第19章 木星宮
優れた指揮官 星、三角、円弧、四角、縦の一本線、三つ又などの印は、単独であっても組み合わされていても、その場所の「宮」の性格を強めます。(93図) 一方、格子、横線、十字、アイランド(島)、小さい点などの印は、単独であっても組み合わされていても、その「宮」における健康や性格の欠陥を示します。健康と性格のどちらの欠陥なのかは、主要線たちとチャンス線、それに色などを見て決断します。 「宮」によって、この法則を適用するのにいくつかの変則があります。『宮』に関する各章の最初に印の図を掲載しましたので、変化に注意してご覧ください。 人間には七つのタイプが有るのですが、最初に木星人について見ていきます。木星人は木星の指(人差し指)と「宮」がよく発達した方です。 前の章で、どの「宮」が一番強いかを判断する方法について述べました。また、いくつかの「宮」が同じように発達しているように見えるときに、どう判断するべきかも述べました。判断の方法を知ることは、手相を読むことに熟達するのには欠かせません。 木星人は野心的で人々のリーダーになります。この方は存在感があり、社会的に高い地位を好む性格があり、政治家に多いタイプです。また軍人にもよく見られます。軍隊でも人々を指揮する立場に立てるからです。教会でも重要な地位につくでしょう。宗教への関心は木星人の大きな特徴の一つです。彼らの宗教に対する意見は厳格な原理主義から危険なほどの懐疑主義までさまざまです。木星人の指の先端を見ると、どちらの方向に極端なのかが分かります。 野心的で、指揮することを愛好し、地位に対する誇りがあり、宗教や名誉に関心があり、自然を愛することなどが、木星人の主要な傾向であり、彼らを動かす原動力です。どのような職業に就いていようと、これらの要素が重なり合って、この方の行動と態度を決めています。 多くの方が木星人の手相を持つので、あなたもたびたび木星人と出会うことになります。木星人は基本的に良い人ですし強い性格を持つタイプだといえるでしょう。木星の「宮」が強く豊かで、頂上が『宮』の中央にあり、指が長く逞しく、手の色が赤かピンクならば、その方は木星人です。 純粋な木星人に出会うのは、昨今、稀です。通常、他のタイプと混合しています。しかし、ここで説明するのは、大きな木星宮があり、木星人の主要な特質が現れている、純粋な木星人です。でも他の「宮」も同じように発達していたら、他の「宮」の性質が加えられることになります。 純粋な木星人の背の高さは中ぐらいです。七つのタイプのうちの最も背が高いのは土星人(中指)で、最も背が低いのは水星人(小指)です。 しかし木星人は大柄で、強靭な肉体をもち、肉付きがよいでしょう。この方は筋肉質で脂肪太りではありません。月星人のようなスポンジのような柔らかさもありません。骨も大きく強く体重を充分に支える事ができます。 肌も滑らかで肌理が細かくピンク色で健康的に見えます。 目は大きく、表現力があります。瞳孔は明瞭で感情が揺れると目をみはります。目に激しさはありません。柔らかく溶けそうで、正直で親切な精神を持つことを表わしています。上のまぶたは厚く膨れており、まつげは長く端が優雅にカールしています。眉は弓形で毛が均等に生えているので、眉毛の輪郭がはっきり見えます。 鼻はまっすぐで形も良く、大きな鼻が多く、いわゆるローマ人タイプです。口は大きく、唇も豊かで赤く、歯の位置によるのですが上の唇がわずかですが支配的です。歯は白く強いのですが、長く幅が狭い形に成長しています。特に前側にある二つの歯は通常よりも長いでしょう。 頬には丸みがあり、頬骨は見えません。顎は長くしっかりしていて、先端にくぼみがあります。 耳の形も良く、整然としており、頭近くに位置しています。 首は太く形が良く、長さも程々で、強靭に見えます。 背中や肩も肉付きが良く、四角い形をしています。 足は形が良く、長さは普通です。しかし強靭でしっかりしています。 歩き方は威風堂々としています。 髪の毛は茶色かくり色です。女性の場合、髪の毛は豊富で長く伸びます。毛の質も良いのですが、巻き毛になりやすい特徴があります。 木星人は汗を良くかきますが普通の行動をしていても、特に頭のてっぺんで汗をかきます。この傾向があるため、若いうちからはげ頭になりやすいのです。この方は活力溢れる身体を持っており、身体に生えている毛も多いのです。覚えていると思いますが、濃い毛は力の象徴です。 木星人の胸も良く発達しています。大きな肺からは豊かな音楽的な大きな声が出ます。この声は指揮をとるのにふさわしいですし、大衆に影響を与える演説にも役立ち、木星人を自然に、人々のリーダーとします。 このような性格を持つ木星人が指導的立場に立つのも当然でしょう。なぜならこの方は強く威勢がよく、魅力的に見え、この方の強さへの自信が、多くの人々を惹きつけるのです。この方は指揮をとる立場に生まれています。宇宙は、この方に力と魅力をあたえていますので、子分たちを安心させ、指揮をとっていけるのです。 したがって木星人は優れたタイプだといえるでしょう。しかし、このタイプであっても、純度を保つことはできません。つまり木星人にも悪人がいるのです。彼らは天賦の豊かな才能を悪いことに使ってしまうのです。このことについては後ほど詳しく触れます。今ここで悪について触れるのは、すべての木星人は善人だと思い込まれないようにするためです。 このタイプにも欠点はありますが、これまでに述べてきた資質は天賦のものであり、指導者になるように生まれついてきているのです。彼らは生まれつき自信に満ちており、その強さを自覚しています。彼らは己の能力を信頼しています。彼らは人に頼らず独自の計画をたて、人から助言を受けるという習慣を持ちません。 彼らは大声で話し怒鳴りつける傾向がありますが、けんか腰ではありません。自信に満ちあふれ確信に満ちており、本気で話します。彼らは自らの持つ影響力を自覚しているので、うぬぼれも強いでしょう。うぬぼれの強いこの方は、力強い音楽的な響きのする声が、人々を揺り動かす力があることも知っています。彼ら自身、己の声を聴くことを楽しみ、人々の見解に影響を与えるのを楽しみます。彼らの一番の関心は指導力を発揮することにあります。 このようにうぬぼれてはいますが、木星人は温かい心を持っています。彼は人類に対して仲間意識を持っており、それが実際的な形で現れます。この逞しい人から優しい言葉をかけられた困窮にある人々は、すっかり元気になります。彼の親切な精神は、彼に魅了されて従う人々を団結させます。彼の親切は言葉だけではありません。彼は惜しみなく物もあたえ、寛大で、慈善行為を好みます。 木星人による施しは男っぽく、心を開いた状態で行われるので、受け取る人も、与える側が喜んで与えていると感じます。ここでも彼は、人々を惹きつけてリードするという生まれつきの才能を発揮しているのです。 木星人は指導的立場に立つことが多く、この方が不公正な方だと、仲間に多くの災いをもたらします。彼は多彩な視点を持ち、見方も大きく、基本的に正義を好み、公平さを支持し、ビジネスでも正直です。彼は意気に溢れ、異性からも注目され、常に勇敢で礼儀正しいでしょう。 彼は贅沢です。彼にとっては権力による支配は、お金よりも重要です。彼は仕事からも多くのお金を得ますが、貯めません。そして、スケールの小さいしみったれた行為を軽蔑します。 また、本来、宗教的です。人を指導する立場に生まれついた彼には、創造主から悪から身を守れるようにと、直感力が与えられています。彼は宗教心を持っており、宗教がもたらすすべての良い面を利用できます。ただしここで言う宗教とは、特別の宗派を意味しません。そうではなく善であり寛容な全能の力を持つ神聖な存在に対する信仰心、あるいは信念のことです。 木星人には人々の心を盛り上げることができる、洗練された影響力が与えられています。七つのタイプのなかでももっとも自然な指導者として創造されている木星人は、優れた指揮官なのです。宗教心のような信念の強さは、この方の一番の強みです。 法と秩序の信奉者 木星人はショーとか儀式をこのみます。信仰の方法であれ、統治のシステムであれ、どんな立場にあっても壮麗な儀式や形式張ったことを好みます。彼は法と秩序の信奉者です。平和を愛し推奨し、物質的な優位さには興味がなく求めませんが、大衆は彼が物質的富みを所有することを求めるかもしれません。 彼は貴族的で保守的です。古代からの繋がりを信じ、使命を成就するために今の仕事についていると信じています。彼は正直でインチキや詐欺を忌み嫌います。彼にとっては名誉がもっとも大切なのです。 彼は権利と独立を信じています。また常に被圧迫者の味方です。彼は貴族趣味なのですが平民を大事にする性向があり、それで大衆のアイドルになるのです。彼は親しみやすい人ですし、彼個人のことに関心を持つと喜びます。友人も多くいます。 木星人は野心的 木星人は幸運なタイプだといえるでしょう。多くの優れた特質を備えていますし、友人たちに好かれ、彼らが木星人の成功を助けてくれます。 彼の性格のもう一つの特徴が、あらゆる困難を乗り越えさせてくれます。木星人は野心的なのです。野心という巨大な力を後ろ盾に、既に持つ強力な特質を発揮するので、彼らはすべてのタイプの中でも無敵に近いといえるでしょう。 野心は人々を成功させるもっとも強力な駆動力です。木星人は野心の権化です。彼は誇り高いのです。自らの業績に対する誇りと、己の能力に対する誇りなしには、貴族的な尊厳に満ちた野心を維持できません。この誇りは自然なものであり欠点ではありません。このような誇りを持っていても非難されるべきではないでしょう。 要約すると木星人の主要な性格は、指導力、野心、名誉、誇り、尊厳、自然を愛する心などです。これらは教育などによって強化されていることを覚えておいてください。 結婚において木星人は極めて野心的です。彼は早熟で若いときに彼が誇りを持てる女性と結婚します。木星人の彼はまだ早熟のうちに伴侶を求める傾向があり、人物を見損なうこともありがちです。したがって不幸な結婚に終わることも多いのです。彼は早めに結婚する傾向があるので、他のタイプと比べると、結婚しているかどうかの確認はそれほど必要としません。 健康面ですが、木星人には持病があります。彼は大食で、食事に関して官能的です。よく調理された消化しにくい料理を好み、ワインも大好きで、タバコ中毒になりやすいでしょう。大食家なので危険は食べ過ぎにあります。食べ過ぎで消化不良を起こし、目まいを起こすのが最初の病の兆候です。発作はどんどん激化しやがて卒中を起こすでしょう。 彼は痛風に悩まされ胃に問題が生じます。その結果、血が濁り、肺が犯され、弱くなることがよくあります。胃の不調、消化不良、目まい、脳卒中、痛風、肺の異常が、木星人の典型的健康問題です。 これまでの説明に「彼」という呼び方をしてきました。木星人を男性的なタイプとして見てきました。しかし、女性的な木星人ものたくさん居るのです。女性の手相を見て、強い木星宮と指が存在するならば、彼女には指導力があり、野心的で誇り高く、名誉を重んじます。つまり木星人の特質のすべてが当てはまるのです。これまで男性名詞を使用してきたのは、分かりやすく便利であっただけです。 木星人の性格と特質の、何がどのように配分されて発揮されるかを知る必要があるでしょう。木星人の強い特質が現れるかどうかを知るには、宮の頂上の位置を突き止めなくてはなりません。木星宮の中央にはっきりと頂点があるならば、特質は均等に配分されています。頂点が土星宮(中指)のほうに寄っているならば、土星宮の沈着さ、悲哀、知恵が木星人の野心を抑制することになり、安全性が高まります。土星宮が木星宮の案内役を果たすからです。 頂上が土星宮とは反対側の方向、つまり手の端に傾いて位置しているとき、木星人の性格は純粋に利己的な個人の利益のために駆使されます。 頂上が感情線の近くにあれば、野心と誇りは愛する人々に捧げられます。頂上が頭脳線の近くにあれば、野心の対象は知的成功です。 手の密度も検討してください。野心を支えているか、それともソフトで無気力で、野心が単なる望みで終わるかどうかが分かります。 次に皮膚の肌理を見て、木星人の質が洗練されているか、あるいは粗野かを見ます。 また柔軟性も見ます。柔軟性のある心を持っており木星人の野心を実現させるか、あるいは硬い手を持ち、固く柔軟性のない心で野心の実現を阻害するかを見るのです。 彼の人生を推測するに当たっては、木星人らしい強い性格を持っているかどうかが鍵になります。さらに洗練されているか粗野なのか、明瞭な心を持つか不透明かが大事になります。 当然ながら洗練されているほうが粗野な方よりも、レベルの高い指導力を発揮するでしょう。一方、粗野だと利己的な野心となり平凡な方になります。 手の平や爪や線の色も注意深く観察してください。それらから弱みがあるか、強靭か、病気にかかっているかが読みとれます。 色が白いなら、冷淡なことを示し、その木星人は利己的で魅力がなく、人を惹きつけません。彼は木星人の特質をほとんど失い、人々を魅了することも指導することもないでしょう。この方は野心もあり、権力も欲しがるでしょう。しかし仲間から嫌われ、人々も素直には従わず、彼のことを褒めもせず、この方を指導者の地位に就かせることはしないでしょう。 白色ではピンク色のような成功は望めません。ピンクならば通常の身体を新しくする流れが正常な状態ですし、健康も気性も正常です。この方は聡明で、行動力に富み、陽気で魅力的で、木星人のすべての力が発揮されるので人々を惹きつけ、木星人として成功します。彼は敵からも尊敬され、友人からは愛され、大衆のアイドルとなります。 赤色は過剰な強さと意気込みを示します。すでに強い個性を持つ木星人に猛烈さが加えられると、過剰な強さになりやすくなります。その結果、健康面での危険も増大します。彼は食べすぎで消化不良を起こし、強力な心臓のおかげで血液が頭脳に大量に流れ込み、脳卒中を起こしやすいのです。このタイプの木星人は興奮して脳卒中を起こしやすいでしょう。 彼の性格はあまりにも決然としており、支配欲が強すぎ、専制主義、独裁になりやすいでしょう。彼が支配者になると、人々は共感からではなく、力も性格も強いので惹かれます。そこにピンク色の肌を持つ木星人が現れると、大衆はそのまわりに集まり、赤色の木星人の周りには人がいなくなり不安定となります。なぜなら赤色の木星人は愛でなく、恐れで人々を支配するからです。 赤色は強過ぎるのです。木星人としての性質が過剰に現れます。黄色の肌は見かけません。木星人が肝臓を悪くすることは稀だからです。木星人・土星人・水星人が混同されたタイプの人の場合は、黄色い肌も見かけられます。これは土星人か水星人の影響であり、木星人の影響ではありません。 時にはブルー色の肌を見ることもあります。これは心臓の働きが強過ぎて、内臓を充血させ弱めるためです。これは珍しいケースであり、木星人の典型ではありません。 爪 木星人の爪を見てみましょう。爪の特徴により、何が強くなり、弱くなるのかを思い出してください。 木星人は基本的に健康タイプですから、不健康な爪が見つかるケースは稀です。それでも時には病魔が襲うので、注意深く観察してください。神経質なフルート状の爪は肌理、形、もろさなどを見て判断します。爪が示す神経過敏なレベルを顧客に当てはめます。胆汁症の爪はまず見つからないでしょう。幅の広いたくましい爪にはよく出会うでしょう。 気質や性格は短い爪、癖のある爪、あるいは開放的で素直な爪(The open, honest nail)で示されます。爪が非常に短い場合、この木星人の先頭に立ちたいという意欲は熾烈で攻撃的です。その結果は、過剰な強さの発揮となって現れます。開放的で素直な爪がベストで、このタイプの場合は、すべての優れた面が発揮されます。 手には毛があると思って良いでしょう。木星人は強靭な体をしていますし、毛はその強さの象徴です。毛の色が何色かを注意深く観察してください。また、粗いか繊細かどうかも見てください。それらが木星人の性格がどのように発現するかを示しています。 毛の色が明るいなら、この方は熱烈さがそれほどでもなく、官能的・肉欲的でもなく、このタイプ特有の病気にもかかりにくいでしょう。彼は沈着で冷たく、それほど人々を惹きつけないかもしれませんが、怠け者ではなく、きわめて実際的で野心を強烈に決意とともに追求します。 黒い毛の場合は、輝き、炎、熱情が加わります。同時に東洋的な官能主義になる傾向があり、安逸を好みます。この傾向によって美食を好み、健康を損ねることが多いのです。 手全体 手全体を見ると、この方がどの方面で活躍するかがわかります。知性の世界が顕著ならば、この方の野心は文学の世界にあります。この方は作家となり、偉大な指導者や政治家、将軍について書きます。彼の仕事は頭脳的なものですが、書くテーマは木星人らしく、支配と指導力などになってきます。 もしも真ん中の世界が顕著ならば、この方はビジネスの世界、商業世界で活躍します。 もしも下側の3分の1が顕著ならば、もともと官能的・肉欲的な方なのに、さらにその傾向が強まります。その結果は、よくありません。 最善の組み合わせは上の二つの世界です。次によいのは下側の二つの世界の組み合わせです。下側の組み合わせの場合は、真ん中の世界が持つ常識が下の世界を制御するからよいのです。真ん中をなくして、上と下だけの世界になると、官能的・肉欲的な夢想家が生まれます。 同じ法則は、それぞれの指、特に木星の指(人さし指)に当てはめられます。 知的世界(mental)か、抽象世界(abstract)か、それとも物の世界が支配的なのかを見ますが、それには各指節の長さを見ます。人さし指が長いなら、どの指節が一番長いかを見てください。指が短い場合はどの指節が一番短いのかを見てください。この方法でどの世界が特出しているか、あるいは不足しているかが分かります。長い指で、すべての指節が同じように長い場合もあります。 人差し指(木星人)が中指(土星人)の第一指節の中ごろまで達しているならば、この木星人の指導者になりたいという欲望はそれほど過剰ではありません。人差し指の長さが中指と並ぶようなら、この方の権力への欲求は非常に高いでしょう。さらに中指よりも長いならば、この方は絶対的な暴君です。 人差し指の長さが中指の第一関節まで達していないならば、たとえ木星宮が強くても、この方は純粋な木星人ではありません(写真95)。なぜならこの方は指導する能力がないからです。このようなケースでも、野心、信仰心、名誉欲は残りますが、木星人の本来の強さは存在しません。 人差し指が曲がっていたら、木星人の気質に鋭敏さが加わります。これは悪いことではありませんが木星宮の力を非常に強めます。この方はすべての行動をシステム的な計画に基づいて行います。人々をリードするとき、どうしたらできるかを常に知っています。 この曲がった指が悪い水星人タイプと重なると、非常に不愉快な邪悪な人間になります。悪人で不正直なタイプになるのですが、悪い水星人タイプと重ならなければ、単に木星人の特質に鋭敏さが加わるだけです。曲がった人差し指には、たびたび出会う筈です。 指の先端 それぞれの指節を調べるに当たっては、指の先端も十分に考慮に入れなければなりません。 最初の指節が長くて知力が逞しい場合は、知的世界が支配的になり、直感も信仰心も強くなります。さらに指の先端が円すい形ならば、知力の上さらに理想主義と直感力が加わります。木星人は基本的に信仰心があるので、長い最初の指節と円すい形の先端は、この方がまさに宗教心の強いかたであることの確たる証拠となります。この方は己の信念にたいして大いなる敬意と理想を感じており、宗教に啓発された、強い性格の高潔な方だと見て良いのです。 指の先端が四角状の方ならば、さらに常識のあることを示すでしょう。すべてに理由を探し、思い込みが少ないのです。この方の信仰は、より素朴で実際的です。 指の先端がヘラ状ならば、この方は異説に寛容な不可知論者になりやすいでしょう。しかし、ものの見方は独創的で、既成の教会や宗派には従いません。 このように最初の指節と先端の姿を注意深く観察するだけで、かなり正確にどの教会に属するか(属しているとしてですが)、が分かります。 ヘラ状や極端に四角い人差し指の先端は、支配欲の強い心を示しています。この方は家庭でもビジネスでもあらゆる職業で専制君主となり独裁者となります。最初の指節の幅が広ければ広いほど、傲慢になり信仰心が弱くなります。 第2指節は木星人のビジネス面を示します。第2指節は野心も語り、この野心が木星人を指導者にし、弱い性格すらも強くなります。長い第2指節が野心の強さを示しますが、このかたは金銭面で指導的な立場に立とうとするので、実際的な面に関心が高いことがわかります。 ここでも指の先端を考慮することが重要です。円すい状の先端ならば円すい状の持つ特性が加わります。ビジネス面から見て理想的なのは、大きな第2指節に四角状の指の先端を持つことです。ヘラ状の先端ならば行動的で野心的な独創性に富んだ方で、ビジネスなど実際的な世界で名を成すでしょう。 しかし人差し指で最も重要なのは第3指節です。ただ単に長いだけなのか、それとも厚みがあるか、それとも胴のようにくびれているか、あるいは短くて厚みがあるのか、いろいろ組み合わせがあるので注意深く観察してください。 長く、厚みがない指節は下部の世界が平常であることを示しています。このような指節ならば、上部世界を上手に支援できます。第3指節が他の2つと比べて長過ぎるようなら、木星人としての野心や支配欲があさましいほど強烈で、この方の行動は洗練されていない傾向を持つことでしょう。 第3指節が世界のベースです。したがってこの指節が指導的立場にあり、上部の指節の大望や性質は、この指節に従うのです。長い第3指節ならば、全体的に粗野な傾向がでてくるですが、この指節に厚みがないならば、木星人の官能的肉欲主義は見られません。したがって木星人としての特質の現れ方は普通です。 写真96のように第3指節が長く太い場合は、木星人の暴飲暴食癖を付け加える必要がでてきます。さらにこの方の第3指節が目立って長く厚みがあるなら、官能的肉欲主義によって支配されており、木星人としての野心や望みは粗雑となり不毛となりがちです。当然この方は大食漢ですし、木星人特有の病気にかかりやすいのです。脳卒中などで突然死をむかえることはまず確実です。人差し指の厚くて長い第3指節ほど、大食漢を示すものは他にありません。 この兆候は健康にも野心にも成功にとってもマイナスです。なぜならこの方は他の何よりも食べることに魅力を感じてしまうからです。この方は人々を支配することを好みますが、その動機は高貴な大望などではなく、食べ物を確実に確保したいためです。彼のすべての動機は、ここにあるのです。 木星人の指である人差し指の3つの指節について見てきましたが、第1指節が長くて円すい状ならば直感が優れ、信仰心が厚いでしょう。第3指節が長くて厚ければ大食漢です。その間にある第2指節が健康的なビジネス指向と野心を示します。このように指節を分けてみることで、この方がどのような動機や野心で動いているかを判断できます。 さらに第3指節が長いのに胴のようにくびれている場合があります。このようならば木星人の暴飲暴食は消えうせます。この場合は指がいかに力強くても、この方は高い理想で動かされ、低級な欲求を満足させるために行動することはありません。この場合は木星人特有の健康問題もありません。この方に問題があるとしたら神経質なことであり、のどと肺から問題が生じるかもしれません。 しかし、細い胴のような第3指節であっても、締まりが無くたるんでおり、しなびているようなら、この方は食べ過ぎで胃を壊しており、消化不良で、ありとあらゆる胃の問題を抱えています。 指節が短い場合は、いずれの場合も、その指節が持つ特質に欠陥があることを示しています。 木星の指が長いと感じたときには、それぞれの指節の長さが正常かどうかを確認してください。一つの指節が長いのか、それとも二つが長く一つが短いために全体が長いのかを見るのです。長い指か短い指かどうかは、指の先端がどこまで来ているかを見ることを忘れないでください。 特に長い指節があれば、それが木星人の特質を示します。つまりこの木星人が知的な面で指導力を発揮したいのか、それともビジネスからか、あるいは娯楽かが分かるのです。逆に言うと、短い指節があれば、それはこれらの要素の欠如を示すのです。 直感と信仰心は第1指節です。第2指節は野心とビジネスです。第3指節は支配欲の強さと暴飲暴食を示しています。第3指節が厚くて赤味があれば、血流の流れが良いことで暴飲暴食は過剰となり脳卒中は避けられません。そこで各指節の色を見てください。 色が白いならば、信仰心も冷静になり、ビジネスにも野心にも冷静です。さらに激しさが減少し、第3指節特有の危険が減ります。各指節の色をみて、その特質を判断に加えると、さらに正確な診断ができます。このように各指節を個別に判断することができるようになると、どの性質が支配的なのかが明瞭になり、宮のタイプを完璧に理解できるようになります。 節(ふし)・指の長さ・親指 節だらけの指ならば、木星人の特質に節だらけの指の特質を加えます。つまり分析力と理屈っぽさです。また最初の節だけ発達していたら、知的で計画を実行するに当たって組織立っています。2番目の節が発達していたら、ビジネス面で組織立った行動をし、服装などにも気を使う方です。 指が滑らかで節も出ていないなら、この方を導くのは衝動、直感、芸術的な発想です。彼はゆっくりと分析してからではなく、最初の印象で行動を起こします。 この方の指が長いならば、細部にこだわります。木星人として行動を起こすさいには、すべての細部を考慮に入れます。彼は支持者に対しても不信感を持ち、信頼しません。外見はきちんとしており、指の長い方の特質のすべてを備えています。 木星人で指が短ければ、この方は思考も行動も素早いことが分かります。衝動的で細部にこだわることを嫌います。また行動計画を立てますが、細部の実行のほうは友人や支持者に任せてしまうでしょう。まず指の短い木星人としてタイプを定め、次にそれぞれの指節を観察して、どの世界で活躍するのかを見ていきます。その結果、この方を支配しているのが、迅速な知性か、ビジネスか、一般的な本能かが分かります。 親指を見ると最終的決断ができます。木星人としての望みや野心の背後に、断固たる決意と強靭な意思があるかどうかが分かるのです。 親指を分析するときは、どのような意思が備わっているかを見ます。意思を示す第一指節の姿には、棍棒状、ヘラ状、四角状、円すい状、パドル状などがあり、さらに大ざっぱか、洗練されているかを見ます。第一指節の長さを見ることで、どの程度の意思の強さがあるかが分かります。 親指の第2指節の長さを見ることで論理や分別(reason:理性)の強さが分かります。またこの指節の姿でどのような分別を持っているかが分かります。さらに意思と分別のどちらが勝っているか、あるいはバランスがとれているか、どちらかが劣っているかを見ます。 これらの検討をすれば、木星人の野心が成功するために必要な優れた感覚と決意があるかどうか、あるいは欠如していて失敗に終わるかが読み取れます。どのような野心を持っていようと、その実現には意思と分別・理性(reason)が必要です。木星人としての特質がいかに強くても、優れた親指を持っていなければ、木星人の使命である司令官や指導者にはなれないのです。 顧客のタイプを知ることで、その方が人生でどのような役割を果たすために生まれてきたかが分かったわけです。まずは純粋タイプを思い浮かべます。そうすると、その方の特質、健康上の問題・危険、彼の良いところ悪いところなどが分かります。 さらに洗練された方か、粗雑な方か(肌の肌理)、心が柔軟かそれとも硬直しているか(手の柔軟性)、活動的か怠け者か(密度)、冷たいか温かいか、気難しいかそうでないか(色)、神経質か心臓に欠陥があるか、肺病の気があるか、気管支炎か、強靭か病弱か、正直か怒りっぽいか、それとも批判的か(爪)、エネルギーに溢れているか(髪の毛)、精神世界・論理世界・物質世界のどこに属しているか(手全体)、特質がどの傾向に強まるか(指節)、芸術的か実際的か、活動的か独創性に優れるか(指の先端)、理性と分析に支配されているか(節だらけの指)、インスピレーションに導かれるか(滑らかな指)、細かい細部にこだわるのか、それとも即断即決で行動するのか(長い指と短い指)、さらに、意思と理性が伴っており、それらの特質を支えて成功に導くのか(親指)などを見ます。 悪いタイプの木星人 これらの情報を知的に活用することで、顧客を深く正確に洞察できるのです。 残念なことに、すべての木星人が善人というわけではありません。たくさん悪人もいるので、十分に注意する必要があります。悪人タイプは見かけも違いますし、人生における美しさも強さも消えています。 悪人タイプは小柄になり、見た目も堂々とはしていません。目には親切さが欠け、肌も不健康で善人タイプの健康的な輝きがありません。髪の毛もまっすぐで硬く、鼻の形も悪く、口は極めて大きく官能的で、長くて暗い歯を持っています。 このような木星人は近づきがたく魅力もなく、彼に従う人々は居ません。悪いタイプの木星人も、指揮をするのが好きですが、弱者と無抵抗な人々にしか命令ができません。彼は暴君で独裁者ですが、家族以外にそういう力を振るう場所がないことが多いのです。したがって家庭では威張るだけでなく狭量です。 彼は呆れるほどの浪費家ですが、そのお金はすべて彼の享楽を増大させること、味覚をさらに楽しむために使われます。彼は肉欲的で極端に利己的な放蕩者です。彼の家族は常に冷遇され、彼の専制的な意思に従うことを迫られます。 他に支配できる人がいないため、いたわるべき家族にたいして、荒っぽい木星人的なワンマンぶりと肉欲主義を発揮し、家族を惨めにし、不幸にします。彼が人生で成功することは無く惨めです。なぜなら支配したいという望みは、常に退けられ、成功できないことを悟ったこの方は、放蕩をはじめ人生の重荷を背負い込み家族も苦労するのです。彼は弱く、卑劣ですが、木星人としてのパワーと支配への欲求は強いのです。その結果は成功する替わりに、多くの災いを作ってしまいます。 悪いタイプの木星人の木星宮は赤く、深くて赤い線が走り、木星人の指が非常に曲がっており、第3指節は過剰に厚みがあります。肌は粗く、硬直した手を持ち、爪は短く、大きな親指の意思の指節が厚く、第2指節は厚く短いでしょう。 良い木星人の最高の手 良い木星人の最高の手は大きく滑らかな指をもち、指の先端は四角状で、幅の広いピンクの爪をもち、爪の先は四角状か円形です。木星人の指(人差し指)も円すい形で大きく、指節はバランスよく発達しています。さらに優れた金星宮と水星宮(小指)が存在し、密度にも伸縮性があり、柔軟性も普通で、大きな親指は長く幅広く、意思の指節はヘラ状で、第2指節は長く、胴のようにくびれています。 ほとんどすべての木星人の手の第3指節は厚いでしょう。また頭脳線も心の線も深く、色は深いピンクか赤です。 良いタイプか悪いタイプの木星人であるかどうかを見分けるのは、純粋なタイプならば難しくありません。しかし、木星人に他の「宮」の特質が混合されている場合は、木星人の特質が純粋に出てくるわけではなく、この方がどのタイプに属するのか確信が持てないときもあるでしょう。そういうときは、第18章の「宮」の探し方を参照してください。それにより支配的な「宮」と、それにつぐ強い「宮」が分かります。それらによりこの方がどのタイプの混合に属するかが分かります。 木星宮が一番強くて、金星宮がその次ならば、この方は木星人・金星人タイプです。木星人の野心・熱望などのすべての特質に加えて、金星人に属する愛・同情など多くの特質が加わるのです。 常に優勢な「宮」タイプの特質が支配的となります。その上に第2の「宮」の特質を加えてください。第2の「宮」の指の指節に注意してください。知的強靭さか、ビジネスの特質か、あるいは基本的(俗っぽい)要素が支配的なのかを見るのです。第2番目の「宮」の、このような特質が、指導的な「宮」の特質をサポートするからです。 たとえば、木星人・水星人タイプで、水星人の指(小指)の第2指節が一番長いならば、指導的な立場にある木星人は、水星人の科学的特質によって支持・支援されていることが分かります。水星人の第2指節は科学的特質を示しているからです。 もしも水星人の第2指節ではなく第1指節がもっとも長ければ、水星人の持つ雄弁と理性に訴える力が、木星人を助けることになります。この支援は、人々に影響を与えようとする木星人にとっては偉大な支援です。 指導的な「宮」を見極め、補助的な「宮」を見極め、上記のように指導的な指節を見極めることで、手における指導的なタイプと補助的なタイプが必ず分かります。さらに指導的なタイプのどの特質が支配的なのか、補助的な「宮」のどの特質が、指導的な「宮」を助けるのかが分かります。このようにして顧客の職業も割り出せます。人生において、顧客がどんな職業に就いたらベストなのかも、絶対的な正確さで判明します。 木星人が自殺をすることは極めて稀です。自殺するとしたら、野心が実らなく失望し、うぬぼれに傷がつけられたときでしょう。一般的に言って木星人が自殺に追い込まれるほどの失望をすると、お酒に逃れます。悲しみを「流れる杯」の中で溺れさすのです。 自殺する木星人の指は短かく、衝動的に行動するでしょう。突然の失望で絶望し、高所から飛び降りるとか、拳銃の引き金を引いてしまうのです。長い指を持つ、あるいは節のある指を持つ木星人は、自殺をしません。木星人に考え抜く時間を与えれば、決して自殺はしないものです。 飲酒の習慣はすべての木星人が遭遇する危険です。特に手や、線や、爪の色が赤ければ危険です。このように意気盛んな人々は刺激的なものに耽る誘惑に駆られやすいのです。手の生命線が深く色も赤ければ、素晴らしい活力を持っていますが、木星人にとっては明確な脅威でもあるのです。□ |