を作りません。なぜなら周りの人も彼と同じ考えを持つことを望むからです。すべてはありきたりの常識に従い、視野も狭く、冒険も、理想を追いかけることも大嫌いです。 このまっすぐな線は、頭脳線が偏向するときの基準となります。頭脳線が木星宮からあるいはその下側から発生していれば、木星宮の性質の影響を強く受けていることを示します。しかしそこからまた木星宮に偏向することは珍しいでしょう。しかし、その頭脳線が他の「宮」の方向に偏向することはよくあります。頭脳線はコースの始めでわずかに上向きに曲がるのが普通です。この曲がりはほとんどの場合、木星宮と土星宮の中間で起こります。 第99図のように頭脳線が土星宮の下で目立つほどカーブを描いていたら、この方は、土星人の考えに強く魅かれています。あなたの顧客の「宮」を定める方法の全てが有効でない場合、頭脳線が「宮」の方向に偏向しているのを見て、この方の「宮」が分かります。たとえば土星宮への曲がりが強ければ強いほど、この方の土星人の考え方が強いことが分かります。 このような手相の場合には、手の性格を調べることが大切です。メンタルの世界に支配されている方ならば、土星人の特徴である調査や研究を好みます。もしも真ん中の世界が強いならば、農業、鉱業、園芸などを好みます。下層世界が支配的ならば、貯蓄に励みます。 頭脳線が第100図のように太陽宮の方向に偏向しているならば、この方の心は太陽人の通路に流れ込んでいます。この方の上部世界が支配的ならば、純粋単純に芸術を好みます。中間世界が強ければ、お金もうけと美への好みの両方を持っています。下層世界が支配的ならば、見かけが重要となりますし、美を好むでしょうがグレードは低いでしょう。太陽宮への曲がりが激しければ激しいほど、太陽宮の影響力が強いことを示しますが、それはどの「宮」に偏向していても言えます。 頭脳線が第101図のように水星宮の方向に偏向していたら、水星人の考え方を強く持っていることが分かります。上部世界が支配的ならば表現力が豊かで、説得力があり、弁舌さわやかでしょう。そのどれであるかは爪の先端の姿かたちで分かります。 もし中間世界が最強ならば、知的な心は科学調査に向けられ、優れた医者、教師、法律家になるでしょう。もし下部世界が支配的ならば、お金を作る才能があることを示唆しています。水星宮の方向に頭脳線が曲がっている場合は、指の屈折やゆがみに注意してください。どの程度の鋭敏さが加わっているか、それが詐欺師的にまでなっているどうかが分かります。 第102図のように頭脳線が最初から終わりまで波形を描いているならば、この方には定見がありません。このような波形に定型はありません。しかしどの場所でどの方向に曲がっているかを見ることで、何歳頃にどのようか傾向を持つかが分かります。区分けしてみることで知的な心の変化が詳細に分かるのです。 波形の線に共通する解釈を与えるならば、一つの方向に知的努力をすることが無いと言うことです。目的が変更され、その結果、優柔不断になります。この頭脳線を持つ方には自信がありません。したがって助言者や顧問にするのは安全ではありません。なぜなら、彼らの意見は長持ちしないからです。波形は不安定な線ですから、不安定な思想を示します。 頭脳線は第103図のように上方向に偏向して感情線に近づくことがあります。これが示すのは、感情が頭脳よりも強い要素であり、この方は感情に影響されやすいことです。頭脳線の始めから感情線の方向に曲がっており最後まで続いているならば、生まれたときから感情に影響されることを意味します。このような曲がりが遅く起きるならば、人生でも遅く起こります。曲がりの程度が少ないならば感情の影響はそれほど支配的ではなく、もし大きければ、感情によって大きく支配されています。 このときに注意すべきはどちらの線が深く強いかです。感情線のほうが深く強ければ、感情で判断し、理性は負けます。頭脳線が深く強いならば、理性的になります。その結果、感情の支配が邪魔され、神経衰弱になることもあります。 第104図のように頭脳線が下に偏向していることがあります。 まっすぐな頭脳線が平均ないしほぼ正常な状態だと見て、上に偏向するのは上昇機運を示しています。逆に下降するのは下降機運を示します。したがって、頭脳線が下がっているということは、この下に偏向してる時期、このかたの知的態度が低下していると私たちは感じます。 まっすぐな頭脳線は実際的な知的働きを示しています。そこで下降線を取るということは実際的な考え方から離れることを意味します。その年齢も線の位置から分かります。手のひらの底辺には想像力・空想力を示す月宮があります。頭脳線が下降し始めるのは月宮の力に魅かれているためだと考えられます。 多くのスピリチャルな方、あるいは超常現象に魅了されるかたがたの手相を見てきましたが、その傾向が現れるのは、頭脳線が下に偏向する時期と重なります。偏向が短かくてすぐ直線に戻るなら、その方は一時的に超常世界に魅かれただけで、やがて実際的態度に戻ります。 第105図のように頭脳線全体がたわんでいるときは、実際的な思考と想像の世界に浸りたいという望みとが衝突しています。この手の場合、線が最後になって直線の位置に戻っているので、実際的な思考が征服したことを示唆しています。 第104図のように、宮の下のほうに偏向しているならば、その宮の性質が持ち主を、下の方向に駆り立てています。3つの世界を見ればどのタイプ・・・メンタル世界・金もうけの世界・もっと卑しい世界・・・が理由で、メンタル面の変化が起こっているかが分かります。線が偏向している場合は偏向の前、途中、後の線の性質を見てください。それを見ると結果が分かります。 第106図のように線が偏向の始る前には深く切り取られ、偏向を始めてからは薄くなり、偏向の後には鎖状になっているならば、活発だった知的心が(最初)、やがて活力を失い(途中)、最後には傷ついていることを示しています。それぞれのことが起こる年齢も線から分かります。 第107図のように最初から線が細く、偏向している間は鎖状で、最後を星で終わっているならば、このかたはまず最初から知的な心が弱いでしょう。そしていろいろな理由からさらに弱まり、最後は星が示すように爆発しています。これは狂気になるか死を意味します。生命線、爪、色、「宮」のタイプを見て、そのどちらかなのかを判断してください。例とした図版は無数の組み合わせの中の一つ二つに過ぎません。ここでは理由付けの方法を示しただけです。 これらの線の始りは、メンタル活動の初期を示します。その後、いろいろな影響でメンタル活動に変化が起こりますが、それが途中の線に示されています。線の終わるところは、究極的結果を示します。 線が短いならば、メンタル活動が優れていないか、あるいは人生の早くにメンタル活動が終わることを示します。死とか心の錯乱などが有りえます。このことについては「線の長さ」というタイトルのところで詳しく説明しますので、ここでは省略します。 第108図のように線が非常に短く、土星宮の方向に上がっている場合、この方のメンタル態度は土星人的で、土星人の持つ病気が原因で早くに亡くなります。ここでは頭脳線を見ているわけで、ここでの健康問題といえば脳に影響のあることです。土星人の典型的な欠陥は麻痺とか卒中ですから、この方の終わりはこのような病気に依るでしょう。爪がフルート状で反り返っており、もろかったり、黄色だったり、手のひらに多くのチャンス線が見られ、生命線が細く、鎖状であったり、島があったり、破断しているなどの欠陥が見られたら、まず、この方の終わりが確認されたことになります。 昔の手相家は、このような線を「突然死」の線と呼んでいましたが、その理由は明らかでしょう。 第109図のようにこの線が土星宮にまで上昇していると、その意味するところは倍に強まります。さらにこの線が第110図のように星とか、十字で終わっていれば、メンタル的あるいは生命の「突然死」は保証されたようなものです。 第111図のように線の終わりが房状ならば、麻痺から不全麻痺になることが示されています。房状はメンタルパワーの崩壊が徐々に起こる事を示します。そこが、星や十字やドットが警告するような、突然死や破局と異なります。昔の手相家たちは、土星宮がからむと全てに良くない結果を当てはめてきました。それというのも土星人には、特有の深刻な障害があるからです。 第112図のように頭脳線が太陽宮の方向に偏向するとき、この方は太陽人の考え方に魅かれていることを示します。あとはどの世界が支配的かを見て、この方の考え方の傾く方向が分かります。 頭脳線が「宮」の方向に上昇しているケースに共通するのは、その方のメンタル面のスタミナがそれほど強くないことです。もしもメンタル面のスタミナが強靭ならば、ある「宮」に強く魅かれていても、セルフコントロールを失って頭脳線が上昇することなどはないはずです。頭脳線がコースから外れてどこかの「宮」に引っ張られるということは、その「宮」の特質に完全に支配されていることを示します。 頭脳線が上向きに延びており、「宮」まで届いていないときは、感情や感傷が頭脳よりも強いことを意味します。この方は理性よりも「宮」に関する特別な愛着に支配されています。別の言葉で言うと頭脳が感情に圧倒されています。 第113図のように頭脳線が上昇して感情線とつながっているなら、この方の判断が感情に支配されていることを示します。手相家によっては、これを犯罪性が強い手相だと見ます。しかし、この手相は本質的にそのような傾向を示していないと思います。 確かにこの方は情熱や感傷や欲望に突き動かされてセルフコントロールが出来なくなり、犯罪を犯すことがあるかもしれません。でも犯罪者になるとは限りません。この方は弱いだけなのです。 ただしこのような手相で、手が粗雑で金星宮が大きく膨らみ赤く、感情線が深く赤く刻まれ、火星宮も大きいならば、欲望を満たす為に罪を犯す方でしょう。この方は殺人を犯すかもしれません。頭脳の支配が弱くて、情熱を制御できないのです。 第114図のように頭脳線が感情線を横切って太陽宮に上っているならば、太陽人に典型的な心臓病の存在を示唆します。さらにメンタル面の健康にも問題があるでしょう。脳卒中の可能性が大です。こういう場合は木星宮、手の色、爪などを観察して情報を集めます。頭脳線と感情線が交わる場所の線が深く刻まれていたり、赤色ならば、事態は深刻です。 第115図のように交差するところに星印があれば、危険極まりません。爆発が予想されます。 第116図のように、その先さらに「島」がつづけば、爆発のショックが恒久的に知的な心を弱めます。少なくとも脳炎が残ることを示唆しています。 第117図のように頭脳線が水星宮の方向に向かっていれば、この方は水星人の持つ特質に強く魅かれています。水星人のどの特質が発達しようと、この方はおカネを愛し、おカネを作る才能があります。お金に対する欲求があまりにも強く、この方は犠牲をいとわずお金を得ようとするので健康を損ないます。 雇用主としての彼らは専制的で細かく、雇用者を酷使し、働けるだけ働かせ、仕事のために必要な道具などは最小限に抑えます。彼らは格安品を好み、小銭を節約する為に遠くまで出かけます。この方たちは、全てをお金の価値で判断します。 このような頭脳線を見たら、この方の「宮」のタイプを注意深く調べてください。この方が悪いタイプ、あるいはケチなタイプの土星人ですと、水星宮に上昇する頭脳線との組み合わせは悲惨です。この方が邪悪な水星人ならば、正直・不正直を使い分けて、ともかくおカネを得ます。 指が曲がってねじれており、さらに爪が短ければ、この傾向はさらに強くなります。そのうえ感情線が存在しない場合、この方は見境なくお金を求めます。 このような線を優れた手相に見たら、それは単にこの方がお金を好むのだ・・・程度に考えます。 第118図のように医療の才能を示す医療の聖痕があるならば、お金もうけの上手な医師です。このような線があって、指の第三指節が一番長いならば、お金もうけの上手なビジネスマンです。これらはどのような組み合わせであろうと、おカネが一番強い要因です。 第119図のように、頭脳線が水星宮のところまで上昇しているならば、健康に問題があることを示します。胆汁の傾向があり胃腸が不調で、神経が過敏です。これが頭脳に影響し、目まいを起こしますが、これだけでは深刻な結果が起こる事はあまりありません。頭脳線がこの辺りまで来ているということは年齢的には70歳ぐらいです。したがって人生の終わりも遠くはありません。頭脳線が第120図のようにスター(星印)で終わっているならば、突然死を示唆しています。 第121図のように頭脳線が火星宮上部に入り込んでいるとき、この方は実際的で常識的な考えが強いことを示します。ここは中間の位置でメンタル面ではバランスがとれています。火星宮上部がよく発達していたら、火星宮の特質をを所持しています。この方は攻撃されると防御し、冷静沈着、勇敢で戦士の気概を持っています。 「火星宮」が発達していないならば、火星人の特質に欠陥があります。つまりすぐに落胆したり、強烈な攻撃に抵抗できなかったり、自信が不足しています。「火星宮」の特質は線の特質になります。しかしどのような特質を持っていても、この方の方の考えはあらゆる面において実際的です。 第122図のように、頭脳線は、多くの手相において月宮の方向に向かっています。この滑らかな下り線は頭脳がイマジネーションに影響されることを示しています。何もかもを排除するほど、実際的ではないわけです。 頭脳線がこのような線を描くことに関しては、大きな誤解があります。このような下降線は精神病の危険を示すという考えです。これは全くのウソです。このような下降線をたどる頭脳線は、世の中のもっとも鋭敏で、自己コントロールの出来る実際的な人々の手相に見られます。 想像力が豊かだからといって、それが狂気につながるわけではありません。非実際的だというわけでもありません。頭脳線がはっきりと明りょうに深く刻まれているならば、それが月宮に向かっていても、何の問題もありません。 他の場合でも同じですが過度なのは良くないでしょう。線の性格や他の線との組み合わせで、色々変化がありますが、一般的に言えるのは、頭脳線が月宮に向かっていれば、この方は全てを物質的に見ることがないことです。この方には豊かな想像力があるのです。 豊かな想像力は、作家や演説家、言語学者などには欠かせない資質です。これまで多くの方の手相を見てきましたが、成功している作家や、演説家などのほとんどが程度の差はあれ下降線のカーブを描いています。時には月宮まで到達していることもあります。このような方は小説家や詩人の能力を持っていました(第123図)。 月宮まで届くということは長い線です。したがって知性は十分にあります。下降する線に問題があるとすれば、その線が貧弱であったり細かったりしている、お粗末なタイプであるときです。過剰な想像力は狂気の一面です。頭脳線が下降しており、さらに良くない兆候が見られれば、知的な乱れがあることを示します。 第124図のように、下降線が月宮まで届き、星印で終わるなら、それは狂気を示します。 第125図のように月宮まで下降して鎖状で終わっているなら、知的に障害があるでしょう。 第126図のように月宮まで下降し、十字で終わるならば、心の状態に問題があります。 第127図や128図のように「島」や「点」で終わっているならば、精神障害の危険があります。問題の深刻さは「島」や「点」の大きさで判断できます。第129図のように月宮のところの頭脳線がところどころ破断していたら、精神的障害を起こすことを示唆しています。 このようなマークが頭脳線にあると、危険です。頭脳線が月宮に下降するということは、すでに想像力が逞しい傾向を示しており、問題を起こす豊かな土壌がすでにあるからです。ともかく月宮に向かう曲線は注意深く考慮しなければなりません。 第130図のように頭脳線の始まりから下降しているならば、最初からこの方は想像力豊かな方です。 第131図のようにコースの最初はまっすぐ伸び、その後に下降を始めていれば、人生の最初の頃は実際的な考えが強いですが、後半になってから想像の世界にはいっていきます。変化する年齢は曲がりが起こる場所から判断できます。このような急激な変化の印は、頭脳線にとって最善だとはいえません。優雅なカーブを描いて下降していれば、悪い結果が生まれることはありません。 第132図のように、頭脳線の最後がフォーク状に二股になることがあります。これが示すのは多様性です。この方は実際的な見方と想像的な考え方の両方を持っています。つまり物事を2つの視点から見ます。私は成功している役者の手に、このマークをよく見ています。また大衆に訴える力を持つ人々の手相にもよく見られます。 フォーク状が顕著でなければ、単なる多様性だと見ます。しかし133図のように明瞭にマークされているとき、その方は、強烈に実際的な考え方を持っていますし、同時に強烈に想像力に富んだ考えも持っています。 この方は、物事を実際的な面からと、奇抜な面から見ることが出来ます。したがって偏った見方をすることが少ないでしょう。フォーク状の線の片方がより深く強ければ、実際と想像の、どちらが主流なのかが分かります。 このマークは、優れた手相の持ち主に見られる場合はよい印です。しかし線が二本あることは、物の見方が二つあることを示します。その結果、この様なマークの持ち主はとかく二枚舌になりがちです。意識してウソをつくわけではありませんが、本当の話と想像の話の区別がつかなくなるのです。 この方は想像力が豊かなので、ウソの話をしていても本人が真実だと思い込む傾向があります。フォーク状の頭脳線は確かに嘘つきを生みます。そこで余り良くない手相の持ち主であれば、嘘つきであるかもしれないと思ったほうがよいでしょう。 習慣的にウソを言う方の全てにフォーク状の頭脳線が見られます。彼らがウソをつくのは誇りや虚栄からです。欲得や悪意からもウソをつきます。頭脳線にフォーク状が観られるのは習慣的にウソを言う方にであり、ときどき「作り話をする」方にではありません。 頭脳線がフォーク状になっており、その片方が火星宮に向かい、もう一方が月宮に向かい、さらにその先が二つにお別れているならば(134図)、月宮に向かったフォークー状の線は二重のイマジネーションを示しています。この手相を持つ方は全てを「大げさに」語り、真実を述べたほうが良いときにもウソをつきます。この方は想像を膨らますので、オリジナルの話を2倍に膨らませてしまいます。この方の表現にはこの様なゆがみがつきまといます。 135図のように月宮に向かうフォーク状の線に星や十字やドットが観られるならば、膨れ上がった想像が狂気を生むことになるでしょう。まず最初に、想像過剰になり、星や十字やドットが示す精神障害になります。 上の二つのケースの場合、月宮に格子とか線がたくさん刻まれていたら、さらに月宮人の落ち着きの無さが加わります。その結果、頭脳線が下降するさいの悪い面の全てが強調されることになります。 鮮明で優れた頭脳線について知識があり、頭脳線の欠陥がどのようなものかを心に留めておけば、優れた健康的な想像力と、精神障害を混同することはありません。そうすれば優れた作家が狂気に走るなどという間違いを語ることはないでしょう。 ときどき、頭脳線が三つの線を持つたフォーク状に別れていることがあります。一本は水星宮に向かい、もう一本は火星宮、三本目は月宮に向かっています(第136図)。これは大変に素晴らしいマークです。このマークが示すのは知性と適応力と多彩な才能の見事な多様性です。 この三本の線が終わる場所はビジネス(水星宮)と抵抗力(火星宮上部)と想像力(月宮)です。この組み合わせは通常、成功者を生みます。この方に怠け癖や野心の不足などの欠陥が強く手相に示されていない限り、三本フォーク線の持ち主は多くのことを成し遂げます。 稀なケースですが第137図のように頭脳線が曲がって金星宮で終わることがあります。この線が示すのは、このかたの頭脳が金星人の持つ魅力に頭が一杯であることです。この頭脳線はかなり長くなるので、知性が十分にあることを示しています。さらに深くて鮮明な線ならば、知的健康に不安はありません。それでも金星宮の魅力に惹きつけられているのは事実です。 頭脳線の性格 次に検証するのは頭脳線の性格です。頭脳線の特徴をみると、知的な質の強さ、集中力の強さが分かります。 深くて明瞭な頭脳線は、優れた知的な力、セルフコントロール力、揺るがない目標観、優れた記憶力、一般的な知的健康と知的強靭さを持っていることを示しています。つまりカレント(気電流)が速やかに流れる明瞭で優れた運河があるわけです。したがって、この方の思考は、ぶれも破綻もなく、円滑に安定して強く流れます。深く鮮明な頭脳線を持つ方は、沈着で「正気を失う」ことがありません。軽はずみなところも、不安定なところも無く、威厳があり、ものに動ぜず、均衡がとれており、決心したことを成功裡にやり抜く能力を持っています。 もしも頭脳線が長くて深くて明瞭ならば、長さは優れた知性を示し、深さは知性の質の高さを示しています。長い頭脳線には、破断や欠陥がたびたび観られますが、それでも持ち主は、非常に頭のよい方です。この点から観て、深くて明瞭な線は知的耐久力に必要ないのでは、と思うかもしれません。ところが詳細に観察すると、長い頭脳線に破断や欠陥のある方は、頭が良く知的能力が高いですが、安定性、深さ、強さに欠けて不安定です。つまり頭脳線の長さは知性の量を示し、深さと明瞭さは知性の質を示しているのです。 深くて明瞭な頭脳線を持つ方は、必ずしも即断即決はしないかもしれません。かならず物事の比重を注意深く考慮するからです。しかし決断に達すると、このような頭脳線の持ち主は、確固として実行に移します。この方は考えを集中させ、人生で一つの目標を追いかけ、目的を実現するために多くの源泉からパワーと情報を集めます。 彼らは危険に遭遇しても冷静で、平然としており、簡単に油断することも無く、最高度のセルフコントロール力を持っています。 深くて明瞭な頭脳線に強靭な親指があれば、持ち主は確固としており冷静で、いやおうなしの力を持ちます。大きな親指は人々を支配する意思を示します。一方、深くて明瞭な頭脳線はセルフコントロールの意思の力を示します。大きな親指と深くて明瞭な頭脳線の両方を持つ方は、やり始めたことならば、ほとんどのことを成し遂げることが出来ます。 他の線と頭脳線を比べて、さらに手の大きさも考察に入れます。他の線に比べて頭脳線がより深く明瞭なら、この方は所属する「宮」の中でも知的な方の典型です。この方の第一指節もそのことを示しているでしょう。 手も線も小さく、頭脳線だけが深く明瞭に刻まれているなら、危険は深刻です。肉体的な強さよりも知的パワーが強すぎるからです。このような手相の方が治療不可能な精神障害に陥るケースをたくさん知っています。このようなときは、頭脳線も濃い赤色でしょう。 これで分かるのは、深くて明瞭な頭脳線は、他の線も同様ならば最高のマークですが、頭脳線だけ傑出しているならば最悪のマークの一つになることです。 深い線は肉体的に頭脳の健康が優れていることを示します。線が深ければ頭痛を持つことも稀ですし頭脳障害などはまず起こらないでしょう。問題となるのは、頭脳線だけが傑出しており、色が濃い赤色の場合です。この場合は、精神的混乱や、目まいに要注意ですし、極端な場合には脳卒中や精神障害が問題になります。そのかたが木星人ならば、このケースは確実となります。特に第三指節が厚いならば確実です。 強い頭脳線は脳が良く考え、よく働く力を持つことを示しています。健康な頭脳ですから、かなりの酷使にも耐え、弱い不健康な頭脳よりも良く働きます。他の方の考えに惑わされることも少なく、信頼が出来て、あらゆる面で強靭です。手相を見るときに深くて明瞭な頭脳線があれば、基本的にはよい結果を期待できます。 多くの方の手相には、幅が狭く薄く、繊細な感じで手を横切る頭脳線が観られます。この幅の狭い頭脳線は頭脳の働きがそれほど活発でないことを示しますが、知的には繊細です。この方は賢いかもしれませんが、強い線ほどの活力を持ちません。よい考えが浮かんでも、実行することを簡単に諦めるか、知的な努力をしようとしません。疲れるからです。そもそも長期にわたる知的労働に従事しません。疲れ果ててしまうからです。 厳しい知的試練があると頭痛が起きます。そこで出来ることなら厳しい知的緊張や知的努力を避けようとします。知的な心を長く集中したがりませんし、長い間、集中することが出来ません。セルフコントロールも不十分で、短気になったり、やる気がなかったり、怠惰になるなど、様々な感情に流されます。 細い(薄い)頭脳線は知的に不活発なことを示しています。欲求心に欠けており、活力と共に行動することがなく、決意の堅さが不足し、攻撃性に欠け、強烈な知的集中ができません。 この手相の持ち主は、継続的な知的努力を必要とする分野では偉大な仕事しません。しかし直感的に優れた仕事をするでしょう。あまり知的努力を必要としない分野です。 細い(薄い)頭脳線の持ち主に、知的なことで余り多くのことを求めるのは危険です。持ちこたえられないからです。この方の運河は大きなカレント(気電流)を運ぶには浅過ぎるのです。そこで大量の気電流を運ばせようとすると氾濫し壊れてしまいます。 ここでもまた釣り合いを観察してください。手や線が大きく、頭脳線が細ければ(薄ければ)大いに注意が必要です。この方は知的に過剰に興奮しないほうが良いですし、睡眠不足、鎮静剤、興奮剤などもお勧めできません。過剰なのはすべてに関してよくないでしょう。胃腸に注意が必要ですし、疲労を感じたら休むべきです。無理のある生活をすると精神障害を起こす恐れがあります。 これらの細くて薄い線を持つ方が過剰な知的努力をすると、第138図のように線が所々で深くなっているのが観られます。線が深くなっている場所は、過大な知的プレッシャーがかけられた時期を示しています。このときに過剰なプレッシャーが継続されていたら、頭脳が壊れて、麻痺したり神経衰弱になっていたでしょう。 そのような知的緊張が起こった時期は、線から読み取ることが出来ます。このようなマークは活動的ビジネスマンや専門職の方によく見られます。これは「ノンビリしなさい」という警告のマークです。線の深さの変化を読み取ることで、最高に頭脳が働く時期がいつかが分かります。 第139図のように薄くて細い線に星や十字やドットが観られる場合は、知的生活に危険があるので無視してはいけません。このようなマークは、注意深くしていないと、現れている時期や年齢で、爆発や問題が起こる事を示しています。線が切られているところが危険な時期を示しています。 第140図のように小さな切れ目がたくさんあるならば頭痛持ちです。 第141図のように切れ目が深くて頭脳線が薄い場合は、脳炎、神経衰弱、麻痺を示します。 いずれの場合も両手を観察してください。左手の頭脳線が深く刻まれており、右手が浅く薄いならば、もともとの知力は強いでしょう。ところがそれが弱まっていますので、知力を使いすぎるのは危険です。このような手相の持ち主は警告を無視しがちです。なぜなら、左手の深い線から来る知的な強さがあるので、右手の力の減退をなかなか認められないのです。 左手の線が細く薄く、右手の線が深ければ、知的活力が増量されており、この方は追加の知的努力に耐えることが出来ます。 知的な面で活力が不足している方は、継続的に努力をすることで強化することが出来ます。危険は、突発的に猛烈な努力をするときに訪れますが、危難を避けることも出来ます。良いほうから悪いほうに変わる傾向もその逆も、両方の手を観ることで正確に読み取ることが出来ます。 第142図のような幅が広く浅い頭脳線は、活力ある知性を示してはいません。カレント(気電流)は浅くて幅の広い運河に弱々しく浅く流れます。頭脳の活力はイマイチで、頭痛になりやすく劣化しやすいでしょう。このような頭脳線を持つ方は決然としたところも確固としたところもなく、勇敢ではありません。むしろ、優柔不断でためらいがあり不安定で、自信に欠け大胆さが不足しています。 頭脳線が長ければ、頭が良いでしょう。しかし知的な押しの強さは無いでしょう。幅が広く浅い線は知的な気力と強烈さの不足を示しています。この方はでしゃばりではありません。大きな親指を持っていれば自信を持っているかもしれませんが、それは本物ではなく見せかけだけです。自己コントロールも下手で、人々への影響力も余りありません。集中力に欠けますし、記憶力も強くはありません。この方は人々の影響を受けやすく、誘惑にも弱いでしょう。さらに知的な仕事には向いていませんし、自分から求めることもないでしょう。知的には怠慢で余り考えません。他の方が考えてくれることで満足するので、世界を掻き回したりしません。 幅が広く浅い線が両手に観られるならば、その方は一生、同じように弱い生き方を続けます。左手に比べて右手の頭脳線が深く明瞭になっていれば、生まれながらの知的不活発さが、活力を得たことを示しています。 左手の頭脳線の幅が広く浅く、右手の頭脳線が破断して分断されていたら、この方は呆れるほど優柔不断で、救い難いほど弱い方です。 頭脳線が優れていれば、最悪の状態からは抜け出せます。誰であれ、手相に望ましい優れた質があまり見当たらなくても、頭脳線が明瞭で強い知的構造が背景にあるならば、多くの弱みを乗り越えることが出来ます。 頭脳線の幅が広く浅ければ、どのような強い手相を持っていても、それが弱くなります。つまり成功するはずだった人生が消極的な結果に終わります。強い「宮」であっても弱くなります。木星人の野心は消えてしまいますし、火星人の活力も大きく減じられます。すべての「宮」に見られるのは知的怠慢さです。 第143図のように、多くの手において、人生の最初は幅が広く浅いのですが、その後、深く明瞭になることがよくあります。その変化が起こった時期に、その方は人生の戦いにエネルギーを注ぎ、真剣に取り組みはじめることを示します。この時期にこの方は自分自身に付いても深く考え始めます。 このような手相は甘やかされて育った女性によく見られます。このかたは特に考えることも無く育つのですが、人生のある時点から、突然、自ら努力をしなければならなくなり、真剣に人生に取り組み始めます。そうすると頭脳線がどんどん深く鮮明になりまっすぐ伸びます。彼女は環境に対応して強くなったのです。 鎖状の頭脳線 第144図のような鎖状の頭脳線は、悪い知らせです。運河は幅広く浅いだけでなく、いつも障害にで食わせています。知的な心は弱く、集中力に全く欠けています。ためらいが多く困難に出会い、気が弱く、繊細で気が変わります。このような手相の方々が約束をしても、信頼することが出来ません。彼らは信頼を裏切る気はないのですが、実際には裏切ってしまいます。 彼らの記憶力は弱く、判断力が貧弱で、頭痛持ちで、様々な知的な問題を抱えています。彼らは知的であろうと肉体的であろうと、仕事を長く続けることが出来ません。感情線が強いならば、感情に支配されて、実際的ではなくなります。さらに親指が貧弱ならば、計画を立てることも出来ませんし、遂行も出来ません。このような手相の方々に知的な衝撃を与えるのは危険です。たちまちバランスを崩してしまうでしょう。 知的なバランスを崩してしまうと、この方には回復する力がありません。彼らは妄想と幻覚に陥りやすく、物の考え方が空想的で非実際的です。このような鎖状の頭脳線が「月」宮に下降しているならば、幻想の世界に生き、想像力過剰が病的になります。投機的な事業で、このような方を信頼することは出来ません。 鎖状の頭脳線を持つ方は、知的な職業には就けません。文学とか科学研究など頭脳を酷使する職業には向いていません。それよりも手や足を使った野外の職業が向いています。この方にはしっかりとした師匠が必要です。この方だけでは努力の方向を決められず、誰かに指示される必要があるからです。 鎖状が頭脳線の一部に現れるだけならば、その部分だけにおいて知的活動が弱まっています。第145図のように鎖状が深くて鮮明な線に変わっているならば、知的な貧弱さが、活力ある知性に変化しています。 鎖状が突然深い鮮明な線に変わることは、まずありません。貧弱な知的状態が急激に改善されることは少なく、時間がかかるからです。したがって第146図のように鎖状から細い線に変わり、やがてそれが強い線に発展していきます。これは知的な面が徐々に改善された軌跡を示しています。 鎖状の頭脳線を見たら、必ず両手を検討してください。右手のほうが鮮明になっているようならば知的活力を獲得したことを意味します。左手の線が深く、右手が鎖状になっているならば、活力のあった知性が衰退しています。 生命線にはその影響が見られます。頭脳線から何歳頃に衰退が始まったかがわかりますが、それを生命線でも確認できます。 頭脳線に現れる線の特殊な性格には多彩なものがあります。それぞれがどのような知的強さを持つかを覚えていれば、線にその性格が現れる時期に、そのような知的強さが発揮されることが分かります。線の性格が変われば、同時に知的な見方も質も変わってきます。 頭脳線の色 頭脳線の色にも注意が必要です。白色は頭脳への血液の流れが少ないことを示します。したがって頭脳の働きは弱いでしょう。白色は幅が広くて薄い線や、鎖状の線によく見られます。したがって知的に弱い働きをさらに弱くしていることになります。 赤色は激しさを示すので絶対的な弱さは緩和されます。しかし、幅が広くて浅い線や、鎖状の線では、発作的、暴発的な行動につながります。したがって赤色が現れている年齢ではすごい力を発揮しますが、一時的な現象で、永続性はありません。彼らは知的活力があふれているように見せかけるのが上手ですが、よく分かっている人をごまかすことは出来ません。 幅が広く浅い頭脳線の色が黄色ならば、知的な面での活力不足に、いらだち、神経質、意気消沈、あら探しなどの傾向が加わります。黄色の色が強ければ弱い知力に卑劣さが加わります。 青色は頭脳の血の巡りに問題があることを示します。心臓の問題と本質的に関係しています。つまり突然の心臓麻痺などで知力が途絶える可能性もあります。 深くて鮮明な線が白色であることはまずありません。しかし、頭脳線を押してみても周辺にも赤い血が流れていないように見えたら、その方は冷酷なのかもしれません。優れた頭脳線であっても、この方には冷たさの要素を加えて見ることが必要です。この方は計算高く、冷たく、強欲で、他の人々を犠牲にして己の権力を強大化することを求めます。 深い線は決断力の強さと知的な心の強さを示しています。その線が冷たく白いならば、それは人々に対しての同情心や感情の薄さを示します。このような方は家庭でも職場でも簡単に支配者になり暴君になります。深くて白い頭脳線は強くて冷たい頭脳を示しています。 ピンク色はあらゆる線に見られますが、深い線に力を与えます。このような組み合わせを持つ方は、活力にあふれる健康的な頭脳と強い知的な心を持っています。この方の危険は働きすぎにあります。 深い頭脳線に見られる赤色は過剰を意味します。その結果、知的にバランスがとれないでしょう。過剰な頭脳の働きに多すぎる血液は脳卒中、失神、狂気の引きがねとなります。深い頭脳線に見られる赤色の線は、常に危険です。手の全てを見て、危険が起こる場所や時期を調べましょう。 黄色は、深い頭脳線に有害な性質を加えます。頭脳は強いですが、この方は意地悪です。この方は悪徳の持ち主で仲間を裏切る陰謀を企てます。 頭脳線が細い場合、白色ならばピンク色よりも弱くなり、赤色ならば力が加わります。赤色の場合は、頭脳線が細いので、頭を使いすぎると洪水を起こす心配があります。細い頭脳線が黄色ならば、このかたは心が狭く、気が小さく、ケチで神経質で、不安定です。 頭脳線によく見られる欠陥 頭脳線を観るとあらゆる線の欠陥に出会います。そこで、これらの欠陥を正しく判断することが求められます。頭脳線によく見られる欠陥は、一様でない線、裂け、横切る棒、島、ドット、破断などです。これらの特異な欠陥は単独のサインとして知られおり、幅の広い浅い頭脳線によく見られ、深い線にはほとんど見られません。細い線でもあまり見られません。 これらの特異な欠陥が頭脳線に見られるということは、知的な活動が継続されず、波乱があり、知的活動が強くないことを示します。これらの欠陥は「気電流」の流れの障壁となっており、頭脳の働きの邪魔をしているからです。これらは、健康に問題が起こり、体が弱るとか病気になり、一時的に知的パワーに妨害がはいることを示しています。妨害の重大さは、欠陥の種類と大きさによりわかります。いつ妨害が始まるか、いつまで続くかは線の欠陥状態から分かります。 まず、最初の欠陥として「一様でない線」について考察してみましょう。この線は第147図のように、細い線が続いた後、太くなり、その後でまた細くなっていますが、このようなパターンが全体を通じて見られます。このような変更がたびたび見られたり、頭脳線全体で1回とか2回の時もあります。 このような一様でない線が示すのは。このかたの知力が数年にわたり弱くなり、それから強くなり、また弱くなるという変化です。このような変化が線にあらわれている通りに起こります。 線が深くなっているところでは、間違いなく偉大な思考の集中力が発揮されるでしょう。そのため頭脳への圧迫は非常に強くなります。頭脳線の始まりが細ければ、基本的に細い線だと位置づけます。そこで細い線の深くなっている場所では、大きな圧力が頭脳にかかっています。これは危険です。なぜなら深い場所では、細い線があまりにもぎゅうぎゅう詰めになるからです。 このような手相を持つ方はやる気満々になるときがあれば絶望するときもあり、変化が激しく、信頼できる案内役や相談役にはなりえません。一様でない線に星印や十字やドットが見られたら、麻痺や脳卒中や精神障害が起こる事を示唆しています。この方には充分な注意が必要で、睡眠を十分にとり、興奮しないことを助言してください。 頭脳線には様々な大きさの 無数な分岐線が、あらゆる方向に走っています。 一般的に言って、頭脳線から上昇する分岐線は、落ちていく分岐線よりも良いサインです。第148図のように上昇する分岐線が小さく、数が多いにもかかわらず、本線を損なうほどでなければ、この方は上昇・向上する意欲を持っており、何事においても発展を探し求めています。この分岐線はすべての「宮」に向かって上昇していることからそれが示唆されています。 第149図のようにこのような分岐線が大きくて長いならば、この方はあまりにも多くのことに影響されます。そのためこの方は優柔不断でしょう。この方には深くて明瞭に刻まれた頭脳線を持つ方に見られる知的な集中力は見られません。この方は、考えがあまりにも漂いすぎます。頭脳線が月宮に落ちているようならば、白昼夢を多く見る方です。 第150図のように分岐線が下に流れているなら、この方は簡単に意気消沈して、人生の戦いに活力を持って挑みません。「私は不運だ」とすぐに言う方です。この方は事を起こすときに必ず「失敗する」ことを知っています。彼らは失敗を信じているので。通常、その思いが実現します。昔の手相見はこの手相を「悲哀と失望」を示すと見ていましたが一般的に言って正しいでしょう。このような手相を持つ方には「もっと前向きになって、簡単に諦めるな」と助言してください。 第151図のように木星宮の下に一本だけ分岐線が上昇している場合、この方は野心に満ちており、木星人的な望みを持っています。この方は有名になり知名度が高くなることを望みます。このマークは偉大な野心の印であり、木星宮が大きければプライドの固まりです。 第152図のように分岐線が土星宮に向かって上昇しているならば、この方の考え方は土星人的で、土星人の持つ知恵、まじめさ、勉学好きなどの傾向に魅かれています。この分岐線が示しているのは、強い魅力に引っ張られていることですが、本線が引っ張られるほど強くありません。しかし本線から分岐させるほどの魅力があることを示します。分岐線がいく方向に強く魅かれていることになります。 第153図のように、それぞれの分岐線が星印で終わっているならば、この方の野心や望みはかなえられます。同じことはそれぞれの「宮」方向に延びた分岐線についても言えます。 但しこのときに再確認して欲しいのは、この線が頭脳線から派生してる分岐線であり、第154図のような頭脳線を横切るチャンス線ではないことです。主要線から分岐する場所を詳しく観察すれば、それが分岐線かどうかが簡単に分かります。 第155図のように、分岐線が頭脳線から派生して太陽宮に向かっていれば、この方は太陽人の誇り、愛の表現、美、富と名声への欲求、芸術、名士になることなどに心を奪われています。 分岐線が星で終わっているならば、思いが実現すると予想できます。ドットや十字や島で終わっていれば、成功する確率は低くなります(第156図)。これはすべての「宮」に向かう分岐線について言えます。 分岐線が水星宮のほうに上昇していれば、この方の思考は水星人の水路を流れます。科学を好むならば第2指節が指節の中でもっとも長いでしょう。医学指向ならば第157図のような医学模様が「宮」の上に観られるでしょう。水星人でもビジネスを好むならば、第3指節がもっとも発達しています。 第158図のように頭脳線の分岐線が上昇して感情線に触れているならば、この方は情操や愛や親愛の情などの思いに支配されています。この方の頭脳線が深く鮮明でも、ケチではなく欲得で動かず、人のために貢献することを好みます。同情心が厚く、人情味があります。 頭脳線から出た分岐線が完全に感情線と合流しているなら、この方は感情によって動く方です。このような分岐線が第159図のように土星線によって横切られていることがよくあります。この場合、この方の情緒はビジネス面の成功に傾きます。 頭脳線を切断するように横切る線は1本の時もありますが、第160図のように頭脳線全体に見られることもあります。これらの線には始まりも終わりも明瞭ではありませんが、明らかにを横切るほどの長さを持ちます。これらはチャンス線ではありません。横切る線(クロスバー)として区別してください。 これらの横切る線が深く、赤色で、頭脳線を鋭くカットしているならば、頭脳に異常が起こります。高熱かもしれませんし頭痛かもしれません。その異常の厳しさは、赤色の強さと線の深さに比例します。異常が起こる年齢も線から読み取ることが出来ます。このような深く横切る線が数本、頭脳線を切断していれば、頭脳に問題があると考えてよいでしょう。この方が木星人だと問題は深刻です。なぜなら脳卒中で終わる結果が考えられるからです。 これらの横切る線が小さなはっきりした線ならば、この方が心配性であることを示します。厳しい頭痛持ちかもしれません。しかし脳炎の可能性はありません。このような線は極端に神経質な方の手に観られます。 頭脳線に第161図のような「島」が観られたら、この時期、知的パワーは減退しています。私は多くの精神病患者の頭脳線に島があるのを観ています。彼らは島が続く間、精神に異常をきたしています。あるいは頭脳線に島がある期間、物の考え方が変わったり、あるいは知的バランスがとれなくて困惑したという告白を多く聞いています。脳炎を起こしたときにもその時期に島が見られます。あるいは別の高熱で譫妄(せんもう)状態になるときにも島が観られます。 精神的に霊媒になる多くの人の手にも島が見られます。彼らは、島が現れた時期(年齢)に霊媒の能力を持つようになったと言います。 理性に影響があるほどの婦人病にかかった女性の手にも島が現れるのを私は見ています。同じ様なことは他の病気でも起こります。つまり島が見られる期間、知的な心は完全な健康を保っているとは言えずフルパワーの状態ではありません。島がある時期は頭脳が虚弱であることを示しています。島の大きさで、問題の重要さも分かります。 「島」 「島」は、遺伝的な弱さや欠陥を意味すると言われてきましたが、それは必ずしも正確ではありません。時にはそういう場合もありますが、遺伝を必ず示しているとはいえません。「島」がある時期は、身体に問題が起きます。この時期に興奮したり、知的な緊張があると間違いなく知的な心はバランスを失います。頭脳線に「島」が見られる時期には85%の確率で、知的な心に問題が起こることを示しています。 「島」が深く刻まれ赤色ならば、問題は脳炎、あるいは婦人病、チフス、他の熱病かもしれません。あるいは極端な神経質や厳しい知的緊張から起こっているのかもしれません。時には新しい宗教を信じるようになり心の均整がとれなくなることからも生じます。 手の至るところで線が交差しており、そこに「島」があるならば、「島」のある時期は知的にバランスがとれていないときだと見て、まず間違いありません。手に線が少ない方は冷静です。神経的にも緊張が少なく安定した気質を持つので危険を避けることが出来ます。いずれにしても頭脳線に「島」があるのは危険で、深刻な問題です。 頭脳線にある「島」の前後の性格を見て、何が起こったかが分かります。「島」の後に星や交差線やドット、破断線がある場合、知的異常を避けられないでしょう。「島」の後に深く刻まれた線があるならば、結果から見て、たいして深刻な問題ではないでしょう。 頭脳線に見られる「島」の色に 常に注意して、色の特質を考慮に入れてください。深い赤色は危険性をさらに高めます。すべての「島」において、その前の頭脳線が深くなっていないかどうかを確認してください(第162図)。深くなっていれば、頭脳が大きな圧力を受けたために、「島」が示すようなメンタル面での障害が起こったのです。 次に「島」とつながっているチャンス線を調べてください。チャンス線がつながっている場所を見ると、「島」の原因となったのが、つながっている「宮」に関連する病気であることがよくあります。 チャンス線が「宮」の格子状の線や交差棒からでて、頭脳線の「島」につながっているならば、かなり信頼が置けます。耳が聞こえない人の90%において、 土星宮の下に頭脳線の「島」が見られます。 第163図のように頭脳線にドットが観られるならば、深刻な頭脳障害を意味します。その程度はドットの大きさと色で分かります。ドットが小さく白かピンク色ならば、問題は病気であり、本質的に深刻ではありません。しかし、ドットが大きく深い赤色や紫色ならば頭脳障害が深刻ですから、このドットが現れる年齢に、この方は十分な注意をする必要があります。 ドットの後に見られる頭脳線の性格は、頭脳に与えた障害の影響を示します。頭脳線が深くしっかりと刻まれているならば、障害の影響は一時的なものです(第164図)。 頭脳線が細くなっているならば、知的活力が衰えています。 第165図のようにドットの後が鎖状ならば、頭脳の病気が知的な心に大きな影響を与えています。 鎖が短く、その後の線が第166図のように深く刻まれていない限り、知的な心は頭脳障害から完全には立ち直ることが出来ません。 ドットと鎖でカバーされている時期には、メンタル障害がひき起こされています。この時期には通常の仕事に就こうとしないほうがよいでしょう。 白いドットは過去の頭脳障害を示していることがほとんどです。ドットが深い赤色とか紫の場合は、これから起こることを示す場合がほとんどです。ドットの後に「島」が続いていれば、厳しい病気の後も慎重に対処すべき時期がつづいていることを示します。「島」が大きければ大きいほど、慎重に対処すべき時期が長く問題も深刻です。これは良くない兆候であり、この方は病気の後もバランスを崩したままでしょう。 第168図のようにドットの後に星や十字があるのは、ドットによる病気が不吉な終末になることを示しています。生命線にもその兆候が現れていれば、この判断はさらに正確になります。 第169図のように、ドットの後に「島」があり、最後が星で終わっているならば、ドットの現れる年代に厳しい頭脳障害が起こり、その後「島」のある期間、慎重に対処するべき時期がつづき、星の現れた年齢で終焉を迎えることを意味します。第170図のように、その後も頭脳線が続くようならば、寿命を終えるのではなく、精神病が継続すること意味します。 第171図のような線の破断は、カレント(気電流)の流れが中断されることを示しています。流れが一定でなくなり、行動が不規則になり、集中力、決意の堅さ、自己コントロールの不足という結果を生みます。このような破断は病気を示す場合もあります。病気ならば爪や生命線などに病気の示唆が見られます。 このような手相は、気まぐれで、神経質で気の変わりやすい方によく見られます。さらに頭脳線が破断するたびに何かの病気になるでしょう。線からこのような病気が起こる時期が分かります。 第172図のように継続的に階段のように破断しているならば、安定性に全く欠けていることを示します。この方は、飽きっぽく、気がころころ変わり、頭痛持ちで、不健康で、幻想を持ち、幻影に悩まされ、誰かに面倒を見てもらわないと、神経使いすぎで、気がおかしくなるかもしれません。 この方は脱線することが多く、実現できないことを求め、この方の指の先端が尖っているようなら、非実際的で頼りになりません。特に頭脳線が月宮まで長く伸びているなら、まったく頼りになりません。 頭脳線に破断を見つけたら、姉妹線があるとか、端が二重になっているとか、横棒や四角などの修理サインがないかどうかを、よく観察してください。破断の大きさによって、破断が起きたときのメンタル面での衝撃の度合が分かり、さらに修理サインでどの程度回復されたが分かります。 もしも破断線がどこかの「宮」の方向に向かっているならば、分岐線が「宮」に向かっているのと同じように扱います。破断した線の端が示す方向によって、どのような力が破断の原因となったのかが分かります。破断の後の線の状態をよく見てください。破断によってメンタル面のスタミナが永久的に損なわれたのか、あるいは回復されたのかが分かります。 破断の後に見られる、星やドットや十字、島などのサインを見逃さないでください。それらは破断後の結果としてのメンタル容量を示しています。どのような破断に出会っても、線の始めから終わりまでに起こる全ての変化を調べれば、必ず確実な判断が出来ます。 第173図のように頭脳線に星があるのは危険な兆候です。頭脳線に見られる閃光は、輝きではなく爆発です。これが意味するのは突然の衰弱、脳卒中、精神障害です。 「宮」のタイプを調べてください。木星人や火星人ならば、脳卒中の可能性が高くなります。土星人や月宮人ならば麻痺か精神障害です。病気の診断について述べたところに従ってください。そうすれば間違いありません。 星とつながるチャンス線にも注意を払ってください。これを見ると原因が分かります。頭脳線に見られる星は常に危険なサインです。必ずその説明を探して下さい。頭脳線に横棒が走るのも危険なサインです。横棒が大きく深いならば星と同じように危険です。そこで星の時と同じように判断してください。 頭脳線はきわめて大きな領域で、扱い方も無尽蔵です。そこで、ここでは一般的な手法を示しました。この手法を個々のケースにしたがって応用すれば、無数のコンビネーションが生まれます。 私が努力してきたのは、理由付けの正しい方法を教えることです。それが分かれば新しいコンビネーションに出会っても、原則に従って正しく判断できます。頭脳線は知的な心の反応です。頭脳線と親指こそが手相家にとって最も重要なテーマです。この章は頭脳の働きと直接的な関係がありますから、きわめて大事です。□ |